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猫を助けたかっただけなのに  作者: めい


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第51話



ごきげんよう。

クロエ・カサブランカでございます。



本日は花の月6日。

安息日のため学園はお休みですわ。


本日も朝のルーティンや洗濯を熟した後昼食を頂き、家事を済ませ、ただいまサンルームにてティーブレイク中でございます。


本日は特に予定がございませんので、この後はフリーですわ。

何をして過ごしましょうか…


あ。そうですわ。

今週の魔法薬学の講義で中級回復薬(ポーション)を作成しましたが、それの復習をしておりませんでした。

材料も亜空間収納にたくさん入れておりますし、ちょっと練習してみましょう。


ここは洗濯物を干していますのでリビングの方が良さそうですわね。



リビングに移動し、テーブルの上に材料と道具を準備して、いざ作成です。


今回は、講義で作成した体力回復薬(ポーション)、魔力回復薬(ポーション)、傷回復薬(ポーション)の3種類を作成します。

それぞれの材料に余裕があるため、講義で作成した中級だけでなく、下級から特級までの4段階に挑戦してみようと思います。


まずは体力回復薬(ポーション)から。


材料は体力草、元気出草、聖水、魔石、作成者の魔力。


まず、体力草と元気出草をよく洗い、乾燥(ドライ)で乾燥させます。


次に、ビーカーに聖水と、乾燥させた体力草と元気出草を入れ、成分を抽出します。

講義では、最初にこの工程を行い、先生のお話を聞いてから次の工程に移っていました。

先生のお話が10分程でしたので、今回も抽出時間は10分でしてみましょう。


…火にかけて煮出すのと、そのまま浸して抽出するのはどちらが効果的なのでしょうか?


テキストには聖水に入れて抽出するとしか書いていませんし…試してみましょう。


実験用の小さな卓上コンロを3つ取り出し、それぞれに耐熱ガラスでできたビーカーを乗せ、先程同様聖水と、乾燥させた体力草と元気出草を入れ、火にかけます。


それぞれの火加減を弱火、中火、強火にし、10分煮出します。



10分後。

火を止め、ビーカーの中身を鑑定します。


「[鑑定(アプレイザル)]」


ヴォン…


それぞれの鑑定結果がモニターに出て来ました。

まずは水で抽出したビーカーから。


【体力回復薬(ポーション)の素】

乾燥させた体力草と元気出草を聖水に浸して有効成分を抽出した液体。

成分抽出度80%。

魔石を加えて混ぜれば下級、魔石と魔力を加えて混ぜれば中級の体力回復薬(ポーション)となる。



ふむ?

そのままの状態で抽出しても薬草の成分は80%程の抽出度なのですわね?


では、煮出した方はどうでしょう?


【体力回復薬(ポーション)の素】*高品質

乾燥させた体力草と元気出草を聖水に入れ、弱火にかけて有効成分を抽出した液体。

成分抽出度120%。

薬草のポテンシャルを最大限に引き出し、余すところなく抽出出来ている。

魔石を加えて混ぜれば上級、高レベルの聖属性の魔力を加えて混ぜれば特級の体力回復薬(ポーション)を作成する事が出来る。

尚、聖属性魔力のレベルに応じて出来上がるランクも変化するため、下級以下にもなり得る。



………はい?


弱火で抽出した物の文面がすごい事になりましたわ。

成分抽出度が120%ってあり得ますの?

それに、聖属性魔力のレベルに応じて回復薬(ポーション)自体のランクにも差が出るとは…

高品質と記載があるため、てっきり簡単に高ランクの回復薬(ポーション)を作成出来ると思いましたが…

これは心して作成に取り掛からなければなりませんわ。



そして、中火で煮出した物は抽出度100%、作成出来るのは上級まで。強火で煮出した物は有効成分が蒸発してしまったのか、成分抽出度は20%と極端に数値が少なくなった上に、回復薬(ポーション)にはなれないと表示されました。

この数値は、下処理した薬草達をハサミでカットした場合も変わりませんでしたわ。



この鑑定結果によりますと、下級と中級は火にかけずに抽出した素で、上級と特級は弱火で煮出した素で作成可能との事ですので、これから体力回復薬(ポーション)を作成する際はランクに応じて薬草の抽出方法を変更しましょう。


下級、中級、上級はサクッと作成し、ポーション瓶に詰め、亜空間収納へ。


特級は、高ランクの聖属性魔力との事でしたが、どの位魔力を注げばよろしいのかしら…

少しずつ、様子を見ながら注いでみましょう。


先程の高品質体力回復薬(ポーション)の素が入ったビーカーをテーブルの上に置き、ガラス棒で中身を混ぜながら棒から魔力を注ぎます。


余談ですが、体力草と元気出草は回復薬(ポーション)の素になった時点で溶け切っているため、葉が残る事はございません。

ただし、昨年の先輩の様に、作成に失敗すると焦げた状態で葉が現れるため、結果が一目瞭然ですの。

不思議ですわよね。



水色だった液体の色が青になってまいりましたが、まだまだですわね。


クルクル…


ビーカーが淡い光を纏って来ました。

もう少しでしょうか。


パァァァァァァァァァァァッ!!!


