第16話 名前を呼ぶ人
第16話です。ここから第2章が始まります。
門番に告げられた「名前を置いていけ」。その意味を確かめるため、セナとユイは、シオンとヨハを訪ねます。
ヘルメットを外すと、部屋の暗さが、目の奥にじわりと染みてきた。
六畳一間は、潜る前と、何も変わっていなかった。机の上のノートPC、畳みかけの洗濯物、流しに置いたままのカップ。窓の外の街灯が、薄いカーテン越しに、天井へ四角い光を落としている。時計を見ると、日付が変わって、しばらく経っていた。
体を起こすのに、少し時間がかかった。腕も、首の後ろも、自分のものじゃないみたいに鈍い。椅子の背にもたれたまま、何度か指を握ったり開いたりして、ようやく立ち上がった。
喉が渇いていた。冷蔵庫を開けると、いつ買ったのか思い出せない麦茶のボトルが、奥のほうに一本だけ残っていた。コップに注いで、一口飲む。冷たい、ということは分かった。だが、それだけだった。香ばしさも、かすかな苦みも、どこか遠くにある。舌の上を、温度だけが通り過ぎていく。
俺は、コップを持ったまま、しばらく台所に立っていた。
部屋は、静かだった。冷蔵庫の低い唸りと、遠くの大通りを走る車の音。それ以外に、何も聞こえない。誰かの話し声も、俺を呼ぶ声もない。
ふと、最後に誰かに名前を呼ばれたのは、いつだっただろう、と思った。
仕事のやり取りは、ほとんどがメールとチャットで済む。画面の上を、用件だけが行き来する。コンビニのレジでも、駅の改札でも、俺の名前を口にする人間はいない。この数日、現実の俺は、誰にも名前を呼ばれていない。そんな気が、今夜は、やけにはっきりとした。
あの世界では、どうだ。
「セナさん」と、ユイは呼ぶ。少し弾んだ声で、時々は、心配そうに。ヨハは、気の抜けた調子で、「セナくん」と呼ぶ。ゲームの中の俺は、毎日のように、誰かにその名前で呼ばれている。
呼ばれているのは、ここにいる俺より、むしろ「セナ」のほうだ。
そう思った時、あの低い声が、耳の奥によみがえった。
「お前の名前を、ここに置いていけ」
崩れた門の前で、俺は「セナだ」と名乗った。だが、それで何かが変わったわけじゃない。門番は条件を口にし、俺は退いた。名乗ることと、置いていくことは、違う。それだけは、あの場でも分かっていた。
だとしたら、名前を置くというのは、何を差し出すことなんだろう。
その名前を、あの門の前に置いてきたら。置いたあとの俺には、何が残るのか。考えても、答えは出なかった。出ないまま、問いの重さだけが、胸の底に沈んでいく。
白紙の書の手触りを、思い返した。ページの束の、わずかな厚み。六枚目に刻まれた、欠けたままの、俺自身の記録。
麦茶を飲み干して、コップを流しに置いた。ベッドに横になると、天井の染みが、街灯の光の中に、ぼんやりと浮かんでいた。
名前を、置く。
その言葉を、何度か頭の中で転がしているうちに、いつの間にか、眠りに落ちていた。
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翌日、仕事を片付けて、夕方にログインした。
いつもの落下感のあと、視界が組み上がる。石畳の広場、噴水、頭上の時計塔。西の空が、作り物にしては丁寧すぎるくらいの茜色に染まっていた。
時計塔の下に、ユイがいた。一人で、文字盤を見上げている。俺に気づくと、ぱっと顔を明るくして、小さく手を振った。
「セナさん。お疲れさまです」
「待たせたか」
「いえ、私も、さっき来たところです」
そう言いながら、ユイは、少しだけ視線を落とした。
「あの、昨日のあと、ずっと考えてたんです。名前を置いていけ、って」
「……俺もだ」
「さっき、待ってる間に、ステータスを開いて、自分の名前のところを、ずっと見てたんです。こんなにじっと見たの、初めてかもしれません。毎日、当たり前みたいに出てるのに」
俺も、つられて、自分のステータスを開いた。名前の欄に、『セナ』。見慣れた二文字が、いつもと同じ場所に、いつもと同じ色で浮かんでいる。それを置いていけ、と言われた。そう思って見ると、たった二文字が、妙に重たく見えた。
二人で、分かっていることを並べ直した。掲示板には、門番に追い返されたという書き込みしかない。情報屋は「門番がいる」以上を知らなかった。ヨハは顔色を変えたが、詳しくは知らない、と言った。並べてみると、手持ちの札は、驚くほど少なかった。
「それで、思ったんですけど」
ユイが、顔を上げた。
「シオンさんには、まだ、聞いてないですよね」
「……ああ」
「シオンさん、前に、お兄ちゃんのこと、知っているかもしれない、って言ってました。最初に、二人で図書館に行った日に」
