表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/29

九話 <視点・ルゥカ>

久しぶりにルゥカの視点です。

内容は重複していますが。

 首の、ちょうどうなじの辺りがムズムズするなと思っていたら突然エクル

「姉さん、ちょっと森の中を見てくる。何かあるか分からないから姉さんはここで待ってて」

 と言い出した。

 言われた途端うなじのムズムズは森のせいかと確信した。理屈ではなく直感だ。

 最近のエクルは焦っているのか気ばかりが急いているのかルゥカが思ってもいないことを言い出す。いつもならルゥカの方が先に言い出しそうなことを、だ。

 とめても無駄だと知りつつも制止の言葉をかけるのはちゃんと目的を見失っていないか確認するためだ。

「寄り道してたらあの子に追いつけなくなるよ」

「でも・・・・・・そんなに時間はかけないから」

 それを承知で言っているのなら・・・・・・ま、いいか。森とムズムズの関係はルゥカも気になっていたわけだし、是が非でも止めたいわけでもないし。

「・・・・・・分かった。私も行く」

「危険だよ。姉さんはここで待ってて」

「危険なのは百も承知。それにそのセリフさっき私がエクルに言ったのと同じ。一人で行くより二人で行ったほうがいいこともあるよ」

「でも・・・・・・」

 渋るエクルを追い越して手先に森へと足を踏み入れる。

「意外と普通で拍子抜けだね」

 曰くつきの所とはとても思えない。

「うん・・・・・・」

 ルゥカの感想に上の空で返事をしながら何かに引かれるようにエクルは一つの方向へ進む。

 しばらく行くと、拓けた場所に出た。前を遮る枝やそれに茂った葉をどけようとして動きを止めた。

「エクル!」

 慌ててエクルの腕を引っ張り身を隠す。

 この向こうに人影が見えたのだ。

「なに?」

 尋ねるエクルに人差し指を立てて動作だけで静かにするよう訴える。

「声が聞こえる。誰かいるよ」

 音を立てないようにそっと声のする方へ近づく。気づかれないようにそっと様子を窺う。

 他に人影が見られないところをみるとどうやら一人らしい。小柄な人影は、何かを探すように行ったり来たりしているのが見えた。時折立ち止まっては屈んで地面を触っている。

「この辺りなんだよね?・・・・・・そんな~・・・・・・・・・・・・でも・・・・・・ここだって、ねぇ?」

 断片的だが何か喋っているのが聞こえる。

 背中を向けていた人物が横を向いて顔が見えた。

「あ、あの子!」

 あまりにも驚きすぎて隠れていたのを忘れ大きな声を出してしまった。

 そこからはもーずっーーと驚きの連続だった。

 突然に狼みたいなものに襲われるし、応戦しようとしたらこっちの攻撃は効かなくてなんか・・・・・・幻覚?だとか言われるし。

 やっと倒したと思ったら今度はいきなり目の前に小屋が現れる。

 恐る恐る入ってみると追っていた少女が何やら小屋内を物色して空き巣紛いの行為を始める。正直怪しすぎる。危険な人種だと思ってしまった。エクルならきっと同意してくれるはずだ。うん。

 それから、少女もといティティに今夜はどこに泊まるのかと訊かれて疑問に思い外を見てみれば、とうに日は落ちて気がつけば小屋の中は暗くなっている。魔法の影響らしいがエクルが魔法を使ってもこんなことにはなったことがない。

 なぜかティティは子どもでも知っている事を知らない。

 正教会の話をしたら今さら魔法を使うことについて危機感を持ってくれたようだった。かわりにルゥカ達に対して懐疑心を植え付けてしまったが・・・・・・。それはエクルが自分も魔法使いであることをばらすことで解決したと思う。

 魔法の使い方をどうしても知りたい。自分を守るためにエクルが魔法を使うたびルゥカは辛くなる。

 弟を守るために強くなったつもりなのにその弟に守られている。そのたびに弟は痛い思いをする。

 守られてばかりは苦しい。私は姉なのだ。両親を早くに亡くして弟を守れるのはもう自分だけと幼心に悟った。これからは私がこの子を守らなければと。

 けれどティティは曖昧に言葉を濁して困った顔をするばかりだ。そんな時だった。不意にどこからか声がした。

『当然だわ』

『当然だわ』

 小さな女の子の声だった。

 どきりとしてキョロキョロと辺りを見回すが声の主はどこにも見つからない。それ以前にここにはルゥカとエクル、それにティティの三人しかいないはずじゃ!?

 驚くルゥカとエクルにかまわず声は続ける。

『魔術にだって規則があるわ』

『手順があるわ』

『大きな力を使うんですもの』

『それを無視したら』

『それだけの反発が』

『あって当然だわ』

「ダメだよ。喋っちゃ」

 慌てて注意するティティに続き女の子を叱る声が加わり、さらに後からそれを弁護する声や諦める声、なぜがティティを慰める声が聞こえて小屋の中は一時騒然とする。

「どうなってるの!?」

 ティティが言うには、彼女達は数多ある時空(せかい)の別の時空から来たのであり、彼等は魔宝石(まほうせき)と呼ばれる特殊な宝石の中の特異な存在意であるらしい。

 「順に紹介する」と言うティティが自分の隣の何もない空間に顔を向け順に名前を挙げていく。隣でエクルが息を呑むのが分かった。

 けれどルゥカには何が起こっているのか分からない。ティティの隣の何もない空間は相変わらず何もない空間だし、エクルはなぜか目を見開いているし。

 ティティが髪を払い見せてくれた魔宝石の一つはわずかに紅みをおびた乳白色をした雫型のピアスだった。石英(クオーツ)という宝石らしい。それは一番最初、ルゥカ達がティティと出会ったときにルゥカが記憶していた物だった。

 指にはめているそれもそうかと訊ねると、肯定の返事が返ってきてこれは月長石(ムーンストーン)なのだと教えてくれた。乳白色にこちらは淡い黄色のきれいな宝石だった。

 魔法について詳しい専門家と言ってティティが紹介してくれたダ・リーリと呼ばれる魔宝石は老齢のお爺さんといった雰囲気で、リーズメルとイヴメルは最初の幼い女の子だ。二人分の名前を呼ぶところから彼女等は二人のはずなのだが、話す声は一人分しか聞こえない。時々同じ言葉を繰り返したり笑う声がハモったりするからなんとなく分かるけど。

 ソフィアは若い女性の声でとても丁寧で上品な話し方をする。彼女がいるおかげでティティは魔法を使っても負担を受けなくてもすむらしい。

 ティティにはティティの魔法の使い方があり、それはエクルにも当てはまる。エクルにはエクルの魔法の使い方があるのだがそれが分からない。

 この部屋はもうティティが空き巣紛いのことをして調べ尽くしちゃったからもう手がかりはないと思っていたらエクルが「隣に部屋がある」と言い出した。

 でも、そんなものどこにも見当たらない。ティティも同じみたいでキョロキョロと視線を巡らせる。

 そしたらダ・リーリとリーズメル、イヴメルがもう一室隣に部屋があると教えてくれた。

「えぇぇーーーー!?」

 今まで静かだったティティの驚愕の声が響き、エクルが「あ」と声を漏らした。


ルゥカにはダ・リーリの達の姿は見えていませんでした。



閲覧ありがとうございました。

次回も引き続きルゥカ視点でお送りします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