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虹の架け橋  作者: 藤井桜
本編
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大好きな君の手を離した私の後悔と(side 絵美)



 東京に上京した麻衣から、連絡がなくなったのは、麻衣が上京して二年目の春だった。最後に、アパートを移るという連絡があったきり。携帯番号も変わり、忙しいのか、アパートの住所も聞きそびれた。

 後で、気付いたんだけど、麻衣は女優としての活動を始めたのだ、マスコミの事を考えると、それが正しかったのかもしれない。きっと、仕事が忙しいところにアパートの引っ越しなどが重なって、私用の携帯電話の事まで気が回らなかったのだろう。

 その頃には、絵美もまた、就職していて、農協の事務が忙しくなりすっかり、その事を忘れていた。麻衣の実家に連絡すれば、いつでも連絡が付くという安心感もあったからかもしれない。



 更に数年後、TVのワイドショーの話題を攫った大ニュース、人気アイドルと女優の結婚を絵美は職場の休憩時間、TVで映し出された時に知った。絵美の絶叫と、女子社員の悲痛な叫び、男子社員の驚きの声は、絵美にとって、一生、忘れられない出来事となった。

 その時は、麻衣の実家に訪問して、家族に色々と聞き出そうとしたが、向こうも何も知らされてないらしく、相当困った。麻衣が幸せになれるなら、と願う事しか出来なかったのが本当にもどかしい。


 同じく、麻衣の離婚の話題は、TVで知った。アイドルとの結婚なんて、上手く行くはずがないって、麻衣の兄は会う度にぼやいていた。仕事場が農協なので、農家の悠一とは、一日に一回は会っている。基本、麻衣の事を話すのだが、それは、少しづつ減っていった。悠一に詰め寄っては何度も麻衣と連絡を取りたいと言っても首を縦に振ってはくれなかったが、数ヶ月後にようやく折れてくれて、連絡を取ってくれた。


 麻衣は、随分とやつれたような声で、だが、電話の相手が絵美だと分かると、少し、声に覇気が戻った。麻衣のマネージャーの莉子の話では、相当、ショックだったようで、飲食はほとんど、していなかった。莉子が無理矢理、食べさせているという事だった。

 仲の良い昔からの友達からの連絡で、もしかしたら、浮上してくれるのではないかと思ったらしい。昔から食べ物へのこだわりも少なく、食べる量もそれほど多くはない。そんな、麻衣を知っているのだ。どれだけ、痩せたかも想像出来た。


 莉子と話し合って、麻衣のために何かしてあげたい、そう思うのは昔から変わらない、そう言ったら、説得を頼まれた。説得と言っても、きちんと食事を取って、そして、何か、麻衣に気掛かりな事があれば、取り除いて欲しい。もし、麻衣が立ち上がる事が出来れば、事務所は麻衣に新しい道を用意すると言ってくれた。それは、麻衣が望む歌の道で、絵美にとっての望みでもある。


 広大(こうだい)との結婚の話は、二人の勘違いで終わった。絵美は広大をそれほど、好きだったわけではなかったのだ。もっと、きちんと話題に出して会話していれば、連絡もしっかり取っておけば、絵美と音信不通になる事も無かった事だろう。絵美のお陰で、麻衣は、自身を取り戻す事が出来たのだった。


 誰よりも大事な、親友の手をこれからは、絶対に離さない、絵美はそう誓うのだった。



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