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夕凪魚のスープ・幻界の心を添えて (4/4)

 テールはうつむき気味に口を開いた。


「ごめんね、ジェット。ぼく知ってたんだ。どうやったらきみが元の世界に戻れるのか。かえらずの山に居る伝説の魔女ミス・ドーリンが、別の世界へ人を飛ばす魔法も使えるらしいって、ブンさんが調べてくれたんだよ。でも、ぼくがきみに教えないように頼んだ」


 なぜテールはそんなことをしたのか。あえて語らずともわかりきっている。ジェットと別れたくない、このままずっと幻界に居てくれればいい、心からそう望んでいたためだ。ジェットの心が元の世界にあり常に帰りたいと願っている、かつ幻界目線でもジェットは帰るべきだ、それもわかっていて、だからこそ帰り道を隠したのだ。


 ジェットは事実を知っても怒る気にはならなかった。耳をぺったんこにして萎れているテールを哀れんだせいではない。まして、夕凪魚の力で心の波が抑えられえいたわけでも。


 テールのしたことは単なるわがままだ。でも、ジェットを大親友と思うがゆえの悪意のないわがままだ。彼も内心では悩み、隠し事を後ろめたく思っていただろう。だからこそ夕凪魚のスープを食べさせて、幻界と新界のどちらをジェットがとるかに未来を任せた。


「なあテール。俺は怒ってないよ。むしろ……ありがとうな。これがなかったら、俺自身もふっきれなかったと思う。自分の気持ちをごまかして、幻界の人が悲しむからって言い訳して、自分で帰る方法を探すわけでもなくずるずるっと過ごしていた。きっちり自分の進む道を決められたのは、テールが機会をくれたからだ。だから、そんな顔すんなよ」


 ほとんど泣きそうになっているテールを肘で小突いて、笑ってみせた。


「……許してくれる?」

「許すもなにも、最初から怒ってないって。もう気にすんな」

「うん。ありがとう」


 テールも弱ったように笑った。


 それから冷めたスープの鍋をもう一度火にかけて、二人で食事を再開した。悩みが晴れたせいか食欲が増す。バケツにとってあった魚を焼いたり、余った餌用のヨモギ団子をかじってみたり。


「カンの町に帰ったら、お別れパーティの準備もしないとね」

「いいよ、そんなの」

「だめ。急に居なくなったらみんなびっくりするから。ジェットはもうカンの町の一部でもあるんだからさ」

「まあ、そうか。じゃあよろしく頼むよ。楽しみだな、どんな風になるのか」


 そんな風に談笑をしながら、青空のした食事会を楽しむ。別れが決まった、それならば、残りの時間は思う存分楽しんで過ごさないと。


 夕凪魚の力はもう感じられない。それでも、風に撫でられた辺りの草木が穏やかな笑い声を立てた気がした。



 それから。お世話になったカンの町の人々に挨拶に回ったり、借りていたものを返したり、送別会を開いてもらったり、二日酔いでダウンしたりした結果、実際の旅立ちは夕凪魚の一件から五日も後になったのだった。


 ジェットはカンの町を発ち、青嵐の丘にやってきた。服装は来た時に着ていたものそのままで、一つ違う点は大きな鞄を背負っていることだ。カンの町の人々が、新界への土産にあれをもっていけ、これをもっていけと色々くれたのだ。パンパンに膨らんだ布の鞄はかなり重い。


 見送りに付いてきたのはテール一人だけ。というのも、ジェット自身がここまでの付き添いは要らないと頑固に言ったためである。それで輪をかけて頑固なテール以外は、町の門での見送りで気を済ませてくれた。


 青嵐の丘では既に風の運び屋が待機していた。湖に行った時と同じ二羽だが、彼らに今日この時間の旅立ちを伝えておいた記憶はない。どうして知っているのか、訊ねると、あっけらかんと答えてくれた。


