つまり売る気は無いと。
欲しいモノがお金で買えるなら買いたい気持ちも分かるけど。
手続きも終わり、カーラ達と食事に行こうという事になり、ギルドを出ると、ティア達が待っていた。
何故か、今回の学生達も居た。
まあ、ちょうど良いから、ティア達も一緒に行こうと誘ってみよう。
「ティア、ちょうど良かった。実は……」
「貴方が、ティアさんのご主人ですね?」
「貴方が、リンさんの主人ですね?」
「はぁ!?」
「ティアさんを解放したい。幾らなら売りますか?」
「リンさんの所有権を賭けて勝負だ!」
「どういう事?」
「もてる女は辛いわ。」
何か、ティアが「デキる女」アピールをしてきた。
「ティア、無理しなくて良いぞ。」
「うっ。」
そんで、リンの方だが、獣人族らしいが、権利や金が絡む事を勝負で決めようとは、やっぱり獣人族って、脳筋?
こっちは、指向性殺気で良いか。
「がっ!」
「げっ!」
「ぎっ!」
「ぐっ!」
「どうした? この程度で。」
もうちょっと強めた後、解除する。
「……はあはあ。ボク達程度では、相手にもなりません。納得しました。貴方こそ、リンさんの主人に相応しい。」
「リンさん。どうかお幸せに……」
「リンさんの事、忘れません。」
「リンさんの様な方と出会った時の為に強くなります。」
何か、自己完結して去って行ったよ。
次はティアの方か。
……どうせ、最後は、「貴方の実力、試させて頂きます!」みたいな事になるだろうから、ギルドの練武場で良いか。
「さあ、幾らですか?」
他の3人が何も言って来ないのは、4人の総意で買えると思っている、か。
それに、外見を見ると貴族か。
そして、女性冒険者経由で話が来たという事は、家はそれ程デカくないな。
良くて子爵か。
「何を言っているのよ! さっき言ったでしょう。私もゼロ君もその気は無いって。」
「……でも。」
「例え、黒金貨100枚入りの袋を100個用意してもね。」
「ティア、それは違うぞ。」
「ゼロ君……」
「最低限、黒金貨1000枚入りを1000個からだ。」
「つまり売る気は無いと。」
「当然だ。」
「それなら、ボク達と勝負してください! ボク達が勝ったら、ティアさんを解放してください!」
結局、当初の予想通り、勝負する事になった。
それに気付いて無いだろうけど、試合形式をとっているが、強奪と変わらんからな。
……が
「大変だー! ワイバーンの群れが来たー!」
「本当か!?」
「逃げるんだー!」
「何処にだよ!」
ワイバーン「2匹以上の群れ」に対してCランク以上のパーティーが最低3つ、Bランクなら、2つは欲しいワイバーンの群れが向かって来ている。
そりゃあ、パニックにもなるな。
まあ、お子様を躾るよりかは、ワイバーンを換金した方が有益だな。
「ティア、リン、行くぞ。キサラ、何時まで隠れているつもりだ?」
「あ、分かった?」
キサラが、家の影から出てきた。
「当たり前だ。」
キサラの登場に、何故かカーラが慌てて俺に詰め寄って来て残像を残す程、揺さぶられた。
「ゼロ! この女性、誰?」
「キサラは、俺達の仲間だ。」
「そうよ。ゼロの所有物のキサラよ。」
「……しょ、所有物?」
「キサラ! 勘違いさせる言い方をするな。」
「嘘でも無いしぃ。」
「キサラ!」
「は~い。」
「……なんだ。そういう事か。」
……結局、全員で行く事になった。
後で怒られるのは俺だけのパターンにならなければ良いけど。
カーラ達では勝てない所か足手まといなのは分かっているから、一般人の避難を手伝いたいそうだ。
貴族の坊ちゃん達は、意地になっているだけで、ガチガチに震えている。
そして、街の外に出てみると、ワイバーンの群れ5匹がオークを食べている。
多分、何処かの冒険者が討伐したオークなのだろうなぁ。
「ひぃっ!」
「うぷっ!」
「あ、ああ……」
「んぐっ!」
あ~、耐性ないとキツいよな。
さて、野郎に掛ける慈悲はこれで充分だな。
ワイバーンに近付く俺の殺気に反応して威嚇をしている。
食事する為に地上に降りていて、空中という「利」が無いからな。
「GAAAーーー!」
「はいはい。」
そう言って、俺は残像を残して5つの光条を煌めかせ、ワイバーンの首5つが落ちる。
「「「「……え!?」」」」
俺は素早くワイバーン5匹を収納する。
「撤収するぞー。……後は、焼却だな。火炎球。」
俺は、ワイバーンに因って、売れないし、食えなくなったオークを焼却処分にした。
「まだ、勝負をするか?」
「……いえ。ワイバーンの群れを剣の素振りをするかの様に討伐した貴方には勝てません。」
「ティアさん。お幸せに。」
「ティアさん。貴女の幸せを願っています。」
「ティアさん。貴女に出会えて幸せでした。」
そして、お坊ちゃん達は悔しげに顔を歪ませながら立ち去った。
やる事が終わって門番に説明して門番の1人が街の方に走り出した後、街の中に入るとカーラ達が一生懸命に一般人の避難を手伝っていた。
「カーラ。終わったぞ。」
「終わったって、……まさか!」
「ああ。ワイバーンの群れは討伐した。」
「……分かったわ。」
住民達は、俺達とカーラ達の態度と会話から大丈夫そうだと感じたみたいで、それぞれの家に戻って行った。
そして、街の方に走って行った門番が帰って来て、俺達に冒険者ギルドに来るようにと言われた。
到着して中に入ると、空気がどちらかと言うとギスギスしている。
……独断専行による叱責は嫌だなぁ。
そんな事を考えていると、演出なんだろうが、1人の男が2階から降りて来た。
「初めまして。この冒険者ギルドのマスターだ。」
「初めまして。星屑の翼のリーダーのゼロです。」
「挨拶も終わった事だし、本題に入ろう。何故、先に行った?」
やっぱり、ワイバーンの独断専行に付いて聞かれた。
俺は、街に入る前に叩くべきだと考え、また、群れが散開する前に対処する方が良いと考えて討伐したと話した。
「それで、その討伐したワイバーンの群れは?」
「マジックバッグに。」
「そうか。」
「ギルマス。さっさと本当の本題に入ろう。」
「ああ。」
「どういう事だ?」
暖かい応援メッセージと星の加点をお願いします。




