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灯里の反抗期?

 当初の予定になかった育休三年目だったが、毎日順調に過ごしていた。

 小学生になった荘太は、おばあちゃんがいない日は、雅之と有希ちゃんの家に車で送迎されるようになった。

 いつもの高級車ではないなと思ったら、わざと、普通の乗用車でカモフラージュしているらしい。

 ちゃっかり、翠先生が、灯里の勉強も見てもらうように依頼していたらしくて、荘太が勉強に行く日は灯里も一緒だ。

 来年のことについて有希ちゃんと灯里と話し合った結果、荘太の家庭教師がある日は、有希ちゃんが保育園まで灯里を迎えに行くことになった。

 今度は、ちゃんと、保育園の申請もしたし、申請も通りそうなので、とりあえずは一安心だ。


 と、思っていたが、最近、灯里がなんだか冷たい。

「パパ!ご本は、自分で読むから読まないで!」と、絵本を読もうとしたら、拒否されたり、一人でぬいぐるみとごっこ遊びをしているのは寂しかろうと混ざろうとすると、「パパは入っちゃダメ」と言われてしまったり。

 もしかして、灯里は反抗期なのだろうか?

 いや、でも、明らかに俺を嫌ったり、俺の言うことを聞かなかったりするわけでもないし、しばらく様子を見るか。

 そう思っていたある日のことだった。

 昼寝中の灯里の顔をのぞき込むと、灯里が寝言で「パパ……くさい」と言った。

 いや、でも、寝言だしな、と、思いつつ思わず俺はお昼寝から目覚めたばかりの灯里に聞いてしまった。

「なあ、灯里、パパって臭いか?」

 灯里は寝ぼけ眼をこすりながら答えた。

「うーん?前に、ママにパパ臭いって言ったら、パパには内緒ねって言われた……」

 再び眠りだした灯里の隣で、俺が凹み散らかしたのは言うまでもなかった。


「あらー、灯里言っちゃったかぁ」

 俺があまりにもへこんでいたので、帰宅した翠先生が事情を聞いてくれたのだが、その時に放った一言すら俺には重大なダメージだった。

 ついでに最近灯里が冷たい話をすると、翠先生から意外な返答が来た。

「保育園が決まったあたりから、灯里も灯里なりに、ずっとパパと一緒にいられないってことを考えているみたいだから、一人でも平気なように練習しているのかもしれないよ」

 そうか、そういえば、最近、お片づけを積極的にやってくれたり、お手伝いもよくしてくれているなと思っていた。

「何か、春から一人暮らし!って言ってたよ!」

 三歳児で一人暮らしするわけないだろうが!と、俺は盛大にツッコミを入れた。

 だが、灯里が灯里なりに考えた結果、俺から独り立ちしようとしていたんだな!


 それからしばらくの間は俺も、灯里が一人で遊んでいても、ほほえましく見ているだけにしていたが、段々と、灯里に構ってもらえないのが寂しくなってきた。

「灯里、パパが絵本読んであげようか?」

「いらない」

「まあ、そう言わずに……」

「だって、パパ、読むのへたくそでしょっちゅうつっかえるから、内容が頭に入ってこないんだもの」

 ド正論でした!

「おままごとも、パパの演技力じゃ臨場感がないから、お人形さんのほうがましだもの」

 おままごとのこと聞いてないのに!

 いや、でも、これは、灯里なりに、俺と離れて暮らす時間のことを考えて……考えて……。

 ヤバい、何故だか目からしょっぱい水が出てきた。

「パパ、ごめんね、思わず言いすぎちゃった」

 灯里が、俺の頭をなでてくれた。

 そして、それでもなおへこみ続ける俺に、「ママのところに、会いに行こうか?」と、灯里が言った。

 俺がうなずくと、灯里は粛々と、お出かけの準備を始めた。


 灯里を連れて、俺は病院へとやってきた。

 もうすぐ職場復帰なので、ついでにNICUにもあいさつに行こうかと思ったが、何だか工事中らしく、重機などもあって、灯里がケガをするといけないので、NICUに行くのはやめて、翠先生の診察室に行くことにした。

