過去からの意思
・ランカー
ナイツ・ゲームにはランキングと言うものが存在する。
チーム単位で累計勝負数、勝率、チームに在籍する人数の多さの三点から総合的に評価した際の上位層をランカーと言う。
・チーム
ナイツ・ゲームに於ける自分が所属する団体名。チーム在籍者はそれぞれ団体を表すエンブレムを所有するのが原則である。また、団体の新設の申請は公式サイトにてチーム名、メンバー、エンブレムの三点を送信し認可を得る必要がある。
・エンブレム
チームを表す紋章、これを持たない者はチームメンバーと認められない。
尚、基本的に製作は専用のサイトからエンブレム製作団体に予約しオーダーメイドといった形になる。現在ブームにより人気の製作団体は数ヶ月待ちの状況である。
「はぁ…」
パソコンを凝視した目を労うように目頭を揉んでやる。
『一緒にナイツ・ゲームのランカー目指さねえか?』
そう言われはしたが、やはり問題にぶち当たる。
金だ。
部活であればチームの申請は部費から出る為、自分の防具や武器にお金を掛けれるが個人でやるとなると更にお金が掛かる。
一緒にナイツ・ゲームのランカーを目指すのに俺を誘った位だから何とかする手立てはあるのだろうが、それでも不安が残る。
どうしたものか。
「ま、考えても仕方ないか」
ベッドに移動してゴロリと寝転ぶ。
徐にベッド下の収納から一冊の本を取り出す。
昔にナイツ・ゲームについて知りたくて廃品回収の時にくすねてきたナイツ・ゲームの雑誌。
捨てるのが何だか勿体無くて取っておいたものだ。
セイバーのインタビュー記事、陣形と戦略について書かれた記事、新型武器の広告。そのどれもが擦れて、ヨレて。
かつての俺によって読み尽くされていた。
「ははっ、懐かしいな。単横陣最強理論か!確かアレほんの二週間足らずで対応されて十日天下って呼ばれてたっけ」
パサリと中から何かが落ちてきた。
それは雑な字で書かれた戦略ノートの切れ端だった。
何回も赤ペンで訂正されたそれは見苦しかったが、純な少年を想起させて微笑ましくもあり、同時にもっとキレイな字を書けよと恥ずかしくもあった。
『おれはエースになる!!』
デカデカと書かれた意気込み。
どんな気持ちでこれを書いたのだったか忘れてしまった。
「……」
無茶を言ってやがる。
でも、俺はセルファを超えてエースになる。ならなくてはならない。
ため息を吐くとそれを放り投げる。
今から成すと決めたのは夢の実現。
強いエースになって俺を虐めたメギアとクズ野郎のセルファを後悔させるのだ。
そう考えると頗る気分が良くなった。
血が滾り沸々と憎悪が立ち上る。
「俺が…セルファに勝つ」
確かめるように口に出す。
全く。
いい響きじゃねえか。




