遥先生の化学講座(二時間目)
理科は、高校生時代に一度、赤点をいただいてしまったほどに苦手な教科だ。テーブルの上には、事務所からいただいた、綺麗な紫色の紫陽花の鉢が置いてあった。仕事の際に、ディスプレイ用として、使われたものなのだが、私のイメージ色という流れでいただいた。
植物を育てるのは、苦手ではない。というか、高校時代は農業科にいたので、得意な方だ。なので、この紫陽花も花の見頃が終わったらきちんと剪定して温度管理をしっかりして、来年もまた綺麗な花を咲かせる自信がある。一つ、懸念があるとすれば、東京と宮城では、気候が少し違う事くらいかな。まぁ、基本は鉢植えなので、部屋の中に置きっぱなしで、暖かくなったら、ベランダに出す事になると思う。
でも、もしかしたら、実家に持って帰って地植えにしてもらうかもしれない。日光はちゃんと与えないと植物は育たないからね。決して、面倒だからって言うわけではない。
不意に、ソファで、本を呼んでいた、遥くんのいや、遥先生の化学教室が始まった。嘉くんは、キッチンでコーヒーを淹れている。コーヒーっていえば、よく、漫画でビーカーでコーヒー飲むシーンあるけど、あれ熱くて飲めないよね。
「紫陽花の色が変わる理由って分かる?」
「えっと、土壌の土が酸性かアルカリ性かで変わるのよね」
「じゃあ、赤はどっち?」
「どっちだったかな。アルカリ性?」
「アルミニウムが根から吸収されやすいイオンの形になるかどうかに、pHが影響する。土壌が酸性だとアルミニウムがイオンとなって土壌に溶け出し、紫陽花に吸収されて花のアントシアニンと結合して、青色になる。逆に土壌が中性やアルカリ性であれば、アルミニウムは、溶け出さず紫陽花に吸収されないため赤色となる」
「紫にはならないのか!」
「それ、正確には赤紫とか青紫とか、あと種類によって色は少しづつ変わる」
難しい言葉がいっぱい。そっか、紫陽花は化学反応起こすんじゃないのか! ん? 青い方は起こしてる? 遥先生、流石です。嘉くんはこっちに近寄ってこないのは、遥くんの難しい話が始まったからだ。
「分かった?」
「た、多分?」
「麻衣ちゃん、ほんと、理数系って、感じじゃないよな」
そう言ってデコピンされた。それ地味に痛いのです。すると、キッチンから戻ってきた、嘉くんがコーヒーの入った、ポットを、手に呟いた。私が揶揄われるのあまり、好きじゃないようだ。
「このコーヒーぶっかけてやろうか」
「なんで、そうなる。というか、俺もコーヒー? なんの嫌がらせだよ」
遥くん、コーヒ飲めません。お茶ばかり、飲んでるな、思ったら、まさか、コーヒー飲めないなんて、知らなかった。私は、紫陽花の鉢を窓辺に移動させるために立ち上がる。外の光が当たって、良く見るとその、紫陽花、青紫かもしれない。じゃあ、これ、土が酸性なのか。
私はその場からキッチンに移動すると遥くん用のお茶を淹れるために緑茶を取り行くのだった。ついでにお茶菓子も何か持って来ようかな。
紫陽花は身近な化学反応ですね。




