レモンエリ「3」
「ダメじゃないけど、鎧のほうが防御力よほど高い。スペシャルステータスのためじゃない場合、戦士が鎧を選んだ方がいいぞ」
「そっか、じゃ仕方ない」
彼女は少し嫌々ながら立ち止まって、手を空振った後、装備が黒い鎧に着替えた。確かにコモン品質の鎧の見た目が酷い。錆びと切裂きが付いててボロボロの感じがする。やはり彼女の言ってた通り、これを着たらかわいいと無縁になった。
パーティーを組んだらやはり違って、多数のモンスターじゃない場合余裕がある。その代わりに経験値がだいぶ減ったけど。
ムーンフォレストから離れ、目のまえに現れたのは緑色な風の壁。エリが躊躇なく足を踏み出して、すがたが壁に溶け込み消えていく。彼女の後について足を踏んだあと、俺は石化したように、目の前の景色に驚愕する。
七つの島が重力の縛りから離れ、程よいアンバランスで空に並んでいる。水が空から注ぎ、各島にたどり着いて滝になる。七つの島の真ん中に、大きな木が空まで延びて、空と樹冠が見分けられなくなる。月と星が静かにこの世界を見守って、銀色の光が柔らかくて美しい、全てがその光に照らされて銀色を染めたようだった。
これが「マーベル」、これが「奇跡」。
俺の先に歩いたエリが俺のことを気づき、笑って振り向く。
「あっ、これはこうなりますもんね。私が初めてマーベルに来た時もすごく感動したんだ」
「ええ、確かに感動するほど美しい景色だ」
俺が頷いた後、空に浮いている島を見て新しい疑問が浮かぶ。
「けどどうやって島にたどり着く?」
「それはね......こうするの」
彼女が俺の腕を掴み、力を足に込めて軽く跳んだら、
「おおわああ、とっ飛んだ!」
俺は思わず声が漏らした。
「マーベルに誰でも飛べるの、ただ軽くジャンプして、どの島もたどり着ける」
彼女が空中に俺の腕を放した。柔らかい風が身体を支えて、俺がタンポポのように行きたいところに漂う。
「素晴らしい体験だなぁ」
エリと一緒に島に着地した俺が言う。
「じゃあログアウトして寝ろ、もうマーベルに帰ったし」
「チェっ、まだ覚えたのか」
彼女が顔を横に逸らして、いい笑顔で俺を約束のことを忘れさせるというプランが失敗の顔つきが現れた。
「でもあたしーサトウさんと一緒に遊びたいです(ピカピカ)」
彼女が極力ウィンクして俺に目くばせをする。
「この手が俺には効かないよ」
俺が無反応のことを見て、彼女が少しだけ萎む。
「けど私まだ眠くないです、もう一時間、いや、三十分!」
「却下!約束しただろう、さっさと寝ろ。そもそもお前何でこんなに寝たくないの?」
エリがこんなにログアウトを拒むことを見た俺は、思わず原因を尋ねる。
「それは先が言ってた......」
彼女はほおを膨らませて、両手を背中に組み、地面の草を足で弄りながらつぶやく。
「もし私がログアウトしたらサトウさんが絶対に私と連絡を取ることをしないでしょう」
「フレンド申請を通しても、一緒に遊ぼうと約束しても。連絡した時にきっと“まだ今度ね”とか、“今はちょっと”とか誤魔化されて」
俺は恥ずかしそうに頬を掻いて、視線を逸らす。彼女に図星を指された、確かに俺はそうするつもりだった。
「だから私できるだけサトウさんと一緒に遊んで、もし何のきっかけに仲良くなったら、ちゃんと友達出来るかもしれないって」
彼女が頭を下げて、拗ねたように頬を膨らませ、わざと視線を別の方向に向く。長い耳が時々震えて、まるでこねこのようだ。
それを見た俺はため息をつき、仕方がなく言う。
「分かったよ、約束しよう。お前とちゃんと友達になるから、安心して寝てくれ」
「本当?」
彼女がチッラと俺に視線を投げてくる。何か騙されたような感じがしたけど、俺は頷く。
「ええ、本当」




