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そして一つの時代は終わり

 あの後、どれほど探しても可憐と珠子の姿はなかった。

 同時に、攻略対象であった五人の姿も消えていた。行方不明となった七人が、果たしてどうなってしまったのか。生きているのか死んでいるのかさえも分からない。


 ――だけど、可憐さんが死ぬはずがない。


 悠里は確信していた。可憐はきっとどこかで生きている。そして今もまだ、どこかで魂活しているはずだ。

 消えた攻略対象たちの好感度稼ぎ、あるいはライバルの珠子とイベントを奪い合っているに違いないのだ。

 だから悠里は強くなる。真っ直ぐに前を向き、いつか可憐を追いかけるために。




 ○


 現世に悔いを残して死んだ乙女が、神の手により乙女ゲーム世界への転生を開始してから早数年。

 乙女ゲームの舞台となる学園がなくなっても、この世界は続いていく。

 この世界は乙女ゲームであって、乙女ゲームではない。遊びではない確固たる現実。地続きの未来が待ち構えている。そのことを胸に刻み、かつて乙女だった少女たちは生きていく。



 いずれ時がたち、少女であった女性たちは振り返るだろう。

 学園で過ごした日々、仲間と分かち合った喜びや悲しみ。

 乙女であった少女たちは、目にするすべてのものに全力だった。ただ必死に前を向いていた。そして恋をした。

 乙女の目に、煌めく王子として映った彼らを、時には友人たちと奪い合った。争いあった。声を上げ、何度も泣いた。

 涙と汗と、情熱に溢れた日々、それこそが青春であったと気付くであろう。


 そして呟くのだ。

 ――――あの青春時代はまさに、大乙女ゲーム時代であった、と。



 ○



 だが、彼女たちはまだ知らない。

 あの乙女ゲームには続編があったことを。

 時を置かず、再び戦乱の幕が上がるだろう。この世に、乙女のある限り。




(完)

ここまで読んでくださりありがとうございました。

王道の展開が好きです。


次は甘々溺愛系を書きたいです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 世はまさに、大乙女ゲーム時代! ……ネーミングが…………! [一言] 王道という皮を被ったゲテモノ(褒め言葉)でした。 佐藤君と悠里ちゃんには幸せになってほしい。
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