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これから始まる英雄譚! ~俺らの異常な冒険者スタイル~  作者: 丸々。
第一章 [異色のパーティー]
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九話 森林の狩人、トストプの狩猟

「おい、あのパーティーだぜ。厳重注意になたって話だぜ」

「可哀想に。やっぱりあの赤髪が原因だろうな。俺のパーティーにも来たんだけどよ、早急に突き放して正解だったな」

「しかも、銀髪も増えてるじゃねぇか。魔法が使えるって事に期待しちまったんだろうな……。あの男、可哀想に……」


 哀れむ言葉を送る先は、集会所の片隅にひっそりと居座る、三人組のパーティー。その内、一人の男は泣きそうな顔をしている。


「……。お前ら解雇していい?」

「してもいいけど、あることないこと言い散らすよ?」


 こういう女だよコイツは。


 逃げ道を完全に断たれた俺、絶望した顔で頭を抱える。


「今後とも、よろしくお願いしますね」

「くそう……何でリーダーが全責任を負うんだよ……悪いのセリスだけじゃねぇか」

「でも、私の魔法の凄さがよく分かりましたよね?」

「地味すぎるうえに、効果が渋いんだが。なんで徐々に弱まるんだよ」


 セリスはションボリしてしまった。


 空のコップを人数分持ってきた銀髪の彼女は、不満顔をしながら掌をコップにかざし、流れる水を発生させた。


「…………は!? お前今何した!?」


 それぞれのコップに注がれた水を飲む女性二人は、怪奇現象にさほど疑心を抱いていない。


「何って……水魔法ですけど」

「使えるなら言えよ! もしかして他の魔法も使えるとか!?」

「使えますよ。炎、水、風、雷、土、全部」

「そっちを自慢しろよ!」

「すげぇな。普通だったら一つか二つ、奇才でも三つしか操れないのにな」

「でも、普通の魔法は全く使えないんですよ。炎魔法は威力が完全にランダムで、水魔法はさっきみたいな超低火力。風魔法はハリケーン並の威力しか出せず、調整が出来ません。雷魔法は軌道操作が出来ず、あらぬ方向へ飛んでいき、土魔法はベチョベチョした泥を生み出す程度です」


 最後の土魔法はなんか嫌だな……。


 このパーティー、外観だけなら美女の、いわゆるハーレム的な構成になっている。でも、今のところ問題しかない。他のパーティーの男どもは既に察しており、羨ましいという嫉妬の心は一つも無い。


 そういえば、なんでこんな所にいるんだろう。冒険者に成ることは夢だったが、何かあった気が……。


 ……ルイシュ? 何故か分からないがルイシュの顔が浮かんだ。


 思い出した。ルイシュからは『世界を守れ』的な事を言われたな……。


 ここで一つ頭によぎる。


「……そうだセリス。古の龍がどうのこうのって話、教えてくれ」


 セリスに出会った時に、彼女が切羽詰まったように訴えていたことだ。今の気分を紛らわせるためには、少しでも興味のある話題が欲しかった。


「あれはですね、なんかこう、ビビッと来たんですよ」

「……は?」

「趣味の占いをやってたんですよ。それで、百枚のカードを直感で選んだんですね。そしたらなんと! 災い、古の龍、目覚めの三枚を連続で引いたんですよ!」


 占いでも何でもねぇ。浅すぎる。


 俺はルイシュに『世界を守れ』と宣告されたため、もしかしてその古の龍が関係していると推測したが……この具合では、一切関係無さそうだ。


「アイシャ、依頼って何にした?」

「ちょっと! 私の勘は十中八九当たるんですよ!」


 勘じゃねぇか。


 待ってましたと言いたげに、依頼を決めたアイシャは、掲示板から剥がした一枚の紙を、机の中央に滑らせた。


 紙の半分を占める絵。そこには、なんとも言い難い怪物の姿が。


「次の依頼はコレ、[トストプの討伐]。報酬金は一匹毎に二千ジル、出来る限り討伐して欲しいんだとよ。場所は、さっき銀髪がやらかした草原の近くの森」

「討伐は無しだと言ったが?」

「そうと決まれば、早速出発しましょう! 私の初陣です!」


 一番張り切ってるけど、ついさっきの失態を忘れてないだろうな?


ー森ー


 道中、ストンロクスの足跡がくっきりと残っていた。土が掘り返されており、その足腰の強靱さがうかがえる。


 今回の討伐対象は『トストプ』という怪物。来る途中、アイシャによる解説が始まった。


 一言で言えば、肉食動物。

 フクレテッポウの様なシルエットをしているが……全くの別物。


 頭部から尾先にかけて小さな棘が生え揃い、鋭く発達した牙と鉤爪を持つ。フクレテッポウより頑丈な顎は可動域が広く、噛み付いた獲物を易々と逃がさない。集団で生活する習性があり、狩りも集団で行うらしい。


 群れには一匹、普通のトストプより数段大きなボスがいる。


 人間を襲うことも稀ではない。繁殖期にはより凶暴になる。安全に産卵を行うため、卵を産むメスを中心に、大きく円を描くようにオスが見張りをする……。


 と、いう風に淡々と解説がされた。俺は相槌を打つことしか出来なかった。


「つまり単独行動はするなって事。分かったか後輩?」

「なるほどよーく分かった」

「いざとなったら、私が魔法で蹴散らしてやりますから……うわっ蜘蛛の巣が」

「私がいれば危険など無いぜ? 安心していろ……うわっくぼみが」

 

 ははは、こいつは頼もしい。とても不安だ。


 突き進むこと数十分後……。


 未だにトストプ気配が無い。というか、トストプどころか中型の怪物すらいない。景色は変わらず、四方八方は木と草のみ。


 太い根っこが這い出ていたり、地面が隆起していたりと、非常に歩きづらい。


「なあアイシャ、本当にいるのか?」

「いなかったら依頼を出さないだろ。……しゃーない。本当はやりたくなかったが……私に『作戦』がある」




指摘、感想等が御座いましたら、誰でもお気軽にコメントをして下さい。




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