 まさか、この俺たちの行動が、一人のベビーの運命を左右することになるとは、この時の俺は気づいていなかった。

 灯里を連れて歩いていると、見覚えのある人がそこにいた。

「あ!マサ君のお兄さんと、あーかーりーちゃーん!今日もかわいい!」

 それは、有希ちゃんのお姉さんの清花さんだった。

 有希ちゃんの結婚式以来、灯里見たさに何度か我が家に遊びに来ているけれど、いつ見てもテンションの高い元気なお姉さんだ。

「清花お姉さん、こんにちは!」と、灯里は、丁寧にあいさつした。

『これが、ママの大好きな灯里ちゃんね!私も大好き!』

 清花さんのお腹から『声』が聞こえた。

 翠先生の診察室の待合室から出てきたようなので、翠先生に診てもらっているのだろう。

 と、思っていると、待合室から別の女性が出てきた。

「あ!高志君のお友達の徹君の奥さんの梨紗子さん!」

 清花さんが、何だかよくわかるようなわからないような説明をして、女性に手を振った。

「梨紗子さんも、ママ友だね!」と、清花さんが破顔すると、梨紗子さんとやらも、一緒になって微笑んだ。

 梨紗子さんは、清花さんと少し会話して、灯里と俺に挨拶すると、立ち去って行った。

 清花さんも、少し灯里と会話すると、そのまま帰っていった。


 俺と灯里が待合室をのぞこうとすると、「こっちから入っていいですよ」と、顔なじみの産婦人科の看護師さんが言ってくれた。

「灯里ちゃん、大きくなったわね!」

 どうやら、目当ては灯里だったらしい。

「次の人で最後なので、顔出してあげたらどうですか?」

 俺のほうに向きなおった看護師さんは、いつも通りのクールな感じに戻っていた。

 俺は、灯里を連れて、診察室のほうへ向かった。

「翠先生、今日もいいオーラしてますね。どうやら悩み事があるのか、少しどす黒いオーラも健在ですが」

 何か、患者さん変な話してる!

「四月からは先生にたくさんの試練が舞い込んできそうですが、先生を取り巻く神々しいオーラのおかげですべては解決に導かれるでしょう」

 俺はちらりと中を覗いた。この患者さん、黒づくめだ!怪しい!

『感じるわ、感じるわ、ものすごい神々しいオーラの断片!』

 そして、一語一句たがわない言葉をおなかの中の赤ちゃんも話していた。

 おなかの中の赤ちゃんのスピリチュアル感がすごいなと思っている俺の脇を抜けて、「ママ!」と灯里が翠先生にくっついた。

『ああ!なんて神々しいオーラ!翠先生の娘さんでいらっしゃったのね!ぜひともそのご尊顔を拝見したい!』と、ベビーが盛り上がったところで、妊婦が破水した。

「うそ!誰か!西園寺さんを分娩室へ!」

 俺と灯里は翠先生と帰るどころではなくなり、二人でとぼとぼと病院を後にした。

「おう!笹岡じゃないか!NICU工事中で入れなかったか?」

 不意に話しかけられて振り返ると、そこには井澤看護師長がいた。

「あ、井澤さ……」

「お嬢ちゃん、可愛いねぇ、名前はなんていうの?」

 俺が返事をする前に、既に看護師長は灯里にメロメロになっていた。

「笹岡灯里、三歳です!来月からパパがお世話になります!」

 そして、俺の代わりに灯里がちゃんと挨拶してくれた。

「娘さん、しっかりしてるね、可愛がってやりなよ!」

 そういうと、看護師長は颯爽と去っていった。

 そうだ、俺は、来月からまたここで働くんだ。

 俺は、決意を新たに病院を振り返った。




 ネタが尽きたので終わります!

 育休三年目ほぼすっ飛ばしてごめんなさい!

 精神統一してからこんにちは赤ちゃん3に取り掛かろうと思います!

 まだ、構想がぐっちゃぐちゃなので、精神統一にお時間いただきます!

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