言質は取ったぞ。
自身の考えを他人に押し付けるのは良くないですよね。
冒険者ギルドに入ると、まるで英雄の凱旋の様な騒ぎになり、受付嬢が「これ以上は迷惑になります。」と言うと静かになり、俺達は、その受付嬢の前に行く。
「お帰りなさい。」
「ただいま。」
「依頼終了の手続きをしますね。」
「ああ。頼む。」
冒険者チーム「光貴の剣」の依頼終了の手続きが終わった後、俺達はギルドの練武場に向かった。
先程の受付嬢も付いて来ている。
そして、決闘のルールをお互いに確認し、始めた。
「準備は良いな? ……始め!」
決闘の相手光貴の剣のリーダーのアーマは確かに強い。
流石はAランク冒険者チームのリーダーだ。
まあ、この決闘は勝たないと意味が無いから勝つけど、あまり派手に勝って無駄な注目を浴びたくないな。
かと言っても、相手は地元の希望のAランクだから、注目は浴びるか。
こんな事を考えながら、しっかりとキンキンカンカンしている。
……なるほどな。
コレがAランク冒険者の実力か。
確かに今まで相手していた奴らとは比べられないな。
「どうした? 君の実力はこんなものか?」
「俺は強すぎるから、最初はつい、様子見から始めてしまう癖が付いている。」
「大口叩くな、Aランク冒険者に。」
そして、鍔迫り合いになって、一旦距離が出来ると、相手のアーマは魔力を練り詠唱を始めた。
あの詠唱だと普通に駆け寄っても間に合わないな。
「アーマ、やり過ぎだ!」
相手の仲間の静止を無視して魔法を放ったな。
「火炎槍!」
詠唱が終わり魔法が放たれ、炎の槍が俺に向かって来るが……
「火炎槍。」
ちょっと前に学園でやった事の二番煎じだが、ここでも後出し対消滅を狙った。
「何!?」
ボン!
対消滅成功。
「馬鹿な!? 詠唱破棄に後出しでぶつけた?」
「嘘だろ!?」
「信じられないわ!」
相手チームは、信じられないと驚愕しているし、決闘の相手のアーマも同じく固まっていた。
そりゃあまあ、そうだろうな。
幾ら戦闘に自信のある貴族のボンボンでも、どちらかが多い。
物理攻撃か、魔法攻撃に、な。
そして、Aランクの自分と互角に打ち合う事から、俺が物理攻撃に特化していると判断したのだろう。
その証拠に相手の火炎槍は、俺が動かなかったら、かする程度のダメージで済んでいた。
まあ、その上で詠唱破棄の後出しで対消滅させたから、さぞ、余計に驚いた事だろうな。
俺は無詠唱で雷撃針を放ち、アーマの両腕両足を撃ち抜く。
「ぐっ!」
魔法を放つのと同時に駆け、魔法を喰らった隙を突いて模擬剣を喉元に突き付ける。
「オレの負けだ。」
「……勝者ゼロ!」
受付嬢も、呆然としていたが、俺の視線に気付き宣言をした瞬間、観客席の外野は一斉に賛否両論の言葉を発した。
「そんな、地元の希望がガキに負けた!?」
「何か、ズルをしたんじゃねえのか?」
「Aランクのアーマが負ける訳が無い!」
「やるじゃねえか!」
「ガキにしては上出来だ!」
「詠唱破棄で魔法を放つなんて凄ぇぜ!」
仲間に回復魔法でも掛けて貰ったのか、アーマは普通に歩いて来た。
「負けたよ。まさか、魔法を詠唱破棄で放つなんて思わなかったよ。」
「当然の結果だな。」
「それは傲慢だな。」
「言えるだけの実力だから、傲慢じゃないな。」
「最後に聞きたい。」
「何だ?」
「何故、彼女達に危険な冒険者をさせている?」
「ティア達は元々冒険者だ。」
「そうか。」
「後、俺は貴族じゃないからな。」
「なっ!? しかし、その強さは……」
「じゃあ、何か。この国の騎士団長が騎士を辞めて、冒険者になる。当然、ランクは『G』からだが、その強さは騎士団長の時のままだが、冒険者になった後のその強さは、お前は『卑怯』だとか『ズル』だとか言うつもりか?」
「いや、そんな事を言うつもりは……!? そんだな。ランクと強さが合わない者が居るのは当たり前か。」
「そういう事だ。」
「迷惑を掛けたな。謝罪する。」
アーマが俺に対して頭を下げた事で外野がまた騒ぎ始めた。
「謝罪する気が有るのなら、外野の連中に俺達に迷惑が掛からない様に説明してくれよ。」
「分かった。それじゃあ、詫びとして夕食を奢るよ。」
「その言葉に二言は無いな?」
「あ、ああ。」
「言質は取ったぞ。」
「やっぱり、止め……」
「Aランク冒険者が『二言は無い。』と言ったのにか?」
「……分かったよ。」
こうして、アーマ達と一緒に夕食を食べる事になった。
戦勝報告
夕食に行った店の酒をキサラが空にして、責任を取らされたアーマは個人的な小遣いを全て溶かす事になった。
独り勝ちしたキサラはご満悦でした。
アーマ達と別れた俺達は普通に宿屋に帰り就寝。
数日後
遂に「王の剣」を持つ使者が到着した。
「王の剣」とは、王の貴族を裁く権限を委任された者を指す。
「お待ちしておりました。」
来たら直ぐに分かったよ。
なんせ、大人数で来るし、準備してきた荷物も多いからな。
それと、公式の訪問になるから、事前に、正確には昨日、訪問する旨を記載した手紙が届いているらしい。
空き時間に聞いたら教えてくれた。
「君がゼロ君だね。」
「はい。冒険者チーム『星屑の翼』のリーダーのゼロです。」
「それでは、行こうか。」
「はい。」
勿論、カエサも一緒だ。
暖かい応援メッセージと星の加点をお願いします。




