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虹の架け橋  作者: 藤井桜
本編
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彼らとの出会いに、彩られたのは、鮮やかな虹



 レーゲンボーゲンという男性デュオがいる。浅生(あそう)嘉隆(よしたか)さんと古川遥さん。メインで歌うのは、浅生嘉隆さんの方で、古川遥さんは、主にギターを弾きながら歌う。学年は私と一緒で、同い年。その辺りも彼らを身近に感じ、気にするようになった要因だろう。

 十年以上前にデビューした、人気のある二人で、歌はもちろん、ハモリもすごくて、更にイケメンという当時、女性ファンがすごく多かった事を覚えている。私のオーディション後の正式なデビューが十八の年なので、彼らはその三年後、私が広大(こうだい)くんと結婚した年にデビューした。

 その時は、知ってはいたし、歌が上手、声が良いなぐらいにしか思っていなかったし、その時は、広大くんしか目に入っていなかったというのがある。


 私は、久々に呼ばれた歌番組が彼らと初めて会う機会となった。好きだった歌の道に進んだが、TVへの露出はほとんどなく、イベントで各地を回ったり、都内のそれほど、大きくはないホールでの、コンサートが多い。その私の久々のTV出演だった。

 TVへの出演は年単位で、いつも渋って、私がそれを了承するのが稀だったためだ。事務所も私のTVへの露出は昔の事もあってか、消極的だった。たまにあるTV番組は、歌番組でも、個人で出るものがほとんどだった。デビューして、大勢の歌手が出る歌番組は実は初めてかもしれない。


 そのため、レーゲンボーゲンの二人には、それまで、出会う機会はなかったが、私も再デビューしてからになるが、彼らの存在は知って居た。私好みの曲を歌っていたので、初めて会う事が叶って純粋に嬉しかった。会うのがすごく楽しみだった。

 その彼らとこれから、ここまで、仲良くなるとはその時は思わなかった。デビュー十年目が過ぎてから活動を休止して、個人での活動を始めていたが、最近再始動を果たした。

 そして、デビュー十五周年になるという。アルバムはCDですべて持っているし、個人での活動の間、二人は一枚づつアルバムを出している。実はそれも、持っていたりする。

 その、二人にとって、久し振りの番組だったのだ。十五周年のお祝い、ベストアルバムなどは出さないが、新しいアルバムが五月に出るので、その宣伝などが今回の出演理由だそうだ。



 少し、緊張するが、レーゲンボーゲンの二人にも挨拶に行った。私の突然の訪問にも嫌な顔をせずに応対してくれた。優しい人たちで、ほっとした。怖くない人たちで本当に良かったよ。気さくな、という言葉通り、驚く事があった。一緒に写真を撮って欲しいと言われたのだ。

 何を言ったか全く覚えていない。あまりの嬉しさに多分、私のSNSに上げてあるので、きっと、私もSNSに上げても良いのか聞いたんだと思われる。失礼な事していないといいな。

 あれ、絶対、いつもの私を作れずに、緊張して、かなり油断していたと思う。緊張した私が、二人の間に収まっている写真は多くの人から好評だったので、一緒に撮ってもらって良かったのかもしれない。それにしても、二人ともカッコいいな。そう呟くと、隣りの莉子さんが、ぼそりと麻衣もねと訂正された。



 番組は、何事もなく終わった。あの熱気は忘れられないが、高校の文化祭を思い出して、かなり楽しかった。数年に一度ならまた、歌えると良いなと思う。ただ、地方やイベントに行く時との緊張感とは、違って少し気疲れしてしまったのもある。


 その後に、突然、飲み会にも誘われてしまった。番組の出演者たちで、行われる様な大々的なものではない、レーゲンボーゲン側とうちの事務所のメンバーというささやかな、飲み会だ。レーゲンボーゲンの浅生さんの方から、誘われた飲み会、飲み会に誘う様な、タイプの人だったかな。

 何故、私が彼に気に入られたのか、分からない。お開きになった帰り際、浅生さんに、何故か最後に慌てて、走り書きされた名刺に書かれた連絡先まで、貰ってしまった。


 貰った事を、事務所に相談したら、好きにして良いって言われてしまって、更に困ってしまった。これ、連絡するべきかな。というか、無視は出来ない性格なので、後でやっぱり、ちゃんと、連絡しようと思う。文章考えて少し遅れるかもしれないけれど。



* * *



 少し遅れるでは、済まなかった。色々と考えるタイプなので、一度、文章を考え出すと、何が良いのか、考えてしまう。まとめて、大丈夫だろうと思った文章でも納得いかなくて、何度も書き直した。そして、私が返事を送ったのは、四月の初め、三月の始め頃の歌番組だったので、一月近くも待たせてしまった。

 ああ、本当に申し訳ない。慌てて、一日ではなく、その次の日にした一幕もあった。危なかった、一日だと、エイプリルフールで、色々と、問題になっていたかもしれない。かなり、遅れたけれど、怒っていないようで、ほっとした。



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