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猫を助けたかっただけなのに  作者: めい


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第39話



ごきげんよう。

クロエ・カサブランカでございます。


本日は雪の月18日。

楽しかったCクラスの勉強合宿も本日で最終日となりました。

わたくし、前世では部活動やクラブ活動等に所属しておりませんでしたので、これが初めての合宿でございましたが、とても楽しかったですわ。

叶う事なら、また来年もこういった合宿が出来ると嬉しいですわ。


あ、そうそう。

この合宿が終わりましたら、来週はマイハウスでゆったりと過ごし、その翌週はお出かけをする事になりました。


何と!

ベロニカからお泊まりのお誘いを受けましたの!


残りの2週間の予定を聞かれましたが、マイハウスで1人で過ごす旨を伝えましたら、それなら家で過ごさないかと誘ってくださったの!

雪の月は元々雪深くなるため、身分問わずひと月まるまる家で過ごすのですが、ベロニカのご家族も皆様家にいるため、喜ぶので是非に…と。


嬉しいですわ!

お土産を持っていかなければなりませんわね!


あ…でも雪の月は先程の理由で王都のみならず国中のお店が閉まっていますし…

自分で作るしか無さそうですわ。


1週間ございますから、大丈夫でしょう。


閑話休題。



本日もダンデライオン家の料理人が作ってくれた朝食を皆んなで頂き、また各々で勉強中でございます。

わたくしはもうお約束の昼食作りです。


最後に昼食を頂き、この合宿は散会となります。

長かったような、短かったような…

何だか感情的になってしまいますわ…


さぁ。気を取り直して、今は料理に集中しましょう。

合宿の最後にみんなに美味しい物を召し上がって頂きたいですもの。


合宿のラストを飾るのは、ブイヤベースです。


先日エビパンを作る前に材料を確認しておりましたら、思いの外海鮮が豊富に取り揃えてありましたので、せっかくですから使わせて頂きましょう!


しかし…

絶対30人分では済みませんわよね…?

むしろ30人分だと…



「クロエ。」


ヒィッ!!!

後ろを振り向くと、ウィリアムが立っていました。


「ウィリアム、どうかなさいまして?」


なぜこうも毎回タイミングよく後ろに立っているのでしょうか…?

なんて表情にも出さずに笑顔で応えているわたくしをどなたか褒めてくださいまし。


「今日の昼食は何を作るんだ?」


「そうですわね…身体が温まる物…とだけ伝えておきますわ。

出来てからのお楽しみです。」


わたくしがちょっぴり不敵な笑みを浮かべながらお応えしましたら、ウィリアムがゆっくりとこちらに近づいてーーーー


「…分かった。

それなら…楽しみにしてる。」


「………っ!…えぇ。そうしてくださいまし。」



………!?????


今、何が起きていますの?

ウィリアムの手が、調理台を背にしたわたくしを囲うように台の左右に置かれ、わたくしの目の前には上質なシャツに包まれた逞しい胸板が…

左耳に直接吐息を吹き込むような甘い声で囁かれて、心臓が跳ね、頭がクラクラします…


わたくしが努めて平静を装い、返事をしましたら、ウィリアムは笑顔のまま、ゆっくりと離れて行き、そのまま調理台からも離れて行きました…



……………どうしましょう。

わたくし、今きっと顔が真っ赤ですわ!


前世ではお付き合いの経験はございましたが、こんなにドキドキするシチュエーションは経験した事ございません!


心臓が…ドキドキとうるさいですわ…!


確かに、ウィリアムはイケメンですが、それだけの方ではございません。

優しくて、頼りがいがあって、お強いのにそれを鼻に掛けず、常に周りに気を配ってくださって、笑顔が素敵な方ですわ…

って、これではまるで……!!!



「……っ!」


フワッ!


真っ赤な顔と早鐘を打つ心臓を誤魔化すかのように結界(バリア)を張ってしまいましたが、そのおかげで少し落ち着きを取り戻しましたので調理に取り掛かかりましょう。



まずは材料を準備して…


インターネットに載っていたレシピには、魚介類はたくさん入っている方が美味しいとありますので、文字通りたくさん使わせていただきましょう!


トマトペーストをネットショッピングで購入し、チーズと一緒に簡易冷蔵庫スペースに置いておきます。


あとは野菜と、調味料と…付け合わせのパンも用意して、調理開始です。



まずはタマネギの皮を剥いて薄くスライスし、オリーブオイルをひいた特大寸胴鍋に入れ、塩も入れて中火で軽く炒めます。


ちなみに、今回使用する特大寸胴鍋は、作る量が多いのでもう少し大きいサイズの寸胴鍋が無いかピーターに相談した所、すぐさまダンデライオン会頭の耳に入り、なんと1日でこんなに大きな寸胴鍋が2つも用意されていました…

会頭が職人さんを焚きつk…げふんげふん…プレッシャーを…げっふんげっふん!

あー…とにかく急いで用意してくださったようですわ。

職人さんには申し訳ない事をしてしまいましたわ…

そして圧が怖いです…


兎にも角にもひとつで50人分は作れそうですので、2つで今回は100人分という所でしょうか。

ヘラも特大のヘラを用意して頂きました!

すごーい(遠い目)


えー、次にセロリ、ニンジン、ニンニクの皮を剥き、千切りにします。

セロリとニンジン、みじん切りにしたニンニクを鍋に加えて炒めます。


トマトはヘタをくり抜き、ざく切りにして鍋に加え、再度塩を入れ、炒めます。


具材の水分が全体的に飛んできたら、トマトペーストを加え、さらに炒めます。


次に白ワイン、洗っておいたムール貝、アサリ、殻付きのエビを入れ、具材全体が浸かるまで水を加えます。


残りの魚介類はしっかりと水分を拭き取って…

全体にしっかり目に塩とコショウをしておきます。


今回はヒラメ、タイ、キンメダイ、ホタテの貝柱を使わせて頂きます。

なんて贅沢な…

個人的にも出来上がりが楽しみですわ!


