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【完結】聖女級の治癒力でも、魔族だとバレるのはよくないようです ~その聖女、魔族で魔王の嫁につき~  作者: 稲山 裕


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第二章  六十七



「す、すみません。はやくえっちしたいですよね……」

「あぁ、待てまて。真剣な話をしたがってる女が居るのに、耳を塞いだりしない。大事な女ならなおさらな」


「だ、大事な女……えヘヘ」

 ――意外なところで意外な言葉が聞けて、なんか得しちゃったぁ。


「で、何を聞きたいんだ」

「その……こっちの方が本題なんですけど……」


「そこまで言ったんだ。遠慮なく聞くといい」

「ありがとうございます。その……魔王さまが転生する前とか、転生してから村を焼かれた時のこととか……教えてください!」


「……なぜだ」

「うっ……」


 微妙な間があったから、やっぱり教えてくれないかもしれない。

 でも……今じゃないともう聞けないし、そしたら魔王さまがうなされる理由が、ずっと分からないままになってしまう。



「だ、だって! 魔王さまがうなされた時にお慰めしたいし! お辛い気持ちを少しでもお支えしたいし! だから、です!」

「…………チッ。俺も焼きが回ったか」


 誰に聞かれようと、話す気などなかったんだがな。と、そう言いながら、魔王さまは大きな手で顔を覆った。


 焼きが回ったと言ったのは、それでも私には話しても良いと、そう思ったかららしかった。


 ――でも。

 そうして教えてくださった話は……聞いているこちらが後悔するような、凄惨なものだった。



 前世は生まれた時代が悪く、土地も痩せていて、戦がそこかしらで起きて、田舎の小さな村は野盗になった敗残兵が荒らし、ひどい時には食料だけでなく、若い娘も攫われた。


 そんな過酷な環境でも、人だった頃の魔王さまは、他人のために何かを施せる人だった。

 でも、まだ子供だったのもあって付け込まれて苦しみ、挙句の果てには騙され、殺された。


 転生後の生活は、打って変わって天国のような生活だったらしいけれど、それも長くは続かず……人間のせいで踏みにじられ、家族も村の人も全員、殺された上に何もかもを焼かれた。


 うなされていたのは、その家族を殺された時の夢を見ている時らしい。


 優しい両親と、それに輪をかけて優しいお姉さんが居たけれど……。

 その家族を失ったことを……何も出来ない子供だったことが恨めしくて、時折、夢に見るのだという。



「その姉というのがな、実はお前に似ている。姉には泣き黒子があったが、お前にはない。そのくらいしか違わないほどに似ている」

「えっ、じゃあ、お姉様と私を、重ねていらっしゃったり……しますか……」


 もしそうなら、何か、フクザツ――。


「いや、そうは言ったものの三百年も前の話だ。出会った最初にそう思っただけで、実際はどうかは分からん。記憶を頼りに肖像画を描かせたこともあったが、理想のようなものも混じっているだろうしな」


 ――えっ、じゃあ……。

 それに似ているってことは、私が魔王さまの、理想に近いということなのでは……?


「あ、あの。私ってその、理想のお姉様に似て、か、かわいい……ですか?」

「あ? 言っておくが、性格は全く似ていないぞ。それに姉は聡明だったが、お前は少し足りない。全くの別人だよ」


「ひ……ひど、ひどくないですぅ?」


「ハハハハ! だが、俺はお前のようなからかい甲斐のある女が好きらしい。いつの間にか、俺の側に居なくては落ち着かんほどにな」

「わふ……ほ、ほんとですか? ま、魔王さまったら……もぅ……」


 ――好きとか、初めて言ってもらえたのでは……?


 どうしよう。魔王さまの辛いお話を聞いて、慰めて差し上げたいのに……ひとりで喜んじゃってる。



「だから俺は……お前を失うのが恐ろしい。恐れるあまり、夢の中で姉や家族を失った時のことを思い出してしまうのだろう」


 ――もしかして、最初に私を鍛え上げたのは、少しでもそのリスクを下げるため?


 私なんてなんでもないというそぶりで、初めからものすごく気にかけてくれてて、だから竜王さんのことも従魔にさせたんだとか?


 でも、そんなことより……心配をかけているからこそ、そういう夢を見させているに違いない。



「……もしかして私、王国に行かない方が安心できますか?」


 今ならもう、治癒魔法も研究できたし、リズに会うために行った理由も、解消したようなものだし、王国に行く必要はなくなった。


「阿呆。黒竜王グィルテを従魔にさせたんだぞ、そんな心配はしていない。だがしかし、俺にもなかなかに軟弱な部分が残ってるじゃないかと思ってな。それが悔しかった。だからこんな事、お前には口が裂けても言うまいと思っていたが」


 やっぱり、最初に竜王さんを瀕死にしたのも、計算だったんだ……。


「どうして教えてくださったんですか?」

「お前が泣きそうな顔で聞くからだろうが。心配をかけ過ぎて、心を病まれても嫌だからな」


「えっ? 私、そんな顔して聞いてましたか? でも魔王さま……。ありがとうございます。こんなに大切なお話を、お聞かせくださって」

「ああ。その分しっかり鳴かせてやろうと思う」


 ――あれ? いきなりその流れにするの?

 ってもう、押し倒されてるし?


「えっ、あ、ちょっと、待っ――。今これから、どれだけ私が魔王さまを愛しているか、言うところで」


「それはこのまま聞こうじゃないか」

「イヤっ、そうじゃなくてっ、あぁもぅ――」


 こうなっちゃうと、止まらないんだから……。




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 何卒よろしくお願い致します。  作者: 稲山 裕



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