覚えていたのか、と思った。あの夜、シオンは兄の名前を聞いて、静かに目を伏せた。「知って、いるかもしれません」。その一言を、ユイは、ずっと胸のどこかに置いていたんだろう。
俺は、すぐには頷かなかった。
記録庫への道を示したのは、シオンだ。あそこで見たものを、俺たちは、もう鵜呑みにしないと決めた。その入り口に立っていた相手に、また答えを求めに行く。そのことが、喉の奥に、小さな骨のように引っかかった。
広場を、どこかのギルドの一団が、笑いながら横切っていく。その声が、噴水の水音に混じって、遠ざかっていった。
それでも、シオンを疑う気には、どうしてもなれなかった。
「行くか」
「はい」
「そのあと、ヨハのところにも寄る。お前、会ってみたいって言ってたろ」
ユイの肩が、分かりやすく跳ねた。
「えっ、今日ですか」
「嫌なら、また今度にする」
「い、嫌じゃないです! ただ、ちょっと、心の準備が」
ユイは、パーカーの裾を両手で引っ張って、何度か整え直した。ゲームの中で服を整えても、何かが変わるわけじゃない。そう言いかけて、やめた。本人にとっては、多分、大事なことなんだろう。
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図書館へ向かう道すがら、ユイは、何度か俺の顔を見上げた。何か言いたそうにして、結局、言わない。俺のほうも、似たようなものだった。シオンに何を聞くかは、決めてある。だが、何を聞かずにおくかは、まだ決めきれていなかった。
露店の並びを抜けると、石造りの大きな建物が見えてくる。無数の窓の一つ一つに、夕日が赤く映り込んでいた。初めてここに来た頃は、ただ「静かに壊れている」感じが落ち着く、というだけの場所だった。今は、扉の前に立つたびに、少しだけ、呼吸を整える必要がある。
扉を潜ってすぐの、いつもの場所に、シオンは立っていた。緩く結った銀色の髪に、大きな丸眼鏡。俺たちに気づくと、眼鏡の奥の目を、柔らかく細めた。
「あ、セナさん。ユイさんも」
その声を聞いて、俺は、昨夜の部屋の静けさを、ほんの一瞬だけ思い出した。
「聞きたいことがある」
前置きは、要らないだろう。俺は、ギルガメシュまで行ったこと、崩れた門の前に門番がいたこと、そいつに「名前を置いていけ」と言われて、何もせずに退いたことを、短く話した。シオンは、途中で一度も口を挟まなかった。ただ、「門番」という言葉のところで、本を抱えた指先に、わずかに力がこもったように見えた。
「あれは、どういう意味だ」
シオンは、すぐには答えなかった。眼鏡の奥の目が、俺の顔から、腰の白紙の書へ、それからまた、俺の顔へと戻ってくる。
「……セナさん」
「何だ」
「お名前を、置いて、こられたのですか」
問いを、問いで返された。だが、その声には、はぐらかすような軽さがなかった。
「名乗っただけだ。置いてはいない」
シオンは、小さく息をついた。
「……そう、ですか」
それきり、彼女は目を伏せた。肩の線が、ほんのわずかに下がったように見えた。それが何を意味するのか、俺には、分からなかった。
「シオンさん」
ユイが、一歩前に出た。声は明るく保とうとしているのに、胸の前で組んだ両手の指が、白くなるほど握り合わされていた。
「お兄ちゃんが最後にログインした場所、ギルガメシュだったんです。シオンさん、前に、お兄ちゃんのこと、知っているかもしれないって言ってましたよね。だから、もしかしたら、って」
シオンは、ユイを見た。唇がわずかに開いて、また、閉じた。
俺は、言葉を重ねた。
「前に、記録が、足りていないと言ったな。俺自身が、まだ、何も記録していない、とも」
あの夜の言葉は、今でも、正確に覚えている。
「俺は、記録庫で、自分を記録した。欠けたままの記憶だったが、確かに、この本に刻んだ。それでも、まだ、足りないのか」
シオンは、答えなかった。
長い沈黙だった。閲覧室の奥から、紙の擦れる音が、かすかに聞こえてくる。ろうそくの炎が、風もないのに、ゆらりと揺れた。隣で、ユイが息を詰めているのが分かった。
やがて、シオンが、顔を上げた。
「名前は……」
一度、そこで言葉が途切れた。
「誰かに、呼んでもらうためのもの、だと、私は、思っています」
俺の問いへの答えじゃなかった。兄のことへの答えでもない。
「……呼んで、もらう」
ユイが、口の中で、小さく繰り返した。組んでいた指から、少しだけ、力が抜けた。
俺は、何も言えなかった。
高い窓から差し込む光の中で、細かな埃が、ゆっくりと舞っていた。図書館は、いつもと同じように、静かだった。
「……邪魔したな」
