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サンソンくん snow white編  作者: ハクノチチ
13/14

柱の折れた冬


 


 ふと、気が付いたとき彼女は光に包まれる世界で目を覚ましていました。この地に現れてから一度も寝ることのなかった彼女は、これが夢のなかなのか? と思いました。そこは光しかないわりにはさほど眩しくもなく、何やら騒がしい声まで聞こえていたのです。彼女は声の方に目を向けましたが(もうどうでもいい)太陽のような光しか見えず、夢のなかはかなり現実的な世界でした……



 

 「もどり羊」の群れが続々と横切る空の下、彼女は一人だけで笑い続け、ぼくは一人で泣き続け、さようならも言わずに別れてしまった……

 

 柱の折れた冬は、季節を分かつ日の無臭を押しやり、そこは春の匂いを嗅ぐ空の隅です。小さな彼は眠ることなど出来ませんでした。


 あの子は溶けやしない、自分でそう言ってたじゃん!! いつか、きっとそんなに遠くない日に、ぼくは立派な大人になれるから、そのとき迎えに来るんだ。約束したから、だからぼくは怖くて逃げるわけじゃない!!

 あの子が壊れてしまったようにずっとケタケタ笑っていたのは、つい泣いちゃったぼくを励まそうとしていただけだ!! 


 小さな彼は目をつぶり、もう一人の自分に怒鳴りつけました。もう一人の自分は、その都度言います。

 「でもいずれしろ、さようならだけは言わなければいけないぞ……」


 一晩でも百年でも同じように眠れなかった気がすることを忘れさせ、小さな彼を最後に突き動かしたのはスノーホワイトの更なる美しさです。

 全く「澄んだ音」のような発光体でした。地上の彼女は輪郭ごと透明な姿となり、雫に濡れた朝の光を大気の中へ「反響」させるかのように反射させていました。


 この光の放射をこの世から失くしてはいけない。記憶の中でしか残らないものをこの世から失くさないためにはぼく自身が後悔してはいけないんだ。それに考えてもみろ! 今後どこかで美しいものを目にしたとき、いつも同じ後悔がついて回られてはたまったもんじゃないぞ。自分に嘘をついて生きていいのは、嘘をついてもいいことだけだ!!


 ちきしょう! あいつら揃いも揃ってコロコロしやがって、全部が全部ぼくのモヤモヤに見えてきたじゃないか!!


 かくして起爆した稚拙な小さな太陽は「もどり羊」の群れの中へ突撃しました……



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