うん。公式ではね。
ちょっと長文になりました。
後、途中で、長台詞がありますが、早口で一気に言っています。
クリスside
私は何時から此処に居るのかしら?
此処は、暗くて何も見えないし、周りが冷たい訳でも無いのに寒いし、何も刺さっていないのに、何か刺さっているみたいに激痛が走っている。
でも、そんな激痛が走れば、のたうち回る事になる筈けど、身体が動かないわ。
私は何時まで此処に居るのかしら?
……分からないわ。
私は何か悲しい事が有ったのかしら?
私は何か辛い事が有ったのかしら?
……分からないわ。
私には、誰か大切な人達が居た筈だけど、それが誰か思い出せないわ。
私には、誰かと大事な約束をした筈だけど、それが何か思い出せないわ。
……何か遠くから声が聞こえるわ。
私にも誰かの声を聞く耳があったのね。
誰かしら?
聞いた事の有る声だけど……
段々と声が大きく鮮明になって来たわ。
やっぱり、知っている声だわ。
……誰?
私を呼ぶ声は?
……この私を呼ぶ声は、とても温かくて、とても明るくて、とても優しい声。
まるで、春の陽射しみたい。
ああ、段々と陽射しが強くなる様に、声が強くなっているわ。
「……ス!」
……誰?
「……リス、帰っ……て!」
……誰!
「クリス、帰って来て!」
……ティア!
ゼロside
「クリス、帰って来て!」
「……ティ……ア。」
「クリス!」
「……ティア。」
「帰って来たのね、クリス!」
「……ティア!」
「会いたかったわ、クリス。」
「私もよ、ティア。」
「良かった。クリスが帰って来れて。」
「それは、どういう意……! 嫌ーーー!」
「落ち着いて! 此処にはクリスを傷付ける人は居ないわ!」
「嫌よ、嫌だーーー! もう止めてーーー!」
「クリス……」
暫く、クリスは過去に味わった苦しみで暴れていたが、ティアの真摯な献身でやっと落ち着いた様だな。
勿論、遮音の魔法を部屋に掛けている。
「ありがとう、ティア。」
「大切な友達を助けるのは当たり前よ。」
「……ティア。……見え……る?」
「クリス?」
「両腕が……」
「ティア、教えて! 私に何が有ったの?」
「クリスは、心が壊れる程の何かが有ったと思う。それは言わなくても良いの。そしてね、奴隷として売られたんだけど、クリスを助ける為に買ってくれた人がいたの。」
「その人が私を?」
「そうよ。」
「ティア……! ティア、その右肩のソレは何!」
「クリス、落ち着いて。」
「落ち着いてなんか居られないわ!
まさか! ティア、私を救う為に奴隷になったの!
信じられない! 私なんかを救う為に奴隷になるなんて! ティアは、王妃様にもなれたのに。なんで私なんかの為に……」
「クリス、違うの。私が奴隷になったのは私の責任なの。」
「え!?」
「私は、いえ、ルシアもだけど、クリスが学園を辞めた後、私達も学園を辞めたの。そして、辞めた後は冒険者になったのよ。」
「ティアとルシアが学園を辞めて冒険者に?」
「そうよ。そして、街から街の移動中に盗賊に襲われて、盗賊に捕まったの。」
「ティア、その後、どうなったの?」
「捕まって直ぐにルシアと一緒に奴隷に堕とされて、王都のオークションに私だけが、出品されたわ。」
「ティア、続けて。」
「そして、オークションに出品された私を買ってくれたのが、この人で、クリスも同じ様に買う事で助けてくれたの!」
「じゃあ、私の目と両腕も?」
「そうよ。」
「ティア、この人を紹介して。」
「ええ。私の幼馴染みで婚約者。そして、私の恋人にして、私達が所属する冒険者パーティーのリーダーを務める『ゼロ』よ!」
「え!? ちょっと待って! 確か、ティアの幼馴染みの婚約者は、ティアが学園に来る前に『病死』した筈よね?」
「うん。公式ではね。」
「公式、ね。」
「実はね……」
「待って、ティア。」
「何、リン。」
「その話をするには……」
全員がエレナを見た。
「待って! 私だってゼロお兄ちゃんは大切な存在よ。そのゼロお兄ちゃんの秘密を私は誰かに言ったりはしないわ! それに家族を失って、更に、ゼロお兄ちゃんまで失いたくない!」
「皆、良いか?」
皆が頷いた。
その後は、キサラの「ゼロはアタイの所有物よ。」発言から始まり、俺が3周目とライオスの事、女神アティアと邂逅している事以外はぶちまけた。
それでも、エレナは、「それでも、ゼロお兄ちゃんは私のゼロお兄ちゃんだよ。」と言ってくれた。
クリスも、「ティアが不幸になる事はしないわ。」と言ってくれた。
さて、秘密の共有が出来たのだが、エレナ達家族は、何故、全員で家族旅行をしたんだ?