「ありがとうございました、シオンさん」
ユイが頭を下げ、俺たちは、入り口に向き直った。
扉に、手をかけた時だった。
「……あの門は、まだ、立っているのですね。」
振り返ると、シオンは、俺たちのほうを見ていなかった。扉の向こう、ずっと遠くを見るような目をしていた。誰に言うともない、独り言のような声だった。
まだ、という言葉が、耳に引っかかった。
「知ってるのか」
シオンは、こちらに目を戻した。そして、いつもの案内役の司書の顔で、柔らかく微笑んだ。それだけだった。
俺は、それ以上、聞かなかった。
扉の外に出ると、広場の喧騒が、急に耳に戻ってきた。空の茜色は、いつの間にか、紫に近い色に沈み始めている。
ユイは、しばらく黙って、俺の隣を歩いていた。振り返って図書館を見上げ、また前を向く。それを、二度、繰り返した。
「……セナさん」
「何だ」
「今の、聞き間違いじゃ、ないですよね」
俺は、黙って頷いた。
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表通りを外れて、細い路地に入る。足元の石畳が、急に古びた色に変わった。露店の呼び込みの声が、背中の向こうで、少しずつ遠ざかっていく。
「あの、セナさん。ヨハさんって、どんな人ですか」
路地の角を曲がったところで、ユイが聞いた。
「会えば分かる」
「それ、答えになってないです」
「説明すると、多分、余計に緊張する」
「……もう、十分、緊張してます」
裏路地の酒場は、相変わらず、看板の一つも出していなかった。
扉の脇にぶら下がった小さなランプを見て、ユイが、俺の袖をつまんだ。
「ここ、ですか」
「ここだ」
「……隠れ家みたいですね」
声が、少しだけ上ずっていた。
扉を押し開けると、くぐもった話し声と、グラスの触れ合う音が流れ出してきた。薄暗い店内に、客はまばらだった。カウンターの端に、見慣れた背中が突っ伏している。
「ヨハさん」
声をかけると、ぼさぼさの頭が、のそりと持ち上がった。
「おお、セナくん。……ん?」
ヨハの目が、俺の隣に移った。ユイが、背筋をぴんと伸ばす。
「は、初めまして! ユイです。セナさんには、いつもお世話になってます!」
勢いよく頭を下げたユイを、ヨハは、しばらくぽかんと眺めていた。それから、俺のほうを向いた。
「セナくん。お前、いつの間に、こんなええ子と知り合うたんや」
「話すと長い」
「長い話、好きやで。夜は長いし」
「ヨハさんのことは、セナさんから聞いてます。昔の会社の、先輩だって」
「おっ、なんて聞いてるん。仕事のできる、頼れる先輩、とか?」
ユイが、ちらりと俺を見た。
「……緩い人だ、って」
「セナくん」
「事実だろ」
ヨハは、大げさに胸を押さえて、カウンターにまた突っ伏した。ユイが、慌てて両手を振る。
「あっ、違うんです、悪い意味じゃなくて! 一緒にいると、肩の力が抜ける、みたいな」
「ユイちゃん、それ、あんまりフォローになってへんで」
「えっ」
「ま、ええやん。当たってるし」
ヨハは、ひらひらと手を振って、体を起こした。ユイは、どう返していいか分からない顔で、俺とヨハを交互に見ている。俺は、黙ってカウンターの椅子を引いた。この二人を会わせたのは、俺だ。紹介の仕方くらいは、もう少し考えておくべきだった。
「ユイちゃん、クラスは?」
「聖騎士です。あ、でも、盾しか持ってないんですけど」
「盾だけ?」
ヨハが、俺とユイを交互に見た。
「攻撃力ゼロの記録者と、盾一枚の聖騎士。……自分ら、どないして戦うてんの」
「俺が見て、こいつが避けて、叩く」
「叩くのは、盾でです!」
ユイが、なぜか胸を張った。ヨハは、カウンターに額をつけたまま、肩を震わせて笑った。
「ええなあ。そういうの、ええわ」
その笑い声は、思っていたより、ずっと柔らかかった。
店主が、無言でグラスを二つ置いていった。ユイは、それを両手で受け取って、物珍しそうに中を覗き込んでいる。その時、ヨハの視線が、ユイの名前の横の小さな端末アイコンに一瞬だけ留まり、すぐに自分のグラスへ戻ったのが見えた。
「それで」
ヨハが、グラスを指先で揺らしながら言った。
「わざわざ連れてきたんやから、ただの顔見せ、ってわけでもないんやろ」
「門のことだ」
俺は、短く切り出した。
「名前を置いていけ、の意味を、調べてる。今日は、図書館の司書にも聞いてきた」
「司書、なあ」
ヨハは、それだけ言って、グラスを傾けた。司書の話は、それきりだった。
「前にも言うたやろ。詳しくは、知らん」
「分かってる」
「分かってて来るんが、セナくんやな」
