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陽と月  作者: 如月いさみ
全国巡回駐在員

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エンディング

 全国巡回駐在員の仕事も前回のように大きな負担にならないように長くて一か月スパンで回るようになった。


 それは浜中勝彦の指示であった。

「誰でも失敗はある。大切なことは二度しないことだ」

 そう言うことだ。


 1年後に湯ノ沢学が東京の東都大学付属高校、そして、大学医学部へ寮生活をしながら通うことになった。ただ定期的に島へ戻り旅館の手伝いをして、その後に大学院へと行くことになるのである。


 湯ノ沢学が天才医師として全国で名を馳せるのは少し後の話になる。


 赤木勇気はあっさりと

「あ、俺? 俺は大学まで島でいるから」

 とさっぱり告げて、千代と陽を驚かせた。


 湯ノ沢学は既に聞いていたらしく黙って食事を続けていた。


 陽は冷静過ぎる学と勇気を交互に見ながら慌てて

「待て待て! 俺はお前を立派に育てると赤木に約束している。高校、大学の金の心配は必要ないからな!」

 と告げたのである。


 勿論、赤木勇介と静香が養育費を払うと言っているのだが、それを抜きにしても陽も千代も学と勇気の学費もきちんと溜めていた。

 それが引き取るものの責任というモノだ。


 湯ノ沢学についても千成家から養育費が出ているが、それをなしにしてもちゃんと大学まで行かせる準備をしていた。


 養育費は二人がその後に自分たちの将来の為に使えば良いと考えていたのだ。


 それに勇気は笑って

「俺、大学は東都大学法学部行くから安心して」

 と言い

「高校は通信教育で受けようと思ってる。先生に話したら初めてのことだが了解してくれた」

 と告げた。

「だからこれまで通り分校に通って通信教育で大検とって大学で法学部に行く」


 湯ノ沢学は笑顔で

「俺も時々帰ってくるから、その時にちゃんと学力チェックするからまあ安心してくれ、叔父さん」

 とさっぱり告げた。


 陽は全国巡回から戻ってその話を聞き旅館の食堂で箸を落としたまま

「その、勇気。もし、この島の駐在所や旅館のことを思ってならダメだぞ」

 と告げた。


 勇気は肩を竦めると

「俺、この島が好きなんだ。だから出来るだけいたいと思ってる。7年は長いよ」

 とトホホぐあいで言い、隣で頷いている学を見て直ぐに視線を戻し

「それに俺さ、通信教育でも大検とれると思ってるし大学は絶対に行くからさ」

 と告げた。

「それに高瀬さんから今消防の知識も教えてもらっているところなんだ。島の駐在をしているとそう言うのも必要だと思って、知らないこと知るって楽しいしさ」


 陽は目を細めながら

「赤木に言ったのか? ちゃんと二人の許可はもらったのか?」

 と聞いた。


 勇気は腕を組むと

「あのさ! 俺の人生だろ? 叔父さん」

 と言い

「でも、確かに父さんや母さんや叔父さんやおばさんに支えてもらっていることも分かってる。だから、ちゃんと話をした」

 と告げた。

「父さんは『お前はそう言う斜め上なところも鷹司に本当に似たな! でも大検落ちて大学落ちたら強制的に東京で予備校通いさせるからな!!』ってわかってくれた」


 陽は上を仰ぐと

「赤木の顔が浮かんだ」

 とぼやいた。


 しかし笑むと勇気の頭を撫でた。

「わかった、人生は一度きりだ。やってみろ」


 ……ありがとうな……


 そう言って学の頭も撫でると

「学くんも頼むな」

 と告げた。

 

 学は頷くと

「ああ、任せて叔父さん」

 と答えた。


 勇気は笑みを浮かべると

「学さん、よろしくな。それから、叔父さん、ありがとう」

 と答えた。


 千代は微笑み

「さ、陽くんはこれから一週間は島の駐在なんだから大切なことを教えてあげてね」

 それからみんなご飯食べてねー、と告げた。


 陽は困ったようにしつつも笑みを浮かべると

「よし、勇気。明日は朝から巡回するぞ」

 と告げた。


 勇気は敬礼をすると

「はい!」

 と答えた。


 学は千代を見ると

「俺は明後日に東京へ戻るから、それまで旅館手伝うから」

 と告げた。


 千代は笑むと

「ありがとう、学くん」

 と告げた。


 数年後には勇気は警察官として学は天才医師として、陽と共に働くことになるのである。

 島に穏やかな夜が訪れ、優しく空が島を包み込んでいた。


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