もう銀仮面を着けなくて良いのですか?
異世界の商人は買える物は買います。
売れる物は売ります。
店に入ると入店の挨拶(俺が指導した。)をした後、俺達だと気付いた店側は、俺達を倉庫に連れて行こうとしたから、「今回はデカくないから。」と言って応接室に向かった。
「それで、ゼロさん。メンバーが増えていますが、彼女達がそうですか?」
「ああ。お陰で助かったよ。」
「それは良かったです。……それで、今日は何を?」
向こうが善意の笑顔から、必ず買い取ってみせると、意気込む商人の顔になった。
俺は、各宝珠の欠片1cmを4つずつ出した。
「こ、これは!?」
「鑑識どうぞ。」
「こ、これは、あの幻の『宝珠』の欠片!」
「え!?」×店側
「正解。」
向こうでは、幾らで買い取るか真剣な話し合いが行われている。
正直、最安値でも良いよ~。
まあ、この世界はそんなに甘くないから、口には出さないけどな。
対等だからこそ、友好関係が築けている所が有るからな。
お!
決まったな。
幾らかなぁ?
「お待たせしました。完全な形での宝珠なら、琥珀宝珠が白金貨20枚、翡翠宝珠が白金貨22枚、蒼玉宝珠が白金貨30枚、紅玉宝珠が白金貨35枚ですが、1cmの欠片ですので、琥珀宝珠の欠片1つが大金貨5枚、翡翠宝珠の欠片1つが大金貨5枚と金貨5枚、蒼玉宝珠の欠片1つが大金貨7枚と金貨5枚、紅玉宝珠の欠片1つが大金貨8枚と金貨7枚大銀貨5枚です。」
かなり勉強して貰えたな。
「それでお願いします。」
「端数は切り上げて、合計が白金貨10枚と大金貨8枚です。」
2回、端数を切り上げて貰ったな。
もう俺は、お金の心配が無いかもしれないな。
「後、此所の領主と言うより、夫人に完全な形の宝珠を2つ売るから気を付けてな。」
「……はあー!?」
「そりゃあ、欠片が有れば、な。」
「……ゼロさん~。」
「もっと商会がデカくなったら、売るから。」
「ゼロさん! 約束ですよ!」
「は、はい。」
……凄い迫力だったな。
こうして、ギールカ商会を後にした俺達は、領主館に向かった。
領主館に到着。
「門番さん。」
「おや、ゼロ殿。」
俺は銀仮面を見せながら門番に声を掛けた。
「もう銀仮面を着けなくて良いのですか?」
「はい。それで、事前の約束を取ってませんが、領主のカリブアさんに面会したいのですが、取り次ぎをお願い出来ますか?」
「とりあえず、お伺いしてくるから待っていろ。」
2人居た門番の1人が館に行っている間に、もう1人が話し掛けて来た。
「隣に居るのは、翼の追求者の2人だと思うが?」
「一緒のパーティーメンバーになったんですよ。俺達パーティーの名前も星屑の翼になりました。」
「そうか。その名は覚えておくな。」
門番と雑談していると、館に行っていた門番が帰って来て、「お会いになる。」と言っていたので、敷地内に入り、馬車は馬屋番に任せて領主館に入った。
そして、メイドに案内されて応接室に通されて、紅茶とお菓子を食べていると、カリブアさんにエレザードさんに、ソニアが入って来た。
「待たせたな。」
「待たせたわね。」
「お待たせ。」
「お元気そうで何よりです。」
「それで、今日はどの様な用件だ。」
「一緒に居る方で、察しが付きますけどね。」
「そこら辺りはどうなの?」
「はい。無事に助ける事が出来て、この様に一緒に居られる様になりました。その報告とお礼の品をお持ちしました。」
「それは良かったな。それで、お礼の品とは?」
俺は、各宝珠を1つずつ出した。
「ゼ、ゼロ君!?」
「ゼロさん、コレは!?」
執事さんが慌てて鑑識を掛けて、結果内容を2人に耳打ちしている。
「ゼロさん。コレ、凄い綺麗!」
「お礼の品として、エレザード夫人とソニアにどれか1つずつ差し上げます。」
「「え!?」」
「因みにオークションでは、どれも、白金貨25枚以上の値が付きました。」
「「……」」
「お奨めは、母と娘がどちらを付けても問題無いデザインにして、お互いに付けれる様にする事です。」
先程まで、殺し合い3秒前状態の2人が、今は、貪欲な炎を瞳の中で燃やしながらも、笑顔で固く握手をしている。
「それと、注意事項が1つ。」
「それは、何かな?」
「大変お世話になった、とある公爵家には、各宝珠を4つずつお渡ししております。」
「……それは、彼女のだね?」
「そうですね。」
「分かった。注意するよ。」
「向こうには話してあるので、重なっても大丈夫だとは思いますが。」
「分かったわ。」
「それじゃあ、俺達は失れ……」
「まあ、待ちなさい。領主館に大事な方々が訪れて、その日の内に帰らす訳にはいかないわ。」
「分かりました。ご厚意に甘えさせて頂きます。」
結局、2日間お世話になり、その間のエレザードさんとソニアの限界ギリギリの「宝珠がもっと欲しい!」アタックを躱すのが大変だったよ。
1日延長はこの為だと断言出来る。
最後は、「公爵家が来ますよ!」でしか防げなかったな。
こうして、領主館を後にしようと、別れの挨拶をしていると、カリブアさんから一言。
「ゼロ君達はこの後、都市エルドラに行くのか?」
「いいえ。」
「それなら、暫く、行くのは控えた方が良いだろうな。」
「それは、どうしてですか?」
「あそこの冒険者ギルドのギルド・マスターが盗賊と通じていた事で投獄された。暫くは冒険者ギルドは混乱が続くと思えるからな。」
「分かりました。暫くは様子を見る事にします。」
(あんの筋肉ダルマ! 盗賊と内通していたのか。)
(ゼロ。もしかすると、盗賊が使っていた馬車と盗賊を捕まえたからじゃないか?)
(そうかもな。しかし……)
((ざまぁ!!))
挨拶を済ました俺達は、都市メルセダスに向かった。
暖かい応援メッセージと星の加点をお願いします。