「実はね、家族旅行じゃなくて、故郷の国から追放されたの。」
「追放!」
「うん。実は私は、故郷の国の皇太子の婚約者だったの。」
「はいっ?」
「だけどね、私には魔力が無くて、それでも一生懸命に頑張ったんだよ。だけど、中期の伝統行事のダンスパーティーの日に……」
「ああ、分かった。」
「何が、ゼロお兄ちゃん?」
「学園に入る前までは仲が良かったが、学園に入ってからは次第に交流が減っていき、それに合わせて、男爵令嬢辺りの女学生との噂が広まり、婚約者の皇太子には冷たくされ、周りからも色々と辛く責められ、そのダンスパーティーにも自分達で準備したドレスを着る事になり、皇太子がエスコートする筈が時間が来ても来ない為1人で行き、ダンスパーティーの会場で、皇太子と隣には派手な衣装を着た知らない令嬢と、宰相の息子だとか公爵家の息子だとか騎士団長や筆頭宮廷魔術師の息子だとかが皇太子の周りに立ち、エレナに向かって、『聞け! 私は、婚約者であるエレナに対して、婚約破棄を宣言する! そして、新たな婚約者として、この男爵令嬢を婚約者とする!』とか言ったんだろう?」
「……うん。」
「更に、『魔力の無いお前と違って男爵令嬢は魔力を持っている。そんな男爵令嬢に嫉妬したお前は様々な嫌がらせを男爵令嬢にした。そんな卑劣な行為は皇太子の婚約者になるべきではない! 未来の王妃を苦しめた罪は重い。
因って、エレナ、及びその家族は国外追放とする!』とか言われて、その日の内に国外追放された。しかも、国王と王妃が留守中に。」
「ゼロお兄ちゃん、何で知っているの? それとダンスパーティーに来ていたの?」
「当たりか?」
「うん。」
「それなら、エレナが一生懸命に『それは違う!』と言っても全然聞いてくれなかっただろ?」
「うん。」
「更に言えば、第2王子辺りが、学業優秀で人格者って言われていたか?」
「そうだよ。ゼロお兄ちゃん、調べていたの?」
「……向こう1年は、その国に行かない方が良いな。」
「何故ですか、ゼロ様。」
「多分、その皇太子は廃嫡するな。それに合わせて、同調した奴らも廃嫡なり平民堕ちするな。そして、その第2王子辺りが皇太子になるだろうからな。」
「……そうなるのかな?」
「それに何よりも、エレナをもう手離す気は無いからな。」
「……う。」
「それにしても魔力が無いなんて。エレナ、両手出して。」
「はい、ゼロお兄ちゃん。」
「ちょっと握るな。」
「……ん。」
エレナに魔力を流すと分かった。
「……エレナ。呪われているぞ。」
「……え!?」
「待っていろ。今、解呪するからな。」
「……は!?」
「ほい。」
「え! きゃあ! ……あれ? これが魔力なの?」
「凄い魔力量だな。エレナ。」
「何、ゼロお兄ちゃん。」
「その男爵令嬢か元婚約者から、直接珍しい食べ物を貰ってないか? 言いくるめられて、何故か握手する事になって、その時に軽くチクッとした痛みが無かったか?」
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