彼らが行ってくれます!
偉くなると、感情では動けない時は有るよね。
「緊急事態が発生しました!」
来訪者が入って来て、開口一番にそんな事を言った。
「どういう事ですか?」
「はい。大聖女ティリス様に報告します。只今、都市サルゴナの近辺にて、男爵級の悪魔が2体出現しております。今は、聖女リリー様が結界を張っている為、被害を防いでいますが、破られるのは時間の問題です! どうか、お力をお貸しください!」
「なんですって!」
「ティリス様、どうか……」
「私としては直ぐに向かいたいのですが、大聖女であるが故に動けない理由もあります。」
「そんな……」
「ですが……」
何か、雲行きが怪しくなったな。
声も不安から期待に変わっているし……
……逃げよう。
「彼らが行ってくれます!」
「は!?」
やっぱり。
「先程まで、彼らの適正と実力を審査していました。彼らならば、この危機を救ってくれるでしょう。」
「おいおい、大聖女ティリス様……」
「お願いします。命、いえ、魂すら危険に晒された無垢の者達を救出して欲しいのです。」
「え~と……」
「私からもお願いします! 大聖女ティリス様の推薦ならば問題ありません。聖女リリー様の結界は後、2日は持ちます。馬車で1日で到着します。どうか、お力をお貸しください!」
「……大聖女ティリス様、金銭にした場合は、大金貨1枚以上ですよ。」
「あら、そんな端金で良いのですか?」
「手続き諸々は事後処理で。」
「分かりました。貴方達に神の御加護が在らん事を。」
「その依頼、受けた!」
「ありがとうございます!」
俺達はこんな事が無ければ、生涯乗る事が無かったであろう聖女専用の馬車に乗って、都市サルゴナに向かった。
道中、詳しい話を聞きながら向かう。
どうやら、お役目の帰り道で都市サルゴナに寄った際に、悪魔の気配がした為に、向かってみると、其処には男爵級の悪魔が2体居た。
聖女リリー付きの神殿騎士4名の犠牲で何とか結界を張る事が出来たらしい。
そして、この聖女付きの侍女が伝えに来たという訳だ。
……まさか、俺の所為じゃないよな?
(否定出来ないのが悲しいな。)
(言うな、ライオス。)
(まあ、どっちにしろ、男爵級の悪魔2体は地上の奴らにはキツいだろうからな。)
(俺がどちらにしろ、行くしかないか。)
(そうだな。)
1日と言いながらも、かなり無茶して来たから、翌日の早朝には都市サルゴナに到着した。
直ぐ様、都市サルゴナに入らず、聖女リリーの居る森に向かった。
いやぁ、静かだわ。
男爵級悪魔が2体も居る所為で森の動物やモンスターが逃げたり、身を隠しているからだろうな。
……しかし、妙だな。
(ゼロ!)
(どうした?)
(潜んでいるぞ。)
(何が?)
(この気配は『子爵』級だ。)
(マジか!?)
(ああ。)
(リンには、ちと荷が重いな。)
(そうだな。聖女1人と獣人族1人よりも、俺1人の方が釣れるよな?)
(そうだな。)
現場に向かっている中、相棒のライオスとそんな事を念話で話していると到着した様だ。
「到着しました。急いで向かいましょう。」
「分かった。理由は後で説明するからリンは聖女リリーの護衛を任す。」
「……分かりました。」
「キサラは俺と来い。」
「……分かったわ、ゼロ。」
現場に到着したが、必死なのは聖女側で、悪魔側は聖女の力が尽きるのを待っている様だな。
そして、聖女の外見年齢は大聖女ティリスと同じで、顔しか露出していないが、大体15歳くらいだな。
体型?
清貧を日常とする聖女だから、基本的には細身だ。
後、所謂、着ている法衣(服)は、ドラ○エの僧侶のイメージが近くて、大聖女は賢者のイメージが近いな。
……と、どうでも良い事を考えていると、緊迫した表情で聖女への報告を始めていた。
「大聖女ティリス様は?」
「申し訳ありません。大聖女ティリス様は直ぐには来られないと。」
「……やはり、無理でしたか。それで、其方の方々は?」
「此方の方々は、大聖女ティリス様がお認めになった実力者です。この者達なら勝てると保証してくださいました。」
(いや。馬車の中で救うとは言ったが、勝てるとは言って無いぞ。)
(こういう事で、伝言が歪むのだな。)
(そうだな。)
「初めまして。Dランク冒険者のゼロです。後ろに居るのは同じパーティーメンバーのリンとキサラです。」
「……!?」
「初めまして。リンです。」
「初めまして。キサラです。」
「……初めまして。聖女のリリーです。まだお若い様ですが大丈夫ですか?」
「安心してください。俺達は、少々悪魔に対する術を持ち合わせています。」
「……分かりました。私も貴方達と大聖女ティリス様を信じます。」
(身内と来たから一応は平静を保っているが、少し冷静になったら、ゼロからの悪魔の気配を感じ取ったみたいだな。)
(ああ。)
(まあ、悪魔を討伐すれば、話し合う余地も出来るだろうよ。)
(そう願いたい。)
聖女リリーと話し合った結果、潜んでいる子爵級の悪魔の事が言えない為に、この場から離れろとは言えず、俺達が結界の中に入り戦う事になった。
リンはその間の聖女リリーの護衛だ。
「それじゃあ、行くか。リン。キサラ。」
「はい、ゼロ様。」
「リンを信頼して、此処を任せる。」
「お任せください。」
「ああ、頼む。キサラ、行こうか。」
「分かったわ。」
俺達は、聖女リリーから受け取った魔道具で結界に入る。
この魔道具は結界の中に入る神殿騎士用の物で、原価が銅貨数枚で出来るらしい。
……安いな。
「そんなに、死に急がなくても、この結界が解けたら殺してあげますよ。」
「そうだ! この自殺志願者を使って、結界を維持している者の精神を苦しめようぜ。」
「それは良い考えです。」
「1つ、聞きたいのだが?」
「何をです?」
「何故、悪魔が地上に居るんだ?」
「それは……」
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