「眩し…っ!」


突然、ビーカーが強く光出し、あまりの眩しさに目を瞑りました。


スゥッ…


光が収まり目を開けると、ビーカーの中にはサファイアの様な色の美しい液体に、金色のラメが散りばめられてキラキラと輝いています。


「出来た…のかな?

見た目は特級だけれど…[鑑定(アプレイザル)]」



ヴォン…


【特級体力回復薬(ポーション)

サファイアの様な美しい青に金色のラメが散りばめられた液体状の回復薬。

飲むと体力をステータス上限値まで一気に回復してくれる。



「うわぁ…出来た…!

やったーーー!」



嬉しくて思わず万歳をしていますと…


チリリン♪チリリン♪



はっ!ウィリアムからの着信ですわ。


「[映像通話(モニターコール)応答(アンサリング)]」



ヴォン…


『クロエ♡』


画面の向こうではウィリアムが笑顔で手を振っています。

わたくしも笑顔でウィリアムに手を振りかえします。


「ウィリアム。ごきげんよう。」


『ずいぶんと嬉しそうだけど何してたの?』


ウィリアムが不思議そうな表情で尋ねてきました。


「ウィリアム、こちらをご覧くださいまし!

魔法薬学の復習で体力回復薬(ポーション)を作成していましたら、特級体力回復薬(ポーション)の作成に成功ましたの!!」


じゃーーーーん!

と言わんばかりにわたくしは満面の笑みで出来たての特級体力回復薬(ポーション)をウィリアムに見せました。


『………は!?

特級って…本当に!?』


「えぇ。本当ですわ。

鑑定で確認しましたもの。」


『………本当だ。

特級なんてそうそうお目にかかれる物では無いが…

まさかそんな代物を作れてしまうなんて…』


「わたくしもこんなに簡単に出来るとは思っていませんでしたわ。

でも、作成出来た事はここだけの秘密にしてくださる?」


実は、特級回復薬(ポーション)は市場に出回る事は殆ど無く、高ランクダンジョンの高層階の宝箱に低確率で入っているアイテムですの。

上級回復薬(ポーション)ですら作成出来る魔法薬師は国に1人いるかいないかといったレベルで、市場に出回る事は稀にある程度です。


でも、わたくしは今の状況で十分だと考えております。


だって、そうでしょう?


体力も、魔力も、傷も。

一瞬にして全てが回復してしまえば、愚かな権力者が考える事は1つですわ。

特に、特級傷回復薬(ポーション)は、欠損した体の一部を一瞬にして再生する事が可能な代物です。

その様な物をホイホイと市場に卸してしまえば、世界が滅びるまで戦争は終わりませんわ。

兵士は一生戦地で戦い続ける事を強要されるでしょうし、魔法薬師は一生特級回復薬(ポーション)を作り続ける事を強要されるのではなくて?

その様な不幸な世界を、わたくしは望みませんわ。

ですから、先程の事はわたくしだけの中に留め、特級回復薬(ポーション)の存在もここだけのお話に留めるようウィリアムにお願いしましたの。


それに、こんなに簡単に特級回復薬(ポーション)を作成出来たのは、恐らくロディやご都合主義なこの世界のおかげだと思いますから。


『………分かった。

クロエがそう望むなら誰にも言わない。』


「ありがとう。

ウィリアムの優しさにわたくしはいつも救われていますわ。」


本当に、ウィリアムは優しいですわ。

出会った頃からずっと、わたくしの事を甘やかしてくださっています。


『………ボソッ』


笑顔で感謝を伝えたら、ウィリアムが何か仰った様な気がしましたが、気のせいでしょう。


「あら。もう6時ですの?

夕食の準備をしませんと。」


『何を作るんだ?』


「そうですわね…何も考えていませんでしたが…

手軽に出来るパスタにしようかと。」


確か先日作った手作りパスタが亜空間収納にあったはずですわ。

それからパンチェッタとチーズもありますので、カルボナーラにしましょう。

前世ではよく作っていましたので、わたくしにとってはお手軽料理のひとつですの。

それからコンソメスープと、こちらも先日作った野菜のテリーヌも一緒に頂けば、立派な夕食ではなくて?


『ぱすた?って何だ?俺も食いたい。』


「では後日『今すぐ食いたい。』……。」


くっ…食い気味に…

ウィリアムは基本的にわたくしの言葉を遮る事はなさらないのですが、どうも食が関わると別のようです。


「今すぐと言っても…どうやって……」


転移(テレポート)で送ってくれ。』


「………やった事ありませんので、上手くいくか保証できませんわよ?」


『それなら俺がそっちに転移(テレポート)するが。』


「必ず成功させますわ。」



結局、作った夕食を転移(テレポート)でウィリアムの自室に送り、モニター越しに一緒に夕食を頂きましたわ。

ウィリアムはカルボナーラもお気に召したようで、何度もおかわりを催促され、その度に作っては転移(テレポート)で送っての繰り返しだったため、何だか慌ただしい夕食となりました…


……次からは夕食時の映像通話はやめましょう。





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