↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

20/212

019話:危険なお遊び

 場違いも甚だしいハデハデな両替機をみんなで確認してみることにした。

 しかし、両替機って言うより自販機だよな、このサイズとデザイン。

 ボタンがいくつもあって、いろいろと機能があるようだ。


 換金預入:100セイル毎に10ベルに換金して預入金に

 換金出金:預入金から、10ベル毎に90セイルに換金

 種ガチャ:1回10ベル。何かしらの種10~50粒が出る(量は種類による)。

 苗ガチャ:1回50ベル。何かしらの苗木1本が出る。

 調味料ガチャ:1回100ベル。何かしらの調味料300mlが出る(ボトル付き)。

 香辛料ガチャ:1回1,000ベル。何かしらの香辛料100gが出る。

 酵母ガチャ:1回1,000ベル。何かしらの乾燥酵母300gが出る。

 塩:100ベル毎に500g。


 これ、後半は完全に料理しろってことか?

 そのうち食わせろなんて言い出さないよな、食わさんけど。

 それに、ベルからセイルに換金するときに1割も目減りするじゃないか、セコいぞクソ悪魔。

 さらにガチャ、無駄遣いさせる気満々仕様だし価格設定が高すぎだろ、これ。

 ガチャなんて、ソシャゲ恒例のぼったくりシステムじゃないか、どこで覚えたんだ?あいつ。

 下手するとガンガン資金を食らい続ける悪魔のシステムだ。

 ガチャの内容が明記されていない所もあくどい。

 しかもガチャだけ、ボタンじゃなくダイヤルとすぐ下に取り出し口、いわゆるガチャガチャのような形状になっている。

 極悪だ。

 「まるでガチャガチャだね、何が出るんだろう。」

 くぅ、ユーキよ、今の君はガチャガチャが似合いすぎるからやめてくれ。

 しかもその食いつきよう、まさにヤツの思うつぼじゃないか。

 「これの利用はソンチョーに一任しよう、ベルしか使えないみたいだし。」

 何か危険を感じて先手を打つことにした。

 だってさ、残金なんてあっという間に吸い尽くされるぞ、この価格設定だと。

 「まじッスか?ちょっとやってみたかったんスけど。」

 ユーシン、おまえもか。

 「ガチャはやばいよ・・・。

 ホントにやばい、あっという間に金がなくなるんだ。」

 スロークが真面目な顔でユーシンを制する。

 まさか・・・君も被害者か。

 「奴らは、SSR排出率アップとか、10連ガチャで1枚SSR確定とか、手を変え品を変えむしり取ろうとしてくるんだ・・・。」

 スロークの表情を見ればわかる。

 相当むしられたんだね。

 そう、ソシャゲのガチャは悪魔のシステムだ。

 そしてこのガチャは悪魔が用意したものだ。

 「やってる時は気が付かないんだ、使いつくして、初めて気が付くんだよ。