「風が教えてくれたのさ。あんちゃんが今ここに来るはずだって」

「かえらずの山までとなると結構な長旅だ。しかと気構えしていかないと、互いにつらいからな」


 怪鳥が北北西の方角を見るよう促した。遠景にかすんで尖った角のような山影が浮かんでいる。暗く寒々とした雰囲気だ。


「腹くくったらブランコに乗ってくれ。こっちはいつでも出発できる」


 怪鳥はそう言い、翼を畳んで待っている。


 覚悟ならとうにできている。あとは友に最後の別れを告げるだけ。沸いてくる寂寥感を噛みしめながら、ジェットはテールの方へ振り向いた。


 テールも寂しさを感じていると醸し出していた。それでも微笑んでいた。そしてジェットより先に口を開いた。


「お別れの前に、もう一つだけきみに渡したいものがあるんだ」

「渡したいもの? こんなに色々もらったのに、まだあるのか」

「うん。これを」


 そう言ってテールは着ていたチョッキのポケットから、贈り物を握り出した。


 ジェットに差し出されるかたちで開かれた手のひらに乗っていたのは、八面体の水晶をトップにしたペンダントだった。水晶の中にはごく小さな虹色の薔薇が一輪咲いている。これはカンの町の博物館にある、町の宝物の薔薇だ。もとはフェオルという精霊の姫から贈られたもので、町人たちにとても大切にされている。


 ただ、博物館にあるものはもっと大輪だ。とはいえ、これもミニチュアやフェイクではなく本物の花であると一目瞭然である。幻界特有の不思議な方法で生花を縮小し水晶の中に封じ込めたもの、ジェットにもそう見当がついた。


「これはね、カンの町で大きな功績を残した人がもらえる、いわば名誉町民の証なんだ。ぼくの爺ちゃんがもらって、ぼくに受け継がれたものなんだけど、ぼくはきみにこれを渡したい」

「そんな大事なもの、本当にいいのか」

「きみになら惜しくないよ。ぼくの親友、ジェット。きみが夢幻なんかじゃなく、本当にこの町に居てくれた証になるんだから」

「わかった。じゃあ、もらうよ。ありがとう、大切にする」


 ジェットはペンダントを受け取り、その場で首から掛けた。太陽の光を浴びて輝く水晶、そして七色の薔薇はたまらなく美しい。が、これからは風吹き荒れる空の旅。なにかのはずみでちぎれてしまう恐れがあるから、大事な水晶の部分はシャツの中にしまって守り隠す。地肌に触れた水晶は不思議と温かみがあった。


「本当にありがとう、テールには色々世話になったし、楽しかった」

「ぼくも楽しかった。ねえジェット、新界に戻っても、ぼくの親友のままでいてくれるよね」

「あたりまえだ! テールも、もしも、もしもまたいつか俺が幻界に来ることができたとしたら、その時は、また一緒に過ごしてくれるか」

「もちろんだよ。いつだって歓迎する。約束するよ」

「ありがとう。じゃあ……お別れだ。さよなら、テール」

「さようならジェット。いつかまた会えると願って」


 最後に握手とハグを交わし、ジェットはテールに背中を向けた。


 風の運び屋にぶら下がっているブランコに腰かける。すると客を迎えた運び屋は、すぐさま翼を広げ力強く羽ばたいた。途端、凄まじい風が襲って来て、ブランコのロープにしがみついていないと振り落とされそうになった。


 みるみる地面が遠ざかる。ジェットは上体をひねってテールの方を顧みた。どんどん小さくなっていく友は、なにかを叫んでいるようだ。しかし風の音にかき消されてまるで聞こえない。手を振っているから振りかえしたいが、両手でしっかり掴まっていないとならない状況だからそれもできない。


 ――さよならテール、さよなら幻界。


 心の中で投げかけなげかけながら、緑の草地に埋もれて見えなくなるまで大事な友を見ていた。不意に目から水がこぼれたが、あっという間に風の中に散ったため、誰にも知られることはなかった。



 長い飛行の末、ジェットをかえらずの山の中腹に降ろすと、風の運び屋は挨拶もそこそこに去っていった。曰く、ここは幻界にあって幻界でない土地、まっとうな幻界人や妖精が無用に留まるのは危険だと。遠ざかっていった怪鳥の影からは、長旅の疲れがありありと滲んでいた。


 そして、灰色の岩がごろごろしている山道に立ったジェットの目の前には、一軒の家が建っている。煙突がついた紫色の屋根にくすんだ黄色の外壁、明らかに周りの空気から浮いている。これが魔女の住処らしい。


 玄関先には黒猫が居る。人型の猫ではなく、四足で大きさも普通の猫だ。ただ、二つの金色の目に加えて、額に青い三つめの目がついている。


 まさかこの猫が魔女ということもないだろうが。じっと見上げてくる猫に一応の注意を払いながら、ジェットは玄関ドアを叩いた。


「さっさと入っておいで新界人。おまえの用件はわかっている、準備は終わって待ちくたびれたわ」


 しわがれた声は家の中からでなく、猫から発せられた。ぎょっとして猫を見ていてると、猫は二つの目を細めて「にゃあ」とかわいく鳴いた。ただ青い目だけがしかめられて、ジェットの方を鋭く射抜いてくる。早くしろ、と急かされているのが視線から伝わってきた。