そしてこの下処理をしたお魚さん達を鍋に加えて…

タイム、ローリエと、コンソメも加えます。

蓋をして、強火で煮立たせます。


よし!これでメインはひと段落つきましたわ!


次はソースです。


ルイユというブイヤベースには欠かせないソースで、ニンニクが効いたマヨネーズのような物のようです。

お好みでスープに溶かしたり、具材に付けて食べたりと、様々な楽しみ方があるようですわ。


…すみません。前世ではご縁がなく、頂いた事が無かったため、レシピのページ情報です…


まず、サフランとお湯をボウルに入れ、サフランの色を出します。

そこにすりおろしたニンニクを加えてよく混ぜます。


混ぜながらオリーブオイルとサラダ油を順番に入れます。

オリーブオイルだけですと、風味が強すぎてしまう事がある様ですので、このレシピではサラダ油と1対1の割合で入れる事を推奨なさっています。

わたくしは素人ですので、それに従います。


よしよし、分離せずよく混ざっていますわね。


そうしましたら、別のボウルに卵黄を入れ、先程のサフランとニンニクとオイルを混ぜた液を少しずつ入れながら混ぜます。


おぉっ!すごい!マヨネーズのようになりましたわ!

ちょっと味見…

美味しいですわ!

確かにニンニクの効いたマヨネーズですわね!

サフランの香りもふわっと香って良い塩梅ですわ!


鍋の方は…うん…お魚に火が通ったので良さそうですわね。


あとは焼いていたパンと…チーズもお皿に盛り付けて…完成ですわ!!


……………そして安定の整列ですわね。

なぜ、出来上がりの頃合いが分かるのでしょう…


結界(バリア)を解除し、皆んなに配膳をお願いします。



「皆んな、昼食の用意が出来ましたわ。

まずはこちらのパンとチーズ、それからソースも持っていってくださいまし。

飲み物とカトラリーもお願いしますわ。」


「「「「「「「はーい!」」」」」」」


皆んなが配膳してくださいますので、わたくしはブイヤベースをよそう事に専念します。


配膳を終え、全員着席しましたら、恒例のベロニカのご挨拶です。


「では皆んな、この美味しそうな食事を作ってくれたクロエに感謝して、頂きましょう!」


「「「「「「「頂きます!!!!!」」」」」」」


パクッ…


「「「「「「「美味い!!!」」」」」」」

「「「「「「「美味しーーーーーい!!!」」」」」」」


ほっ…良かったですわ。


わたくしも初めてのブイヤベース頂きます。


んっ!美味しいですわ!

ブイヤベースって、こんなに美味しいんですのね。

魚介の旨みと野菜の旨みが口いっぱいに広がってとても美味しいですわ。

これはルイユも合いそうですし、パンもチーズも絶対に合いますわね!

皆んなにもお伝えしませんと。


「皆んな、こちらのソースやパン、チーズはこのスープと相性が良いので、ぜひお好みで加えてみてくださいな。

パンはスープに浸して召し上がってみてくださいまし。」


「「「「「「「はーーーーーーーい!」」」」」」」


「うわっ!このソース入れると更に美味くなったぞ!」

「チーズを入れても美味しいですわ!」

「パンをスープに浸して食べるのも美味い!」


皆んな思い思いの召し上がり方でブイヤベースを楽しんでいらっしゃいますわ。

このスープは食べ方のバリエーションが広がるのでいいですわね。


「クロエ。」


ドキッ!


「…ウィリアム。お味はいかが?」


家でもブイヤベースを作ろうと考えていましたら、右隣に座っているウィリアムから声をかけられました。

先程の事を思い出して鼓動が早くなりましたが、何とか笑顔で応えます。

自然な笑顔、出来ていますわよね…?


「ああ、最高に美味い。

クロエは本当に料理上手だ。」


「あっ…ありがとうございます…」


今まで、ウィリアムに笑顔で褒めていただく事は多々ありましたが、単純に嬉しいという気持ちで、素直に感謝を伝えておりました。

ですが今は、嬉しい気持ちと…ほんの少し、胸を締め付けられる気持ちとが綯交ぜになって、何とか感謝の気持ちを込めて御礼を伝えました。


きっと今、わたくしの顔は赤くなっている事でしょう…


………この気持ちは、このまま育てても良い物なのでしょうか。

それでも、わたくしは、今世も自分を大切にすると決めています。

例え今は正直に伝える事が難しい状況でも、本懐を遂げた後、また会えましたら、この思いを伝えてみましょう。

ウィリアムも同じ気持ちでしたら嬉しいですし、もしも違った場合は、潔く諦めましょう。


それまでは、この思いを大切にしたいですわ。





その後、毎度のごとくおかわり者が続出したため、わたくしはまた配膳に逆戻りしました。


そして食事を終えた後、ベロニカから散会のご挨拶が。


「皆んな、5日に渡る勉強会、お疲れ様でした!

試験までは残り1ヶ月と少しですが、今回の勉強会を活かして皆んなで試験をパスし、進級できるように頑張りましょう!」


「「「「「「「おー!」」」」」」」


パチパチパチパチ


楽しい時間はあっという間に過ぎてしまいますのね。

でも本番は1ヶ月半後。

これからも試験勉強は頑張りませんと。




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