第1話 ~勇者アルベルト始まりの朝~
魔界ウォーズのリリース直後、自称勇者はけして評価は高くはなかった。
それが今では確固たる地位を築いているようで嬉しく思う。
「おはよう!ジルっ朝だよ!」
シャーっとカーテンを開ける音とともに隣の宿屋の息子の声が聞こえる。
オレは眠い目を窓に向けて外がまだ暗いことを確認した。
「なぁアル、まだ外は暗いんだが何の用だ?」
「ああ!昨晩ヘンリーさんから一本取って今日の商隊護衛任務に連れて行ってもらうことになったんだ!」
オレは鑑定のスキルを使い、アルベルトのスキル欄にこの前までなかった剣術スキルがあることを確認した。
「そうか毎晩挑んで良かったな。っで、何でオレが起こされたんだ」
アルベルトはヘンリーさんから一本取ったらクエストに連れて行ってもらう約束をしており、家の手伝いもしないくせに宿泊客のヘンリーさんが酒を飲んだ後に不意打ちを狙い毎晩挑んでいたである。
「さっきヘンリーさんがジルも一緒にきて採取や魔物の剥ぎ取り作業を手伝うなら、道中の弱い魔物を僕に任せてくれるってが言うんだ。だから一緒に行こうジル!」
「おい、それはいきなり過ぎるだろ。今回は諦めて一人で行ってこい」
アルベルトとは赤ん坊の時からの付き合いで一緒に育てられており、いつの間にかオレはアルベルトの世話係だと思われているのだ。みんなのその認識を変えたいのだが方法がわからずそのままにしていたのは失敗だったようだ。
「これが勇者アルベルトの伝説の始まりの一章だったのだ。くぅ〜バイブス上がる〜」
勇者アルベルトは混乱している。オレの話が聞こえないようだ。
「はぁ〜、仕方ないな。飯は向こう持ちなんだろうな」
「うん。道中のご飯とイーストタウンでの宿泊代と少しはお小遣いもくれるって!」
オレの独り言を拾うこいつの耳は都合がいい事は聞こえるようだ。
「準備するから少し待てよ」
「わかった。朝食の準備しとくね!」
バタンっと扉を閉めて勝手知ったるオレの家の食堂へ向かったようだ。
オレは着替え・保存食・採取袋・ナイフを纏めて鞄に入れてカーテンを閉める。
食堂に行くとアルベルトと親父が飯の用意をしている。
「親父出てきてたのか」
親父は魔道具製作を生業にしており、朝も夜も関係ない生活をしている。オレも簡単な修理や素材作製を手伝っているのだが、難しい依頼が来ると親父は部屋に篭り一緒に住んでいても顔を合わせない事は多々あるのだ。
「ああ、仕事が終わったからな。アルと一緒にイーストタウンに行くそうだな。ついでにこれを届けに行ってくれ」
親父は飯と一緒に鞄を渡して来た。
「これは?」
「ギルドから依頼のマジックバックだ。伝票はバックに入れてあるからこれを納品して、貸し出したレンタル品を回収してきてくれ。使用者ロックを解除しているが中身はタウンの物だから手をつけるなよ」
親父は後半部分をアルベルトの方を見ながら言うが、勇者アルベルトはオレの作り置き特製スープに夢中で親父の言葉を聞いていないようだ。
「オレはもう寝るが、気をつけて行ってこいよ二人共」
親父はオレとアルベルトの頭に軽く手をおき、部屋に戻って行った。
どうやらオレは魔物や盗賊よりも勇者アルベルトに対して警戒が必要のようだ。
自称勇者は4月16日15時までピックアップガチャの対象なので、それまでは投稿を頑張ろうと思う。




