交錯するヒストリー
話が動きます。
切ない構図が見えるように頑張りました!
俺は珍しく上機嫌だった。
当然だ。目的があり完遂しようと足掻いて踠いているのだから。
これは持論だが、目的を持っていてそれを完遂する最中の道程にこそ楽しみはあると思っている。
故に、俺はセルファを蔑視した。
これもまた当然だ。
俺はセルファを憎む事で前に進める。
憎しみをガソリンに変えて邁進出来るのだ。
あいつに力で勝ちたい。
狡い手は使ってやらない。それは即ち俺が救いの無い畜生に成り下がることと同義だ。
それは何よりも唾棄すべき事だ。
だから、俺は純粋な力を渇望する。
◆◆◆
『セルファ』
僕は友達が少ない。
僕を崇拝する女の子はいるけど、関係性はやはり崇拝。同列で扱ってはくれない。
僕は友人が、対等な関係性が欲しかった。
昔も、今も。
「……」
「…………」
リューザス君は友人足り得なかった。
レイちゃんの親友だから助けた。
そこに生まれるのは貸し借りの上下関係。
決して友人では無かった。
はっきり言おう。
僕はリューザス君を好きになれない。
寧ろ嫌いだ。
僕の人生に於いて手を差し伸べた人間はレイちゃんただ一人。
苦しかった。
家では母さんの束縛に耐えてきた。
常に完璧を求められ運動も勉強も、何もかも最優にした。
けれど、まだ足りない。
それでも尚、万能の天才であれと。
『あのさ!君、メンツ足りないからナイツ・ゲームに入ってよ!!』
だから無邪気な声に憧れた。
レイちゃんに出会った。
でも、言われたんだ。
『ナイツ・ゲームでも最優でありなさい。母さんがサポートしてあげるから』
それから僕は常勝無敗。
向かう所に敵はなくーレイちゃんもいつの間にか隣から消えた。
『セイッ!!ヤァッ!!』
空き地で無心に剣を振るうレイちゃんを見た。
最近は僕と他の遊びをするのが滅多になくなった。
強くなる為に。
次第に目から輝きが消えて行くのを知っていた。けれど、持て囃された僕は次第にレイちゃんと疎遠になった。
レイちゃんはどんどん孤独に、孤高になった。
それから、レイちゃんは引っ越した。
残ったのは悪評のみ。
僕は初めて怒りを覚えたんだ。
だから、レイちゃんを悪く言う子はボコボコにしてやった。
良心は痛まなかった。
僕にはレイちゃんに負い目がある。
僕がレイちゃんの活躍の機会を奪った。
母さんが無慈悲に奪ったんだ。
僕は補償がしたい。
だからレイちゃんの願いを聞き届けて完遂しようとしている。
ただ、レイちゃんは最近僕を見る目が変わってきた。
いつも笑ってる。
笑ってるんだ。
飛び切りの黒い笑顔で。




