第40話
ごきげんよう。
クロエ・カサブランカでございます。
わたくしは今、王都の貴族街にありますベロニカのお家、ラナンキュラス邸にお邪魔しております。
本日より2泊3日、こちらでお世話になる予定ですわ。
「クロエ、いらっしゃい!お待ちしていましたわ。」
「クロエさん、特出したもてなしはできないが、どうぞゆっくりしていってくれ。」
「クロエさん、寒い中来てくれてありがとう。
ゆっくりしていって頂戴な。」
「クロエ嬢、いらっしゃい。久しぶりだね。」
「クロエ嬢、お久しぶりです!」
「皆様、お出迎え頂きありがとうございます。
本日よりお世話になります。」
玄関ホールにてラナンキュラス家の皆様にお出迎え頂きました。
ラナンキュラス家は領地を持たない伯爵家で、代々王宮勤めをして、国に仕えている家系ですの。
本来ならばこのような広々とした邸に住む事や多くの使用人を雇う事は難しいのですが、今代のラナンキュラス伯爵は宰相補佐官を務める程の優秀な方ですので、領地持ちの貴族と比べても見劣りしない程に立派な邸を構える事も、多くの優秀な使用人を雇用する事も可能の様です。
しかし、相変わらずの美形家族ですわね…眼福でございますわ。
伯爵は背が高く、ダンディなおじ様でいらっしゃいますし、夫人は柔和な雰囲気でありながらグラマラスボディを持った美女でございます。
ベロニカのお兄様であるヴィクター様も背が高く、お父様である伯爵にそっくりな美大夫であられて、弟のマシュー様はスラリと背が高いのに可愛らしい、元気な印象を与える方です。
おそらく、お母様である夫人にお顔立ちが似ていらっしゃるのと、ふわふわの髪の毛がその印象を強くするのでしょう。色彩は伯爵やヴィクター様、ベロニカと全く同じですが、マシュー様だけ印象が違いますわ。
ちなみに、夫人はアクアマリンの様な瞳に、オレンジ色の髪をアップにまとめていらっしゃいます。
「クロエ、外は寒かったでしょう。
お茶を淹れるからまずはティールームへ行きませんこと?
後程貴女のお部屋にご案内するわ。」
「えぇ。是非。
ベロニカ、お気遣いありがとう。
お土産のお菓子を持ってきたの。
ティールームでお渡ししてもよろしくて?」
「まぁ!何かしら!?
楽しみだわ!」
わたくしは、ベロニカにお土産の話をしながら、ラナンキュラス家の皆様とご一緒にティールームへ移動し、皆様が着席なさった頃を見計らい、ベロニカに切り出します。
「ベロニカ、本日はお招きありがとう。
わたくしからのほんの気持ちですが、受け取ってくださいまし。」
わたくしはそう言いながら小さく開いた亜空間収納からお土産のお菓子を取り出します。
「まぁっ!!!」
「こっ…これは!?」
「!?」
「すごいです!クロエ嬢!」
「クロエ…これはもしかして…」
皆様それぞれの反応で驚いていらっしゃる中、ベロニカが呆然とした様に問いかけてきました。
わたくしはそれに笑顔で頷きます。
「ええ、イチゴのタルトよ。
先日作った時、貴女が瞳を輝かせて見てくれていたから気に入ってくれたのだと思って作って来たの。
それから、カスタードタルトに、リンゴのタルト、モモのタルトも作ってみたの。
是非召し上がってみて?」
わたくしが取り出したのはミニタルト達。
それぞれのタルトを指しながら簡単に説明します。
1週間という準備期間がございましたので、マイハウスでのんびり過ごしながら4種類作ってみましたの。
本当はもっと作りたかったのですが、他のスイーツも作りたかったのでこの4種類になってしまいましたけれど。
がばっ!
「クロエ!ありがとう!
わたくしの事を考えて作ってくれた事がとても嬉しいわ!」
左隣の席のベロニカが立ち上がったかと思いましたら、次の瞬間、わたくしに抱きつき、感謝の言葉を仰ってくださいました。
そのお気持ちだけで、作ってきた甲斐がございましたわ。
「ベロニカが喜んでくれてわたくしも嬉しいですわ。
お茶が冷めないうちに頂きましょう?」
わたくしも抱きしめ返しながら、笑顔のままベロニカへ着席を促します。
ベロニカも笑顔のまま、そっとわたくしから離れ、着席なさいました。
「本当に綺麗…
大きいサイズも綺麗でしたが、このサイズも可愛らしくて芸術の様ですわ…」
「確かに、果物がとてもキラキラしていて美しいですわね…」
「このサイズもちょうど良いな。
全ての種類を美味しく食べられそうだ。
では、頂こう。」
ベロニカと夫人は輝く瞳で並べられたミニタルト達をご覧になっていましたが、伯爵の声掛けで、皆様気になったタルトをお手元のお皿に取り、一口召し上がりました。
「はぁ…やっぱり美味しい…」
「まぁ!このお花…リンゴだったのね!
