しけ面と黒スケ
「ん」
「ん、一目で義理と分かるチョコか。気が利いてるじゃねえか。goodなセンスしてやがる」
俺は黒い包装のチョコを手渡すと黒スケの隣にどっかりと座り込んだ。
「んで、何話すんだ?俺はtalkは苦手だぜ?」
「本の話でもするか?」
「ハッ!EDU高い系気取りか。しけ面は気取りとか好きだな。どうせラノベだろ?知ってるぜ」
「じゃあ、これはどうだ?」
黒スケに手渡したのは『オペラ座の怪人』。
俺の好きな本だ。
「げっ、お前ガチもんの文系かよ。てっきり俄かかと思ってた」
「俺は行間も読み尽くすからな?」
まあ、これはほんのジョークだが。
『オペラ座の怪人』、噛み砕いて言えば売れない歌手のクリスティーヌがファントムと手を組んで史上の歌姫になるが…そのクリスティーヌとラウルが幸せになり、ファントムは満足出来ないって話だ。
大体はな。
細かいところは読んでみれば分かる。
ただ、ファントムというキャラの救われなさ加減が凄まじく、二次創作物ではファントムがラウルをボコボコにしてざまぁする『ワイ、ファントム。オタサーの姫を寝とったラウルをボコったったw←今ココ』や、ファントムが超絶イケメンに転生して無双する『転生先がファントムでしたがイケメンだったので無双します』が台頭した時期もあった。
それはさておき、俺はファントムというキャラに異様にのめり込んでしまったのだ。
理由は簡単。俺には才覚が無くて、努力も報われなかったから。
先ず、ファントムというキャラは醜い顔に生まれた為仮面をかぶっていたが、その音楽の才覚は正に魔性。
クリスティーヌを歌姫にまで上り詰めさせる事に成功する。
俺はクリスティーヌに似ていた。
だから、ファントムを、魔性を渇望せずにはいられなかった。
「…まぁ、大体しけ面がこの本を気に入ってるのは理由は分からなくもないけどよ。案外近くにラウルとファントム兼任出来る人材が居ると思わねえのか?」
「は?」
「俺だよ」
ツンツンと頬を突きながらアピールしているのは勿論、黒スケ。
「冗談は大概に…」
「アスレイ」
「えっ……」
「俺が毎晩会う約束した奴を調べないと思ったか?」
まあ、妥当だなと思う。
黒スケにだって親はいる。
心配位するだろう。
「アスレイの闇は知ってる。その上で提案だ」
「一緒にナイツ・ゲームのランカー目指さねえか?」




