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エピローグ

「アモン様―、お食事ですよー」

 魔王は普通の悪魔と違って食事をしないといけない。面倒くさいと思っていたが、彼が毎日運んでくれるため、魔王になってから食事が面倒くさいと思ったことは一度もない。

「オセって便利だな」

「バティン様には嫌がられてましたけどね」

 そう言ってオセは苦笑した。


 バティンが消えてから数か月が経った。あの後オセはすぐに切り替えて、私を新たな魔王として扱った。カイムは今までと変わらない。勇者はしばらく打ちひしがれていたが、ルーナと女と共に人間界へ帰って行った。

 こうして、魔王に指名されるという想定外の事態はあったが、それを除けば勇者が来る前の平和な日々に戻るはずだったのだが……。

 ノックの音と共に、扉が開かれた。入ってきたのは。

「やっほー、久しぶりー! っていってもこっちではそんなに経ってないんだよね」

「やはり人の心を動かすのは難しいな。少し相談に乗ってくれないか?」

「リベルト様に変なこと吹き込んだら殺すからね」

「今日もよろしく頼む」

 もはや恒例となった勇者御一行を見て、思わず深く溜息をついた。


 彼らはあれから何故か頻繁に魔界に遊びに来るようになった。勇者はバティンの最後の言葉を受け、魔界の実態を人間たちに教えようと奮闘しているらしいが、やはりなかなかうまくいかないらしく、何故か度々私のところに相談に来る。それに女がついてきて、横で私に睨みをきかせていたのだが、最近は何故か女自身も勇者に関することをこっそりと私に相談してくる。知るか。彼らが来るからと、ルーナもちょうどいいとばかりに私の様子を伺いにくる。さらに最近は、勇者の演説で魔界に興味を持ったという男まで来るようになった始末だ。すでにこの部屋には悪魔より人間の方が多い。日に日に穏やかな日々から遠ざかっているのは何故なのか。ああ、面倒くさい。やはりあの時、ルーナを止めておくべきだったか。

 そう思いルーナを見たのだが、彼女は何かを思い出したようで、嬉しそうに口を開いた。


「そういえば、人間界の東の国で超絶イケメンな王子がいるらしいのよ。後宮もすごい規模らしくてね、しかも美人ばっかり!  その王子の名前が、『バティン』って言うんだって」

「……そうか」

 どうやら彼は無事に野望を達成できたようだ。確証はないが、少なくともここにいる彼のことを知っている面々はそう思っているようだ。欲望に忠実な悪魔である彼が、泣き言を言いつつ魔王であった日を思い出す。それに免じて、私もしばらくは今の状況に甘んじてもいいかと思うことにした。

はじめまして、またはお久しぶりです。はねうさぎです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

本作品は暇つぶしに軽く読めるコメディを、と思い書いたものです。そういった作品を読むのは大好きなんですが、書くのはとても難しいと実感し、素敵な作品を書ける作家様たちを改めて尊敬しました。

次回は以前書いたマーブルの続編を予定しているので少しジャンルは違うのですが、興味がある方はまた読んでいただければ嬉しいです。

それでは、ここまでお付き合い頂きありがとうございました。

ご意見、ご感想等ありましたらよろしくお願いします。


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