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まさか、恋文か?

学園長は、パーティーメンバーに恵まれた平民出身の才能溢れる冒険者で、とある依頼が切っ掛けで、善良な子無し貴族子爵家の老夫婦に拾われ、養女になりました。

波瀾万丈な学生時代を過ごした後、国からの命令で今の地位になりました。

本人は納得しています。


 討伐したモンスターの解体と換金は明日来る事で話しが付き、冒険者ギルドを後にして、俺達は学園に向かった。

 しかし、ルシアの汗を流し青い顔を見たティアは、途中で、個室が有る店に寄る事を提案した。

 勿論、ルシアは大丈夫と言ったが、ティアが聞き入れず、結局は個室への寄り道は決定した。

 ルシアは、これから判決を受ける容疑者みたいだった。

 リンも心配しているみたいだ。


「ゼロ様。もしや、ルシアがなんらかの怪我や毒を受けているのかもしれません。」

「大丈夫だ、リン、ティア。」

「でも……」

「大丈夫だ。そうだろ、ルシア?」

「……はい。」

「とりあえず、中で話を聞くわね。」


 俺達は個室が有る店に入り、個室に移動した。

 皆、果実水を頼み、注文した果実水が来るのを待った。

 注文した果実水が来るとティアは、一口飲んだ後、ルシアに話し掛けた。


「ルシア、正直に答えて欲しいの。何か有るのなら話して欲しい。ルシアにだけ負担を掛けたくないわ。」

「ティア……」

「お願い、ルシア!」

「……ゼロ兄さん、話して良いですか?」

「まあ、仕方ないよね。」

「そうですね。」

「何、どういう事?」

「ルシアが話すよ。」

「実は……」

「実は?」

「ゼロ兄さんがまだ貴族だった時に、月に2回必ず食卓に上がった肉料理が有ったんです!」

「……はい。え? ……ちょっと待って! まさか!?」

「ティアの想像通り、ミラージュラビットです。」

「……そんな!? ねぇ、本当なの、ゼロ君。」

「すまない、ティア。」

「……本当なのね。」

「……ああ。」


 絶望から手の平と膝を着くティアと、親にこれから怒られます状態のルシア。


「ゼロ君!」

「流石に、呼んでお裾分け出来る程は獲れないよ。だけど、家にお泊まりの時は準備したけど覚えていないのか?」

「え!?」

「それどころか、ティアがお泊まりの時は、俺頑張って『ファントムエッグ』を取ってきたのにな。」

「……それって、『ファントムバード』のだよね?」

「ああ。」

「……そうだったわ。あの当時、不思議だったのよ! 確かにもの凄く美味しいけど、何故、メインが卵料理なんだろうって。」

「ねえ、ゼロ。」

「何だ、キサラ。」

「ファントムバードとファントムエッグって何?」

「ファントムバードは、認識障害のスキルを常時発動している鳥型モンスターでな。討伐難易度は見つかれば簡単に討伐出来る事からDランクなんだが、卵を産んで仔が巣立ちするまでは、発動している認識障害のスキルがEランクからSランクに変わるんだよ。

 だから、ファントムエッグの入手は困難なんだよ。冒険者ギルドが依頼出したとしても、年中産卵するんだけど、巣立ちする期間が限定されているからAランク以上の冒険者への指名依頼になるんじゃないか。」

「……そうだったのね。」

「それで、ティア。」

「何、ゼロ君。」

「ミラージュラビットはまだ2匹有るから、旅に出たら食べような。」

「……うん!」


 ルシアの誤解も溶けて、俺達は学園に到着して、その足で学園長室に向かう。


 ノックをして許可を貰い入ると、学園長とヤカルカさんと聖女セイカと神殿騎士達が居た。


「短期の講習だったが、見事に成し遂げてくれた事に感謝する。」

「俺達は与えられた仕事を全うしただけだ。」

「……そうだな。それでは、依頼完了の記入をした書類だ。冒険者ギルドに提出すれば依頼料は支払いされる。」

「分かった。」


 そう言って俺は書類を受け取る。


「ゼロさんに、他の皆さん。短い間でしたが、ありがとうございました。」

「いえ。ヤカルカさんもこれからも頑張ってください。」

「はい。」


 ヤカルカさんは色々とフォローに入って貰い助かる場面も多かった。

 良い先生だと思う。


「ゼロさんに、他の皆さん。短い間でしたが、私達自身も学ぶ事がありました。これからもゼロさんは大変だと思いますが、頑張ってください。」

「ありがとうございます、聖女セイカ様。」

「それと、私も用意しましたので受け取ってください。」

「ありがとうございます。」


 コレは、「聖女の手紙」だな。

 俺は「聖女の手紙」を仕舞う。


「セイカ、それは何だ? まさか、恋文か?」

「ち、違います!」

「じゃあ、何だ?」

「学園長。知らない方が良いよ。」

「何故だ? 学生時代にセイカは異性に手紙を渡す事は無かったんだぞ……」


 俺は王家の短剣を出す。


「……分かった。ソレは私の友人セイカではなく、聖女から王家の短剣を持つゼロに渡された書類なのだな。」

「流石は学園長。」


 俺は王家の短剣を仕舞う。


「それでは、学園長。依頼が完了した者が長々と居座るものでは無いので、これで失礼したいと思います。またご縁が有れば依頼をしてください。」

「ああ。その時はよろしく頼むわ。」

「それでは、失礼します。」


 こうして、俺達は学園を後にした。

 因みにルシアをお姉様と呼んだ女子学生は、あの後、家の事情で実家に帰ったらしい。

 ……出来れば、2度と会いたくないな。


(しかし、(のち)に、この時の思い出しがフラグになるとはこの時には思いもよらなかった、に成らなければ良いな。)

(ライオス、怖い事を言うなよ。)

(あははははは。)


 俺達は冒険者ギルドにまた寄り、学園での依頼完了の報告をして依頼料を貰い、中途半端な時間の為に散策する事にした。

 途中、善意溢れるお兄さんやオジサン達からデート資金を貰い、衛兵に俺達に代わってお礼をお願いして、散策を再開すると、ほぼ記憶から消去し掛けていた男性に声を掛けられた。


「久し振りだな。」

「……誰?」

「……わざとか?」

「いや、かなりマジだ。」

「……銀閃の煌めきのレシーハだ!」



暖かい応援メッセージと星の加点をお願いします。

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