とても美味しいわ!」
「このカスタードも上の茶色い部分がほろ苦くて美味しいね。」
「ええ。このほろ苦さと滑らかなカスタードの甘さがとても合いますね。」
「このモモのも瑞々しくて甘くて美味しいですよ!」
「皆様のお口に合ったようで嬉しいですわ。」
ベロニカはうっとりと眺めながらイチゴタルトを、夫人はリンゴのタルトを笑顔で召し上がっていますし、伯爵とヴィクター様がそれぞれカスタードタルトを召し上がりながら和やかに会話なさっています。
マシュー様は笑顔でモモのタルトを頬張っていらっしゃって、とても可愛らしいですわ。
それからも和やかな会話が続き、楽しいティーパーティーはお開きとなりました。
ガチャ
「クロエ、こちらが貴女のお部屋よ。」
ティーパーティーの後、ベロニカがわたくしのために用意してくださった客室に案内してくださいました。
とても日当たりが良く、明るい素敵なお部屋です。
調度品も、色彩がアイボリーと木目調でまとまっていて、わたくし好みですわ。
「素敵…こんなに良いお部屋をよろしいの?」
わたくしは、あまりにも自分好みのお部屋に驚き、思わず振り返ってベロニカに確認いたしました。
「もちろんよ。
だって貴女の好みに合わせて用意したお部屋だもの。」
「ベロニカ…ありがとう…」
わたくしが気にしない様に、まるでイタズラが成功した様な表情で、ベロニカが肯定なさいました。
わたくしの事を考えてご用意してくださった事に、嬉しくて、温かい気持ちになります。
部屋の中は広々としていて、木目調の天蓋ベットに天蓋のレースやリネン類は全てアイボリーで統一してあり、ソファやテーブル等は木目を活かしたデザインで、室内のファブリック類も全てアイボリーで統一してあります。
心遣いがとても嬉しいですわ。
夕食までの間、ベロニカとここでゆったりと過ごします。
ベロニカの侍女がお茶の用意をしてくださり、ベロニカの合図で退出しました。
ベロニカとわたくしはソファにゆったりと掛けながらお茶を頂きます。
「クロエ、先程のミニタルト、本当に綺麗でしたわ。
それにどれもとても美味しくて、先程の様子からして、皆んな気に入ったはずよ。」
「気に入って頂けて嬉しいわ。
タルトはバリエーションが豊富なお菓子だから、上に乗せる果物やフィリングを変えるだけで見た目も味わいも変わってきますのよ。
今回は4種類作ってきたけれど、また機会があれば違った種類も作りたいと思っているの。」
「まぁ!素敵!
その時は是非味見させてくださらない?」
「もちろんよ。
その時は声を掛けるわ。」
「嬉しい!待ち遠しいわ!」
コンコンコン
ベロニカが満面の笑みで手を合わせ、喜んでいる最中、部屋のドアがノックされました。
「ベロニカお嬢様、夕食の準備が整いました。」
先程の侍女が夕食の用意が出来た旨を伝えに来てくださった様です。
「あら…わたくしったら…
ええ、分かりました。
すぐに食堂へ向かいますわ。」
「では、参りましょうか。」
感情が昂った事に照れているベロニカを微笑ましく思いながら、2人で部屋を後にしました。
こんばんは。めいです。
本日もご覧いただき、ありがとうございます。
今回でメモ機能にストックしていましたお話が最後になります。
投稿を始めた時、1日1話の掲載をモットーに、投稿しながらストックを増やしていければと思っていましたが、こちらに掲載する際、何度も読み返しながら加筆修正を繰り返しているため、ストックを増やすどころか減る一方になってしまいました…
今後は直接ぽちぽちしていく事になりますので、投稿のペースが遅くなります。
あまり間隔が開かない様に頑張りますが、気長にお待ちいただけますと嬉しいです。
引き続きよろしくお願いします。