 ジェットは慌てて家の中に入った。なぜ俺のことを知っているんだ、とはもう思わない。どうせまた風か、他の精霊か、あるいは魔女自身の千里眼か、そんなところだ。


 扉の向こうはいかにも魔女の家だという雰囲気だった。部屋の中央では大鍋が火にかけられていて、怪しいどぶ色の液体がぼこぼこ煮えている。壁際に置かれた棚や机にも、何に使うのかわからない奇怪な道具や、正体不明の虫や草なんかが溢れている。天井からいくつもつるされた鳥かごはすべて空、それなのに、クゥルクゥルポポナポポナといった不思議なさえずりが響いている。


 魔女、ミス・ドーリンもきちんとこの部屋にいた。ミス・ドーリンはトカゲだった。背丈は人間の女性と同じくらいあり、ずんぐりした体型で大きな顔、いわゆる二頭身だ。体はつるっとした緑の鱗で覆われていて、魔女らしく、紺青のローブも着ている。


 幻界にも慣れたところだし、相手が魔女だともわかっていたから、もうそうそう驚かないつもりだった。が、やはり実物を目にすると、驚愕で何も言えなくなってしまう。ジェットはうろたえながら、とりあえずミス・ドーリンのところへ挨拶に行った。


「あ、あの。はじめまして、俺――」

「わかっている。おまえは新界から紛れ込んだイレギュラーだ。だから、ちゃんと返してあげるよ。わかったら、まずはここに座りな」


 そう言ってミス・ドーリンは椅子を引いた。


 ジェットは背負っている荷物を足元に置き、指示された通り椅子に座った。どうにも落ち着かない気分だ、そわそわとあたりを見てしまう。


 そんなジェットには目もくれず、ミス・ドーリンは大鍋のもとにいくと、中で煮えたぎっているどぶ色の液体をマグカップに一杯すくった。


 ――まさか。


「ほら、これをお飲み。ぐーっと、なるべく熱いうちにね」

「やっぱり! いや、これ、なに……臭っ!」

「なにって、魔法のスープみたいなもんだ。これを飲まなきゃおまえさんは新界に帰れない。だからさっさと飲みな。おまえさんにきちんと帰ってもらわないと、こっちも困るんだ」


 押し付けられたマグカップをジェットは渋々受け取った。もう一度目の前でまじまじとみて、いっそう顔をしかめる。透明感皆無で粘性もあるどぶ色の中に、正体不明の黒い粒々が混じっている。何より臭いがひどい、汗で蒸れたシャツを煮詰めたような吐き気のする臭さだ。これを飲め? 嫌だ。


「……どうしても飲めないと言ったら、どうするんですか」

「縛りつけて無理矢理流し込むだけさ。口からが嫌なら、尻からだね」


 言いながらにミス・ドーリンは、ごちゃっとものが置かれた机へと向かう。細長い指が拾おうとしているのは、太いチューブと木のじょうご、それとロープ。


 ジェットの全身から変な汗が吹き出した。


「い、いいい、いただきます!」 


 ジェットは目をつぶってマグカップに口をつけ、心を無にして一気に飲み干した。熱い、臭い、苦い、まずい。だが、拷問のような真似をされるよりましだ。


 最後に、嗚咽に近いげっぷを漏らすとともに、ジェットは背もたれにぐんにゃりと身体を預けた。


「ホホ、やればできるじゃないか。それで、体に変化は出てきたかね?」

「変化……?」

「体の中が焼かれたように熱くなってくるはずだ。それに、石のように重くなる。そうなったら言っとくれ」


 それからしばらく経つと、ミス・ドーリンが言う通りの変化がジェットの体に起こった。指一本動かすのも億劫なほど体が重く感じられる。それに熱さ。このまま発火するのでは、そんな不安すら抱くほど熱くなってきた。


 それをミス・ドーリンに告げると、彼女は付いてこいと言って、ジェットを部屋の隅まで歩かせた。


 そこには大きな水瓶が置かれていた。


「この中にお入り。ちょっと窮屈だが、なんとか納まるだろうよ」

「でも、水が入っている」

「死ぬほど熱いならちょうどいいじゃないだろう。ほれ、ざぶーんといきなさい」


 それもそうか、と思って、ジェットは素直に従った。ミス・ドーリンが用意してくれた踏み台を使い、足から水瓶の中に入る。股下まで漬かった水はほどよい冷たさで心地よい。そのまま水瓶の中でしゃがみ、首から上だけが水面に出ている状態になった。


