さあ、付いて来て。
現役が居るという事は……
「そこの可憐なお嬢さんに、綺麗なお姉さん。美味しい果物を買っていかないか?」
「ゼロ様、よろしいですか?」
「おっちゃん。それを3つくれ。」
「まいど! 銅貨6枚、いや、4枚だ!」
「良いのか?」
「そんな別嬪2人に見つめられたら勝てないぜ。」
「そうか。ほい、銅貨4枚。」
「はいよ、銅貨4……、あんちゃん!?」
「良いよ。」
「……まいど!!」
俺は支払いを済ますと、熟して美味しい果物を噛りながら歩いた。
「ゼロ様。先程、店主に渡した硬貨は銀貨4枚に見えたのですが?」
「気の所為だよ。」
「……そうですか。」
まあ、リンやキサラが誉められたからとは言えないしな。
(ゼロの見栄っ張りー!)
(うるせいわい!)
(ゼロ。前方……)
(分かっている。)
前方から荒くれ者か冒険者か、悩む外見の連中5人が俺達に向かって来ている。
そして、ぶつけられた。
「痛ぇ! どうしてくれんだ?」
自分からぶつかりに行って自分から転けたよ。
「はあ!? 何を言ってのよ! 自分からぶつかっといてよくも言えるわね!」
「そっちのガキからだろうが! どうしてくれんだ! ええ!」
「ふざけんじゃないわよ!」
何故かキサラがハイテンションで対応をしているが、どう収拾しようか。
悩んでいると、キャリアウーマン風の空気を出す女性が近付き、イチャモン付けるチンピラの痛めたと主張する腕に触れた。
「回復治療。」
女性が触れた所が2秒程輝き光が消えた。
「はい。治ったわよ。」
「は!? そんなんで治るかよ!」
チンピラが更に喚いていると……
「学園長……」
「そ……うだ。あの女性はこの都市の王立学園の学園長だ!」
「そうだ。元聖女の学園長レビィナ様だ!」
はい!?
元「聖女」!?
大聖女ティリスは俺を見つけられたよな。
聖女リリーも目の前では感じてたよな。
……つまりは?
「貴方に興味が有るの。時間、頂けるかしら?」
「おい! まだこっちの話は済んでねぇぞ!」
「あら、私が治したのに、文句があるのかしら?」
「だからだな……」
「有るのかしら!」
「……いいえ。」
チンピラは正しく脱兎の如く立ち去った。
「さあ、付いて来て。」
「ゼロ様。」
「ゼロ。」
「行くしかないよ。」
「はい。」
「分かったわ。」
「それじゃあ、行きましょう。」
学園長レビィナに付いて行くと、予想通り学園……ではなく、神殿の「聖女の間」に到着した。
後、聖女リリーとお付きの神殿騎士は燃え尽きていた。
「あら、レビィナ。どうしたの?」
「どうしたのじゃないです! 何故、こんな凶悪なのが放置しているのですか! 大聖女ティリス様!」
「先程振りね、ゼロ。」
「ティリス様っ! 私では勝てないと判断した悪魔に対して、私は死ぬ覚悟で接触して、ここまで、何時、背中から刺される死の恐怖と戦い、周りに被害が出ない事を祈りながら此処まで来たのに!」
「彼は大丈夫よ。」
「何が大丈夫ですか!」
「彼は強化した『浄化結界』で滅殺されなかったわ。」
「え!? 大聖女ティリス様の対悪魔の切り札が、ですか?」
「そうよ。つまり彼は、悪魔では無く、人族という事よ。それに、男爵級悪魔なら余裕で倒せる武力も持っているわ。」
「まさか!? 男爵級悪魔を!」
「ええ。そうよ。それに、私やリリーが接してみて、良い人だと思うわ。」
「そんな、信じられない……」
「大聖女の言葉が信じられないの?」
(わあー。凄い圧だなぁ。)
(そうだよなぁ。学園長が可哀想だよなぁ。)
「……わ、分かりました。」
「そう。それは良かったわ。」
「……え~と。身の潔白も証明されたようですので失礼します。」
「待ちなさい!」
「はいっ!」
「先程、チンピラから救いましたよね?」
「……え~と。」
「救いましたよね!」
「……はい。」
「それでは、申し訳ありませんが、もう少し付き合って頂きます。」
「……分かりました。」
「……ゼロ様。」
「……ゼロ。」
「リン、キサラ。もうちょっとだから。」
「はい。」
「分かったわ。」
「さて、行きましょう。」
「レビィナ。たまには顔を出しなさい。」
「……ティリス様。……はい。」
因みに大聖女ティリスは何時、帰るのかというと未定らしい。
何でも聖女リリーは素質が有るみたいで、次代の大聖女として鍛えるのだとか。
神殿としても、大聖女への推薦は問題が無いらしい。
それと、例の屑騎士共の件は、俺が皆殺しにしたから、ある意味で手遅れだから後回しにしたと俺達に話した。
それでも、向こうには調査を依頼したらしい。
王立学園に到着して、今、学園長室にて、面接を受けている。
話の内容は、臨時講師となって生徒の無駄に高くなった鼻をへし折って欲しいと懇願された。
そして、学園長レビィナの経歴が明かされた。
学園長レビィナは、この国の王宮で生まれた。
つまりは、王族。
色々と葛藤の結果、贅沢三昧な王女の立場を捨て、神殿の門を叩き聖女を目指した。
周りの善意に助けられ、見事に聖女に成れたレビィナは精力的に聖女として動いていたが、先代の学園長が亡くなられたので、御鉢が廻ったらしい。
まあ、王立学園だもんな。
最高権力者たる学園長が王族以外だと問題だよな。
最初は断ったらしいが、次代の貴族が真っ当になれば、苦しむ民が減ると思ったレビィナは最後は引き受けたという訳だ。
何故、身の上を話したかというと、お互いの秘密を知ったから仲良くしましょうってヤツだな。
そして、僅かとはいえ、レビィナの言葉からは信念を感じたから話を受けようかと思う。
……性格の悪さは、元王族と現学園長故と思う事にしよう。
「何か悪口を言ってない?」
「いいえ。」
何故、分かった!?
「それじゅあ、後の事は、明日来たら担当の者を付けるから彼女から聞いて。」
「分かった。」
「それじゅあ、明日の午前8時迄に学園長室に。」
こうして、俺は臨時とはいえ、生徒として通う予定だった学園に講師として通うのだった。
「それじゅあ、試させて貰う。」
暖かい応援メッセージと星の加点をお願いします。




