大聖女ティリス様、大丈夫ですか?
楽しい冒険者ライフは近い。……多分。
案内された場所は、講堂だった。
確か、生徒数が男女合わせて100人だったか。
今、講堂には60人居る。
「こんなに……」
「大聖女ティリス様、今日中にイケるか?」
「……無理です。2日あればなんとかなるのですが……」
「こういうのは、早ければ早い方が良い。明日に回せば……」
「分かっています!」
大聖女と呼ばれるだけに、状況も理解しているのだろう。
この手の呪いは一旦動きだすと、進行が加速度的に上がるから、明日に回せば助からない者が出る可能性が有る。
チッ、大聖女ティマも連れてくれば良かったか……
「ゼロさん。無駄です。彼女達を連れてくる事は出来ません。」
「……無理なのか?」
「はい。私達、大聖女の唯一の枷だと言えます。」
「……そうか。」
(ゼロ、助けるのか?)
(まあな。一時的にも俺は先生だったしな。)
(正確には講師だろ。)
(うるせえよ。)
(良いのか?)
(そこは、悪魔お得意の舌先三寸で誤魔化す。)
(ゼロ、いつか絶対に未来で大損こくぞ!)
(知っているよ、1周目で体験済みだ。)
(それと、ゼロも気付いているよな。)
(当然だ。汚物は焼却しないとな。)
「大聖女ティリス様。」
「……なんですか、ゼロさん。」
「考えが有る。」
「本当ですか!?」
「ああ。学園長以外の学園関係者の人払いを。」
「分かりました。」
大聖女ティリスは、呼吸を整えて言葉を紡いだ。
「皆さん。生徒達は救い出しますが、集中力が必要になりますので、学園長以外の退出をお願いします。」
「大聖女ティリス様のお言葉です。」
学園長がそう言うと、1人、1人と頭を下げながら退出していった。
そして、残ったのは、俺達と大聖女ティリスと大聖女ティリスの侍女に神殿騎士達、そして、学園長だけになった。
「それで、ゼロさん。考えというのは?」
「聖女や大聖女の様な呪いを解く事は出来ないが、同じ結果なら出せる。」
「本当ですか!?」
「……ちょっと待ちなさい。同じ結果とはどういう意味なの?」
「若干の痛みと3日程の寝たきりで、な。」
「……大聖女ティリス様。」
「ゼロさん。本当にそれだけですか?」
「ああ。」
「……本当ですか!」
「大聖女ティリス様、何故、俺に顔を近付けて睨むんだ?」
「何か、まだ何か隠している様に見えたので。」
(正解!)
(ライオス、黙ってろ!)
「……それと、大聖女ティリスも、だな。」
「……そんな事ですか。それなら問題ありません。私の事は構わないので始めてください。」
「大聖女ティリス様!」
「良いのです。さあ、ゼロさん。始めてください。」
「ああ、分かった。」
「ゼロ様……」
「ゼロ……」
「まあ、見てろよ。」
俺は、大聖女ティリスに左手を差し出すと、察して向こうも右手を差し出して手を繋ぐと、それらしい言葉は紡ぎ、発動させる。
「……呪性悪食。」
「あ……」
俺は魔法、正解には悪魔の魔法で、先ずは代償としてエナジードレインの要領で、大聖女ティリスの体力と魔力を7割吸収して、それを代価に発動させる。
効果は、対象の呪いに対して「喰らう」事で対象の呪いを解くが、その時、対象の魔力を枯渇寸前まで喰らうから、痛みも有るし3日間の寝たきりが待っている訳だ。
「大聖女ティリス様、大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫、で、す。」
「学園長、確かめる事は出来るか?」
「あ、ああ。私でも確かめるぐらいは出来るわ。」
学園長は重体だった者から調べ、少し時間を掛けて全員を調べた。
「大丈夫よ。全員、呪いが解けているわ。」
「……そ、れは、よか、った、……です。」
「大聖女ティリス様!?」
「大丈夫だ。生徒同様に、寝かせれば問題は無いよ。」
「……分かったわ。後……」
「勿論、助けたのは大聖女ティリス様で、俺は見てただけだからな。」
「分かったわよ。……て、何処に行く気?」
「ちょっと、野暮用だよ。」
「ゼロ殿、私達も付き合いましょうか?」
「必要は無いよ。それに、神殿騎士が大聖女から離れたら駄目だろう?」
「そうでありましたな。」
「では、ちょっと行ってくる。」
「行くぜ、リン。キサラ。」
「はい、ゼロ様!」
「分かったわ、ゼロ。」
(ゼロ、案内してやろうか?)
(必要が無いのは分かっているだろう。)
(まあな。ゼロが使った魔法は本来は使用者の魔力(呪い)を喰らって魔力の道を辿り攻撃を仕掛けて、居場所を調べる為のモノだしな。)
(まあ、向かうも面食らっているだろうぜ。この方法は悪魔が使う魔法だからな。)
(それじゃあ、痛みに苦しんでいるマヌケな悪魔の所に行こうぜ。)
(ああ。それに……)
俺達は魔法に因って判明した場所に向かった。
到着した場所は、都市の貴族街で隅の方だったから、子爵か男爵だろうな。
「何用だ!」
「貴様の様な者が来て良い場所ではないぞ!」
「はい、お勤めご苦労様。」
俺達は、門番を「刻心掌握」を掛けて眠らせた後、敷地内を全て包む結界を敷き、中からの魔力漏れを封じた。
門番2人は俺達が門の内側の影に置いて、俺達は正面玄関から入り、出会う人、全てに刻心掌握を掛けていく。
途中から後の始末が面倒臭いと思って、屋敷の当主が居るであろう部屋以外の全ての人達を刻心掌握を掛けていった。
……だって、なぁ。
そんな訳で眠らせた人達は近くの部屋の女性にはベッドに、男性にはソファーに寝かせた。
何故か当主が動かないなぁと思っていたら、当主が居るだろう執務室を開けると分かった。
結論から言うと、既に当主は黒幕の悪魔に喰われた後だった。
「やあ、ご機嫌麗しく。」
「貴様かぁ~!」
「まあな。しかし、その無様な格好から伯爵級? いや、子爵級でも無いな。せいぜい男爵級でも『下』だな。」
「ぎ、ざ、まぁー!」
黒幕は俺達が執務室に到着した時点で、身体の色が灰色に為っており、周りには、胸を貫かれて動かない執事らしき男性と奥さんらしき女性と、メイドさんが2人がいた。
そして、黒幕の悪魔が事に及んだ証拠として、黒幕の悪魔が着ている服の右腕の部分が赤黒く染まっていた。
「がぁあああーーー!」
俺は、異空間収納から刀を出し、悪魔の右腕を斬る。
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