逃がしませんよ、ミル。
あの伝説の生放送日、リアルタイムで見ていました。
確か、15分ぐらいでしたよね?
「アディ、私が時間を稼ぐから、今のうちに行くのよ!」
「アメリー、また恋バナしような。」
「ラビナ、これからは食べ過ぎを注意出来ないから気を付けるんだよ。」
「マナン、必ず帰って来るから!」
「アカナ、勿論よ。」
「ナエラ、分かっているわよ!」
それぞれが目に涙を溜めて、死の覚悟を決めた上で色々言っているよ。
「もう一度言う。ちょっと待て!」
良し!
止まった!
俺は素早く「聖女の手紙」をリンに預け、リンは聖女ミルファに手紙を渡す。
「この手紙を読めという事?」
「ええ。」
彼女達は、何時でも俺に切り付ける姿勢を維持したまま、聖女ミルファの動向に注目していた。
……そして、聖女ミルファに因る百面相が始まった。
「助かった~。」
リンは、聖女ミルファから手紙を受け取り俺に返した。
多分、「紅聖書」とは暗号で意味は「悪魔が居る」とか「悪魔討伐願い」とかに使う暗号なんだろうなぁ。
それなのに、聖女ミルファは「助かった~。」とか言って、その場で尻餅着いて泣いている。
周りの女性騎士達も困惑していた。
「あの~。どういう事?」
「その事は、聖女様が復帰してからで良いか?」
「わ、分かったわ。」
7分後
「お見苦しい所をお見せしました。」
赤面した聖女ミルファが、何とか振り絞って出した言葉がこれ。
「聖女ミルファ様、どういう事ですか?」
「聖女様、とりあえず俺達に聖術を放ってください。」
「……そうですね。皆、準備を。」
「え!? 良いのですか?」
「その方が理解が早いでしょうから。」
「分かりました。」
教会だから「神殿」では無いけど、面倒だから神殿騎士と呼ぼう。
神殿騎士達は、聖女ミルファの言葉で所定の位置に立ち、聖術が発動する。
「聖術『聖滅球』!」
当然、問題無し。
ガイラは初めてだから、表面上は冷静を保っている様に見えるけど、冷や汗を流し目が泳いでいた。
「聖女様。これで安心したと思います。」
「……ご配慮、ありがとうございます。」
「説明してください!」
「聖女ミルファ様!」
この後、一旦教会の応接室に入り、いつもの確認と説明をして、恒例の手紙をお願いして受け取って、帰りの護衛料銀貨3枚頂いた。
冒険者ギルドを通してない事と片道分で、聖女の関係者という事で安くしたという建前にして、この金額で納得して貰った。
「そうなのですか。」
「流石に大聖女ティリス様でも。」
「そうみたいだな。」
「何か、安心しました。」
雑談をしながらある程度の時間が過ぎたから、お暇しようと思ったのだが、ちょっとした悪戯心で、筆記具と紙を用意して貰った。
とある内容を書いて聖女ミルファに渡すと、顔色が悪くなり、心配したと思われる神殿騎士のマナンが横からヒョイと紙を取り上げ内容を確認する
「これは?」
「大聖女ティリス様監修の聖女リリー様の鍛練内容。」
「ほう。」
「待って、マナン。」
「どうしました、聖女ミルファ様。」
「どうして、何時もの『ミル』って呼ばないのかな?」
「どうやら、私達は少し甘やかしていたみたいですね?」
「ちょっと待って!」
「どうして、後ろに下がり私から離れるのです?」
「……用事を思い出したから。」
「……逃がしませんよ、ミル!」
「いや~。」
「皆、ミルを捕獲するよ。」
「はい!」×神殿騎士達
「絶対死んじゃう~。らめ~!」
神殿騎士達が鬼役の鬼ごっこが教会内で始まった。
「アディ。これで俺達は失礼するよ。」
「所用で挨拶出来ない聖女ミルファ様に代わってお礼を言います。危ない所を助けて頂いてありがとうございました。」
「それじゃあ。」
教会内の鬼ごっこを見ながら俺は、午後8時から始まる伝説のコント番組の〆のBGMを頭の中に流しながら教会を後にした。
教会を出た俺達は、先ずは宿屋を探して運良く優良な宿屋を見つけてそこに決めた。
4人部屋を2つ取り、俺の方の部屋でこの後の予定を相談した。
「まあ、今日は時間も半端だし、町を散策で良いんじゃないか?」
「そうだね。私はゼロ君の意見に賛成だよ。」
「そうだな。オレも賛成だ。」
「ゼロ様。私もです。」
「ゼロ兄さん。私も賛成です。」
「残るはキサラだが……」
「お土産のお酒よろしく~。」
「……分かった。」
……まあ、キサラは良いか。
俺が喚べば、距離に関係なく飛んでくる。
と言っても、この方法では極力喚びたくないんだよなぁ。
この方法で喚ぶと、周りの状況を無視して破壊してでも最短距離で来るから被害が大きくなるからな。
さて。キサラを除いたメンバーで町を散策を始めた訳だが、ガイラが目立つ!
中身もイケメンだが外見もイケメンのガイラは、散策を始めて直ぐに大人な女性に熱い視線を向けられ、建物の影や専用の大人な宿屋に引きずられそうになり、ガイラだけ別行動になって逃げた。
……ガイラよ、清い身体のままで帰って来いよ。
外見上の大人の保護者が居なくなった俺達は、早速チンピラに声を掛けられた。
「おい、良い女侍らせているじゃないか。」
「ガキは金を置いて消えな。」
暖かい応援メッセージと星の加点をお願いします。




