第1話
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何の変哲もない帰り道だった。僕は帰ったら何しようかなと考えてた時だった、彼女から声をかけられたのは。
「ねぇ、ホロ?」
「どうしたの?」
「急でごめんね、他に好きな人が出来たんだ。その人ね、Cランク冒険者で強いし収入も多くてホロより頼りになるんだ」
「え、いきなりどうして」
「実は前から遊んだりしてたんだけど、最近告白されてね。天秤にかけたときホロより将来が見えるかなって」
「そうなんだ、その人と付き合うことでフィリアが幸せになれるなら僕も応援するけど。そんな急に別れ話なんてひどいよ。もしかして、もう既に体の関係も持ってたりするの?」
「……うん、実は誘われて、初めてラブホテルに、入ったよ。でも、もちろん私が幸せになれる方を選んだつもり。多分、ホロにとっても」
衝撃だった。僕に隠れて既に関係を持ってたんだ。やっぱり、女性は信用ならない。母や父、妹の言う通りだった。
「僕が誘った時はだいぶ渋ったのにその人とはすんなりしたんだね。まあ、いいよ。もう僕はフィリアと他人だからね」
「そんな事言わないでよ!これからもホロと仲良くしていきたいよ。あの時は初めてだったから、躊躇ってただけなの」
「なんで仲良くしたいの?体のいいキープ?それとも恋人ではなくなっただけで友達ではあるみたいなこと言うつもり?」
「…うん、まだ友達でいられるかなって思ってた。ホロが無理なら他人に戻るよ。でも、私の初恋の人だから、何かあったら頼って!ホロも私の大事な人だからね」
「じゃあ、何かあったら1度だけ頼らせてもらおうかな。その代わりフィリアも僕に1回だけ頼っていいよ。頼れるか分からないけどね。お互いに1回ずつ頼ったら他人になろうか」
「……うん、じゃあ、1回だけね。あ、もう家に着きそうだ。また明日ね、ホロ。ばいばい」
「うん、ばいばい」
フィリアが家に入っていったところで、僕は思考の海に沈みながら帰路に戻る。
「はぁ、そんなに頼りないかな僕。Cランク冒険者、か」
僕にとってフィリアは全てで、ずっと一緒に居たかった。だから、命の危険があるダンジョンには行きたくなかった。もちろん、興味はあった。でも、関係を壊しそうで、距離が出来そうで怖かった。
そんな思考を反芻させながら歩いていたら自宅を通り過ぎていた。
「頭の中ぐちゃぐちゃで家過ぎちゃってたかぁ。そういえば小さいながらも近くにダンジョンあったよな。今から行ってみよっと」
彼女という枷が外れ、ダンジョンに行かない理由を失った僕。
16歳で着の身着のままダンジョンに行くことにした。