 取り返しのつかないことをしてしまったって。」

 俺もむしられた一人だ。

 ボーナスが1日で消えたとき、もう二度とソシャゲはやらんとスマホを封印してガラケーに変えた。

 後にガラケー廃止が決まったが、俺は最後の日までガラケーを使い続けると決めたんだ。

 ソンチョー以下3人がドン引きしているけど知ったこっちゃない。

 たった今、スロークと固い絆が生まれたような気がした。

 「うん、まぁ・・・そうだね、当面これは必要なことだけに使おう。」

 こうして両替機(?)はソンチョー預かりとなった。

 いやぁ、良かった良かった。

 悪魔の襲来(?)でゴタゴタしたけど、資金のめどは何とかなりそうなので住宅(中)を1セット購入することになった。

 ゲームと違い自分達で組み立てないといけないそうなので、入荷したら総出で組み立てる予定である。

 ソンチョーとスロークは、入荷までの間に溜池や畑の増設など、資材のいらない作業を始めて時間をつぶすつもりのようなので、俺も手伝うことにした。

 同時に、購入した資材以外でも建物などを作れるかどうかの実験も提案した。

 まずはソンチョー宅の隣に納屋でも建ててみて、ちゃんと機能するか様子を見てみたい。

 大工スキルが解放されたので作り方はわかるし、向こうの世界でも一応は技術者(家電関係だけど)なので、工具の扱いも一般人よりは出来るだろう。

 道具は村長宅の改築に使ったものを借りればいい。

 うまくいけばベルの節約にもなるし、購入できる施設以外にもいろいろ造れるし。

 長く使うものを立てるなら、材木を乾燥させたりいろいろと下準備が必要なんだろうけど、実験だし簡単な納屋ならまぁ、良いだろう。

 ソンチョーとユーシンはさっそく畑の増設を始めることにしたようだ。

 簡易貯蔵庫から鍬を取り出してユーシンに渡した。

 ゲームの職業に農夫は無かったけど、拠点として使える施設を造ることができる機能の拡張で畑を造ることのできるMODを導入していたから、鍬や鎌が装備品として追加されたのだ。

 ・・・思い出しちゃったよ、拠点・・・苦労して作ったなぁ。

 サンドボックスみたいな感覚で作れたから熱中しちゃったんだよなぁ、時間が溶ける溶ける。

 MODで建築素材をガンガン追加して、それを作るために森を丸裸にしたり、山を掘りすぎてスポンジみたいにしちゃったなぁ・・・サンドボックスは沼だから、たぶん拠点づくりだけで数千時間は溶かしたよな。

 流石にこの世界であの情熱はかけられないけど。

 早速ユーキとスローク、俺の3人は木の切り出しに向かった。

 利用できる土地は広がったけど、広場が広がることは無く、森の樹々はそのままだった。

 利用するには切り出さないといけないわけだし、安全に材木が手に入ると思えばありがたい仕様だ。

挿絵(By みてみん)

