嘉隆と博行が料理の話をする(side嘉隆)*
順番としては、『嘉隆と博行が料理の話をする(side嘉隆)*』、『莉子と博行の夕ご飯作り(side莉子)*』、『沖さんと莉子さんの食事事情*』と続いていました。
お昼時間に、博行のお弁当に視線を向けた嘉隆はふと気になったことがあったのを思い出した。博行のお弁当は、彩りもよく、毎朝、早起きをして作ってくるようだ。
そして、今日も、遥は、いつものようにスタッフの人と一緒に頼んだデリバリーの唐揚げ丼を黙々と食べている。唐揚げ丼か親子丼の二択が多い。
「沖さんは、莉子さんの分も作ってくるんですよね」
「そうですね、嘉も同じでしょう。川村さんの分も作るのでしょう?」
「まぁ、そうなんだけど。そう言えば、莉子さんは料理はしないんですか?」
「僕が作るので、しませんね。本人、苦手だと言っていますしね」
お弁当の卵焼きをつまみながら、博行は答えてくれた。じっと、その卵焼きを見ていた遥に苦笑しながら、博行は、遥の口にも突っ込んでくれた。嘉隆もまた、鶏むね肉を梅で和えたものを口に運ぼうとして、それも狙っている遥の口に放り込んであげた。
「遥、こっちも食べなよ。バランス悪いよ」
「ほうれん草とたまごのやつ、くれ」
「俺の分が無くなるでしょ」
「じゃあ、これやる」
からあげ丼のからあげと交換されて、ほうれんとたまごのお浸しの半分が遥の口に入った。苦笑しながらも、博行もまた、きんぴらごぼうを遥のからあげ丼のふたに乗せてくれた。からあげ丼単品なので、野菜の類は一切無いので、こうして、嘉隆と博行が一緒のときはおかずを分けてあげていた。
「麻衣が言っていたんですが、莉子さんに、料理教えたって」
「そうなんですね、それは、知らなかったな」
「あ、それ、言っちゃダメなやつだったかな」
「どうして?」
「麻衣の教え方がすごく雑で、もしかしたら、料理する人は嫌がるかもしれないって思って」
「嘉もそうなの?」
「いや、俺は、時短になって良いと思います。莉子さんの話はしていませんが、晃もよく使うって言ってました」
「あは、と言うことはキッチン道具のことなんですね」
「あ」
何か察しが付いたのか、困ったように視線を逸らした嘉隆に、博行は笑っている。遥も料理はしないが、何を指すのか察したようだ。
「それって、キッチンバサミ?」
「まぁ、ぶっちゃけるとそうなんだけど」
「莉子さんが、あまり良い思いをしないのでは、と思ったんですね。嘉も成長しましたね」
「流石に気にしますよ」
「それで、川村さんが莉子さんに、キッチンバサミを使った料理の仕方を教えたんですね」
バレたので、仕方が無いと、全部話すことにした。麻衣と、実家からの食材を持て余していたので、莉子に作ってあげたそうだ。その時、キッチンバサミを多用していた。
「では、川村さんも使うんですね」
「ええ、使います」
「時短は、仕事をしている身としてはすごく助かりますよ。今度、一緒に料理をしたいと思います。僕も、色々と教えてもらうことにします」
「まぁ、沖さんから、話す分には、莉子さんも気にしないと思うかもしれない」
「そうだと、良いんですけどね」
実は、このほうれん草もキッチンバサミで切ってから、茹でたものだ。最近では、麻衣に感化されてか、キッチンバサミを多用するようになった。
「また、一緒にうちでご飯を食べましょうか」
「良いですね、川村さんに、キッチンバサミの使い方を伝授してもらいましょう」
そう言った、二人に、遥は、俺も行く、と食べるのが目的だが、参戦を希望して来て、嘉隆と博行は顔を見合わせてため息を吐いたのだった。
ここで、莉子さんがキッチバサミを使って料理するのが、沖さんにバレました。




