弱い奴等はよく群れる
「で、あれが魔族の集団と?」
強いんだよね?何で徒党組んでの?面倒臭いったらありゃしない。
「弱い者程群れたがりますからね」
ミルフィさんや、辛辣すぎりゃしませんか?確かに相手は魔族だが、元転生者や天使だぞ。
後方崖の上に立ち、周囲を眺める。
武器を片手にしてるのはいい。なんでドワーフの皆さんもう片手に酒瓶もってんの?訳分からん。
「景気付けじゃー」
あ、そう言う事ですか。んな事あるかーーっ!
エルフは真面目に矢を番えてるね。
精霊は羽から粉を出してる。何か幻が見えるんですが、気にしないでおこう。
確かに向こう側も群れてるけどもさ。気が付けば、此方も同じじゃあありませんか?気の所為じゃ無ければ。鶏が先か卵が先かの違い、五十歩百歩…!かなり違いがあるわ―――――っ。
と、崇継が叫んだ所で、勢い付いた集団は止まらなかった。
もう気にしないでおこう、そっちの方が気が楽さ。と開き直り。
「出陣っ!!」
鬨の声が上がる。誰だ狼煙炊いた馬鹿は。法螺貝かこの音は、祭か何かと勘違いしてるな。
も、ええわ。とりあえずロッドを右手に突き出し。
「行くぞ、メイヴ」
と、ドラゴン姿のメイヴにそう告げると羽が羽ばたき空に浮く。その姿だけで自陣の士気が一層上がる。
流石は上級種族。中身は残念ドラゴンだけども。
「高嗣、策は?」
「トカゲは黙らっしゃい、タカツグ様に策など不要」
何か言ってるぞ、こいつら。
「エルフは後方支援、弓を構えっ
次ドワーフは右展開敵を誘い込め、のち後退
妖精はその後に続き囲む様に幻惑、そして捕縛
決して傷付けるな、以上!」
「タカツグ様が指示を出している」
「ミルフィの俺を見る目が大体分かった」
「あ、いや…そんな」
「はははは、羽虫めが正体見破ったり」
「ケンカは後!俺達はリーダーを見付ける」
これだけの集団。更に種族お構いなしに襲撃となれば指揮系統が必ずある、と踏んでの指示。
誘い出せば、必ず現れる。
「あれだ」
何やら大声で叫んでいる黒いマントは魔道士の証。高嗣は自分が纏うそれを一瞥し。メイヴに囁く。
「承知」
そちらに向かい、高嗣は飛び降りた。
「お前はっ!」
「篝高嗣、魔道士だ」
「確かに同じマント…ならば転移者だな」
「正解」
杖を構える魔道士に、ロッドを向ける。互いにタイミングを図り、ジリジリと間合いを取る。
先に仕掛けたのは敵側。
「妨害魔法展開―ジャミング―」
「効かねぇわ」
と、詠唱さえ破棄し魔法陣を地面に描きそこから光の柱が上方へと伸びる。正に神業、そこに飲まれた魔道士は。涙を滝の様に流し、蹲る。
「母ちゃん許して、もうおねしょしないから」
何の幻見てるんだろう、と高嗣は遠い目をしていた。本当碌でもねぇな、俺の力。チートはいいんだけどさ、とため息すら漏れる。
「ミルフィ」
「はい、ここに」
「その手にした物なぁに?」
「捕縛用のトリモチですが」
「動物か何かな?まぁいいや」
この際、動きを封じ込められるならと、投げやりになった、と言うかならざるをえない。
「一応ロープもあります」
「先にそれ出さんかーいっ!」
結局ツッコミ入れた高嗣は、荒い息で肩を上下させ。ひったくる様にロープを両手に持ち、ジリジリと魔道士に向かう。
「まるで誘拐犯」
そんなミルフィを無視して。ぐるぐる巻きにし、勝負は着いた。のだが。
「あれ、何やってんの?」
眼前に広がる光景に呆然。それもその筈、戦いと言うよりケンカ?どこのヤンキー達かな、と思える争いが繰り広げられていた。