 スロークと俺が斧で木を倒し、ユーキとゴンが枝を落とす。

 アオンとクマは一応警戒という名のお散歩中。

いや、何となくはわかってたけど、ほんとに全部手動なのね。

以前補正機能付きの斧を持っていたけど、調子に乗っていた俺のミスで強化ショートソードと一緒に落としてしまったことが悔やまれる。

 「すごいな。」

 肩で息をしながらスロークがこちらを見ていた。

 「一応補正機能付きの斧なんだけど、全然かなわないよ。」

 というスロークが倒したのは4本、俺は6本だ。

 「採集スキルMAXだからね。

 補正付きの斧は最初のころに落としちゃったんだよ、あの頃は悲惨な生活だったなぁ。」

 この斧はゼノ村で購入した安物だ。

 それでも補正付きの斧を使う(しかもレベルもずっと高い)スロークより速いってことは、採集スキルの影響が色濃く出ているってことだろう。

 スロークも採集スキルは熟練MAXまで上げていたそうだけれど、暗殺者には不要だと、転職時に持ち越せる5つのスキルには除外していたそうだ。

 ま、生産職でなければ不要だからね。

 超越者以外は、他の職業で得たスキルで持ち越せるスキルに制限があるから、仕方のないことだ。

 大体が貯蔵庫系統や自己回復系統を中心にセットするスキルを決めるので、こういった補助的なスキルは外されてしまう。

 これでもし、俺のステータスがスロークと同じくらいだったらもっと差が出ていただろう。

 「枝打ちって結構面倒なんだね、腰痛くなってきた。」

 ユーキが早くも音を上げた。

 切り倒した木から枝を落とす作業なんだけど、まだ2本目じゃないか。

 すでに4本目に取り掛かっているゴンの方が優秀だな。

 封印しているアオン、ゴン、クマ、ヴォーライル(まだ名前つけてない)の補正で、それなりに肉体強化されているはずだけれど・・・。

 「ソンチョーの話だと、作業場ができると枝打ち用の作業台もあるって言ってたよ。」

 とスローク。

 それって機械だったりするのかな。

 一台で大木を切り倒して、そのまま枝打ちまでする重機の動画を見たことあるけど、さすがにそれほどすごいものじゃないんだろうな。

 「100万ベルだから当分先になるけどな。」

 金額にがっくりうなだれるユーキ。

 うん、無茶苦茶高かったよね、ランク2の設備なのに。

「木の乾燥も1週間くらいでできるようになるはずだって言ってたから、なんかしらの特殊機械はありそうだけど。」

 夕方には作業を切り上げた。

 食事の支度があるのだ。

 魔素抜きをしておいた食材を取り出して調理、というか、昨夜と同じメニューにプラス蒸かし芋が付くだけだけど。

 昨夜はまだエグみが強くて使わなかったジャガイモを使った。

 マヨがあればポテサラとかもよかったけど、ガチャはまだ危険だ。

 デザートに完熟魔素抜きラサの実も付けた。

 油が欲しいな。

 ジャンクフードと異世界飯テロの王様、フライドポテトやポテトチップスが食べたい。

 今はまだ夢のまた夢。

 支度が終わる頃にはみんなが揃って、食事しながらの報告会。

 畑の方は9面完成したそうなので、明日は種を植えてから溜池の作成に入るらしい。

 1面辺り10m×10mの正方形の畑が9面。

 帰りがけにチラッと見たけど、ソンチョー宅を正面に見ながら左手奥に作られた9面の畑は何とも壮観だった。

 リンゴの苗木はソンチョー宅の右隣に植えられた。

 手作業でやらなきゃならないとはいえ、作業速度は相当早い。

 ある程度は補正が入ってるってことか? ゲームだと一瞬だもんな。

 植えた野菜が収穫できるまでは、ゲームで4週間~12週間、作物ごとに違うようだ。

 現実的に、となるとかなり大変。

 トマトやネギは50~60日程度、キャベツ、ニンジン、ジャガイモが100~110日だけど、玉ねぎ、小麦は秋に植えて収穫は翌年の6月頃・・・長い。

 リンゴの苗木は実をつけるまでに8年はかかる。

 しかも、同じ品種の花粉だと受粉しないっていう厄介な性質があるので、1本だけでは実がならないんだ。

 「他家結実」って言ったかな、違う品種の木を用意して、人工授粉させるのだ。

 そうして初めて実ができるという厄介さ、父親の実家が農家で、若い頃ちょっとだけ手伝ったことがある。

 受粉させる花粉は他の木から採取して、手作業での受粉作業、とてつもなく大変だった。

 その後高齢化もあって蜜蜂を使うようにしたって聞いたけど、この世界じゃちょっと無理そうだよな。

 リアルじゃなくゲーム補正を利かせてほしいもんだけど、どうなんだろうね。

 でないと、リンゴの収穫なんてできないぞ。

 ソンチョーに聞いたら、最初の作物はすでに収穫できる状態だったそうで、その後植えたキャベツ、ニンジン、ジャガイモは順調に育ってるけど収穫はまだ。この世界に来てザックリ50〜60日くらいだから、育成時間はゲームよりも現実に近いのか?

