表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
消えた弟  作者: しおやき
第三章 転

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

50/73

8月8日 夕方の中




 「・・・・下で何か話してるの聞こえる?」

 「・・・分からないわ」


 少しその場にいた俺とお母さん。

 結局呼び鈴はその一回だけしかならなくて、そのかわりにドアを開ける音がした。ただ、開けっ放しでというよりかはすぐに閉まった音もしてそれから何も聞こえてこない。

 

 (・・・もしかして呼び鈴鳴らしてそのまま誰か入って来たとかじゃないよな?)

  

 気味の悪い考えが頭を過る。

 

 「ちょっと待って」

 「え?・・・え、な、なにしてるの」


 階段を1段だけ降りてリビングをギリギリ覗けるように顔を下げた。案外見えるかと思ったけど、予想の3分の1くらいしか見えなくて、結局無意味に終わる。

 

 「だめだ、見えんわ。下に行って見てくる。お母さんはここに居て」

 「なんで?」

 「父さんじゃなくて、変な奴が勝手に入って来てたら危ないだろ」

 「・・・そ、それならこうすけだって危ないじゃない!」

 「俺は男だし大丈夫。それよりこれ、もとに戻しといて。ごめんよ」

 

 そう言って彼女に渡した袋。

 さっき渡しそびれたのと、お父さんが上に上がってくる気配はなさそうだから、お母さんに頼んだ。


 「父さんの部屋、なんかめっちゃ汚いけど。なんでだろうね」

 「汚い?」

 「紙が床に散乱してた」

 「・・・な、何かあったのかしら」

 「何かって何?」

 「さぁ・・・分からないけど」


 (・・・適当か)


  「まぁ、いいや。とりあえず行くから降りてくるなよ」

 

 なんで入ったか問い詰められることもなく、それだけ言って彼女の返事を聞かずにそのまま階段を降りた俺は、リビングに誰もいないことを確認してから玄関の方へと足を進めた。


 (誰もいないし、父さんもう外に出たあと?)



 よくよく考えるとけいすけが居なくなる前からおかしなことが起こっている。とは言っても弟が俺に話してくれずこの一連の流れを知らなかったら、全く気が付かなかったし、弟が居なくなったことなんてマジに神隠しかと思うくらいだった。


 (・・・疑うべきは誰か)


 さっき見たお父さんの部屋もそうだけど、お母さんの行動とか、あのおじさん、それに佐藤のおっちゃんも、みんな俺からしたら怪しい人達にしか見えない。

  

 「あ〜でも、おっちゃん・・・はちょっと違うか」


 けいすけに興味があるわけでもなさそうだけど、あのお父さんへの質問で少し苛ついた俺は彼もまた何かを隠してると思わざるを得なかった。


 (・・・・けいすけは、この中の誰かに)


 でもそうだとしたら、おっちゃんの接点が全く見当たらない。あのおじさんも、おっちゃんと話した時全く知らなさそうだった。唯一あるとすれば、お父さんが言っていたことぐらい。

 

 2人しか知らないことを聞いてきたって。

ということは、おっちゃんも昔から何か繋がりがあるのか? 

 

 「・・・・はぁ?・・・なんだこの4角関係」


 

 玄関に出る前に考えていたら台所の辺りで少し立ち往生してしまった。ハマりそうで中々ハマらないピース達にもやもやが拭えない。


「なんか・・・決定的な何かがあればいいんだけどな〜」


 知ろうとしてフタを開けると、余計に混乱してくる要素しか出てこない気がしてきた。 


  

  (ん?・・・誰か居る?)


 足を進めて玄関のとこまで出てきた俺はお父さんの靴がないことを確認して、それからドアのほうに目を向けた。

 話し声というか、誰かがそこにいるような気配がする。 覗こうにもこんな至近距離にいられると覗けないから一歩踏み出せない。


  (気味悪いな)


 そんなことを思いながら、音を立てないようにそおっと素足で靴も履かずに靴置き場に足を置こうとした時、ガタっと目の前の扉から音がした。


  (えっ) 

 

 「あ・・・・父さん」

 「こうすけ」


 ドアを開いて家に入って来たのは、何故か片手に丸いものを持った父親だった。俺がそこに居たからびっくりしたのか、少し目を大きく開いて見つめてきたその目。


 「どうかしたか?部屋で勉強してるんじゃなかったのか」

 「・・・あ、いや、呼び鈴なったから、誰か来たのかなって」


 絶妙なタイミングに心臓がバクバクで、出るなと言われた呼び鈴に反応して出ようとしたことを、何か言われるかもしれないという事実が頭から吹っ飛んで思わず本音を言ってしまった。



 「あぁ、佐藤さんが来た」

 「・・・・え」

 

(おっちゃん?)



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=987857443&size=200
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