ヨハは、小さく笑った。それから、ユイのほうへ目をやった。ユイは、グラスを両手で包んだまま、まっすぐヨハを見ていた。さっきまでの緊張とは違う、真剣な目だった。
ヨハは、その目を、しばらく黙って見返していた。やがて、椅子の上で、体ごとこちらに向き直った。
「一つだけな」
「何だ」
「置くんやったら、自分が何を置くんか、分かってから置き」
それだけだった。置いたら何が起きるのかも、どうすればいいのかも、ヨハは言わなかった。だが、その声には、いつもの緩さがなかった。
「……分かってから、ですか」
ユイが、小さく繰り返した。
「せや。それだけや」
ユイは、少し迷うように視線を落としてから、顔を上げた。
「あの、ヨハさん。私、お兄ちゃんを探してるんです」
「兄ちゃん?」
「蒼太、っていいます。このゲームをやってて、1ヶ月くらい前から、いなくて。最後にログインした場所が、ギルガメシュだったんです。だから、私も、セナさんと一緒に、あの門の先に行きたいんです」
ヨハは、口に運びかけていたグラスを、そのまま、カウンターに下ろした。中身は、減っていなかった。
一拍、間があった。ヨハは、カウンターの木目に目を落としていた。
「……そうか」
それから、ユイのほうを見ないまま、言った。
「見つかるとええな」
「はい!」
ユイは、力強く頷いた。ヨハの間には、気づかなかったらしい。俺は、何も言わずに、自分のグラスに口をつけた。
それからしばらく、ヨハは、昔の会社の話を、ユイに面白おかしく聞かせた。締切の前日に、自販機の前で寝落ちして、朝まで誰にも気づかれなかった話。リリースの直前に見つかった、笑うしかないバグの話。話の主役は、たいていヨハ自身だった。ユイは、何度も声を上げて笑った。時々、話に俺が出てくるたびに、ユイが「セナさん、そうなんですか」とこちらを見る。そのたびに、俺は「そうだったか」とだけ返した。
窓のない店の中では、時間の流れが、分かりにくい。ユイがメニューを開いて小さく声を上げたのは、だいぶ経ってからだった。
「あ、もうこんな時間。すみません、遅くなったので、今日は、これで」
「おう。気ぃつけてな、ユイちゃん」
「はい。ヨハさん、今日は、ありがとうございました。また、来てもいいですか」
「いつでもおるで。暇やし」
ユイは、もう一度、丁寧に頭を下げた。それから、俺に小さく手を振って、ログアウトしていった。光の粒が、彼女の座っていた椅子の上で、静かにほどけて消えた。
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ユイがいなくなると、店の中が、少しだけ広く感じられた。
「俺も、そろそろ行く」
椅子から腰を上げかけた時、ヨハが言った。
「セナくん」
カウンターに頬杖をついたまま、ヨハは、こちらを見ていなかった。
「あの子の兄ちゃんの名前、聞いて、何も思わんかったんか」
俺は、動きを止めた。
蒼太。
その名前を、初めて聞いた時のことを、思い出した。夜の森で、ユイの画面に浮かんだ通知。あの時、胸の奥が、微かにざわついた。思い当たる何かがある。けれど、形にならない。
今も、同じだった。指先で触れた気がするのに、掴もうとすると、するりと抜けていく。思い出そうとすればするほど、その手前に、薄い膜のようなものが張られていく。
ヨハの問いは、ただの雑談の続きには聞こえなかった。だが、何を問われているのかも、俺には、分からなかった。
「……何か、知ってるのか」
ヨハは、答えなかった。しばらく、空になったグラスの縁を眺めていた。それから、ふっと、いつもの緩い顔に戻った。
「……ま、ええわ」
それだけ言って、ヨハは、またカウンターに突っ伏した。もう、何を聞いても返ってこない背中だった。
俺は、しばらくその背中を見ていた。それから、黙って店を出た。
裏路地は、暗かった。扉の脇の小さなランプだけが、石畳に、頼りない光の輪を落としている。表通りの喧騒が、遠くから、くぐもって聞こえてくる。
蒼太。
もう一度、その名前を、頭の中で呼んでみた。
どこかで、確かに、聞いたことがある気がする。だが、それがいつで、どこだったのか。何一つ、形にならない。名前だけが、手のひらに載せられたまま、行き場を探していた。
俺は、ランプの光の外へ、ゆっくりと歩き出した。
第16話を読んでいただき、ありがとうございました。
「名前は……誰かに、呼んでもらうためのもの」。シオンの言葉と、ヨハの最後の問いかけ。セナは、まだどちらにも答えを持っていません。
次話も、よろしくお願いします。
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