 と、”常識”さんがこの世界、というか、今いるサンザ王国の暦について思い出した。

 1年は12か月で区切られ、1か月は30日、ただし、年始めの5日間はどの月にも属さず、安息日として休日に指定されている。

 冬の終わりでもある安息日だけは、必要最低限の者、騎士や兵士の一部以外は休養が義務付けられている特別な日だ。

 今、季節は秋に当たるようなのでじきに冬が来る。

よくないな。

 正直、実際の作物が1か月くらいでどの程度育成しているのか、その状況が分からないから、現状の把握ができない。

 少なくともゲームでは4週間で収穫できていたキャベツ、ニンジン、ジャガイモがまだ収穫できないのだからゲーム通りでないのは確実だ。

 この周辺の冬は結構雪が降るようで、常に腰くらいまで積もるような状態になる。

 とは“常識”さん情報だけど、そうなったらもう収穫はできないわけで、下手をすると今植えてある作物は収穫前に冬が来てしまうかもしれない。

 食料不足に陥る危険が・・・。

 あ!防寒具もいるじゃないか!薪も大量に揃えて置かないと凍死する。

 やばい!と思い立って、緊急会議を発案した。

 「そうですよね、ゲームじゃないですもんね・・・全然考えてませんでした。」

 頭を抱えるソンチョー。

 ポスドクとはいえ専門は言語学らしいから仕方ない。

 「やっぱ、一度外に出て魔石とか素材売らないとマズいっスね。

 その金で防寒具とか食料買い込んで来りゃいいっしょ。」

 ユーシンの軽トラに頼ることになるな。

 それでも、安全に移動するためにも頑張ってもらうしかない。

 「問題は、ここがどこなのか分からないってことだよね。」

 ユーキの指摘は大きな問題だ。

 元からここにいたソンチョーとスロークはもちろんのこと、俺らも散々逃げ回ってたどり着いたから、ここが森のどこらへんなのか、全く分からない。

 「北にまっすぐ進んでみりゃいいんじゃないっスか?確か、この森って東西に長いんスよね。

 北なら木の年輪で分かるっしょ。」

 「あ、それ迷信、年輪の偏りって、地面の傾斜とかでも変わるし、方角無関係なんだってさ。」

 昔、キャンプにあこがれてちょっと調べたことがあったんだよね。

 結局一度も行かなかったけど。

 「太陽の方角で東西を、」

 「深い森の中だと太陽の位置わかんなくない?」

 「じゃぁ、北極星を見つけて、」

 「太陽より見つかんないし、夜しか動けなくなるよ、そもそも北極星あるの?この世界。」

 「ツんでんじゃねぇっスか。」

 ユーシンとユーキの問答は即終了。

 さて、どうしたものか。

 「とりあえず、方向はザックリこの広場で太陽見て決めるとして、まっすぐ進むことに気を付けていけば外には出られると思うけど。

 なにか、遠目にもハッキリとわかる目印を木に付けていければ極端に曲がってしまうことは防げると思う。」

 そう言ったスロークの案以上の解決策は出ず、とりあえずそれで進もう、という結果になった。

 問題は目印だ。塗料があれば一番いいけど、そんなものは無い。遠目にも目立つ目印となると、なかなか思い浮かばない。

 「いっそ、木を切り倒して道を作っていくとか。」

 「いや、時間かかりすぎっしょ。」

 「魔物もうじゃうじゃ寄ってきそうだよね。」

 「クソ猿は間違いなく来るな。」

 巨猿、まだ諦めてないだろうなぁ。

 実は木の切り出し中もたびたび“警戒”に反応があったんだよ。

 「とりあえず、その猿を倒さないか?自分も参加するんで。」

 スロークの提案に、リベンジに燃えるユーシンは即賛同、どのみち食材確保に森に出なければならない以上、巨猿は早いうちに始末した方がいい、ということで、翌日の予定を変更して巨猿討伐が決定した。

 討伐となれば、改めて今の自分を知っておかねばなるまい。


氏 名:シン(15)/飯田 真一(48)

性 別:男  種 族:ヒューマン  職業 :超越者  レベル:15

経験値:25481  次のレベルアップまで2519

生命力:78/78  魔 力:82/82  気 力:77

筋力:79  体力:79  敏捷性:75  器用さ:75  知識:77  知恵:75

魅力:75

魔法 :

ライト マジックミサイル マジックシールド スリープ ボディプロテクション

バインド マジックレイン ポイズン ライトヒール ヒール ホーリーライト キュア リカバリー ライオンハート ターンアンデッド キュアディジーズ エンチャントオーラ スピードアップ パワーアップ ディフェンスアップ ファイヤ コールド ウインドボイス アーストーン アイストーン エアスラッシュ ファイアウォール クリエイトアクア ストーンバレット

スキル:

強撃 頑強 斬撃 連撃 強連撃 パリィ 盾術 掌底 応急処置 警戒 強運 静動 遠見 弓術 罠感知 罠設置 採集 追跡(森) 看破 追跡(人) 聴覚上昇 視力向上 見立て 修繕:木工:石工:鍛冶:金細工 鑑定 簿記 資材加工 大工 調理


頭の中だけで処理するのが難しくなってくるな。

咄嗟の時に使えるようにシミュレーションしとかないとなぁ。

 結局、夜遅くまで明日の対策に頭を悩ませることになってしまった。

 う~ん、俺、こんなんで大丈夫か?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。