 丸く切り取られた天井の景色に、ミス・ドーリンの顔が覗く。


「具合はどうだい」

「意外と気持ちいいよ。あれだけ熱かったのが無くなった」

「そりゃよかった。じゃあ……まあ、一応言っておこう。おまえさんはこれから新界に帰れるが、幻界の記憶は全部なくなる」

「えっ……?」

「そんな顔されても、もとが不正な来し方だから仕方ない。全部なかったことにしないと。代わりと言ってはなんだが、幻界で過ごした分の時間を可能な限りごまかしておいてやるから。それじゃ、達者でな。もう二度と来るんじゃないよ」


 一方的に言うと、ミス・ドーリンは水瓶に蓋をした。ジェットがどれだけ内側から叩いても、二度と開かれることはなかった。


 視界が真っ暗闇に染まった瞬間、水位が急に上がった。いや違う、なぜか水瓶の底がなくなってジェットの体が沈んだのだ。頭の先まで水につかり、当然息もできなくなる。もがきながらどうにか上へ向かって泳ぐも、ちっとも水面にたどりつかない。気づけば側面も壁がなくなっている。


 ジェットはパニックに陥っていた。どうしてこんなことになった、魔女に騙されたのか。記憶がなくなるなんて聞いていない、そんなの納得できるものか。それになにより、苦しい、このままでは溺れ死ぬ。――嫌だ、なにもかも。


 意識がどんどん不明瞭になり、あたりの暗闇と同化する。その中でジェットはすがるように胸のペンダントへ手を伸ばしていた。



 

「――見つかっただけでも奇跡だ。このまま目覚めなくても、しょうがない」

「待て! いま、瞼が動いたような」

「なんだって!? おい、ジェット! 聞こえるか、起きろ!」


 ジェットの意識を引っ張り上げたのは、そんな男たちの騒ぎ声だった。


 ゆっくりと目を開ける。と、太陽光が目に突き刺さり、思わず顔をしかめた。細めた目に映ったのは、船乗りの同僚たちの顔。それらに焦点が合うなり、脳を揺らす歓声があがる。


「生きてるぞぉ! こいつ、あの大渦から生還しやがった!」

「大渦……生還……あぁ、そうか」


 ジェットは思い出した。航海中に突如現れた大渦、自分は船から落ちてそれに飲まれたのだった、と。そして気づいたら、こうして船の甲板で寝ていた。


 間なにがあったのか、周りの男たちが聞くまでもなく説明してくれた。ジェットが落水してすぐ後に大渦は消えた。静かになった海に目を凝らし、しばらく待ってみても、ジェットが浮いてくる様子はない。当然だ、あんな大渦に飲まれて無事で居るはずがない。船乗りたちは無念さを噛みしめながら、航海に戻った。それが昨日のこと。


 だが今日になって、波間にジェットの姿が発見された。なにかのはずみでひかかったのか、それとも海中で死に物狂いにしがみついたのか、巨大な亀の背につかまって泳いでいる格好だった。せめて手厚く葬ってやりたい、そう遺体を引き揚げたつもりだったのだが、なんと息があるではないか。


「――本当、嘘みたいだよ。おまえは運がいいやつだな、ジェット」


 まったくだ、とジェットは弱々しく笑った。


 まだ頭が少しぼーっとする。落ちてから亀につかまるまでになにかが起こったような気がするが、思い出せない。いや、単に夢を見ていただろう。思い出そうと手を出すと、泡がはじけ飛んだように消えていくこの感覚、起き抜けに今まで見ていた夢を思い出そうとした時とそっくりだ。


 とにかく助かった、その事実だけで十分だ。奇跡の生還を果たした身には、日常のように聞いている海鳥の声すら、いつもと違う特別に素敵なものに聞こえた。


 ふと、仰向けに寝ている胸に妙な重量感があることに気づいた。


「……なんだこれ」


 それは中に虹色の薔薇が入った八面体の水晶。ペンダントになっていて、革紐はきちんと自分の首に周っている。


 はて、こんなものを身に付けていただろうか。周りの船乗りに訊ねても、知らない、首から下げてたならおまえのだろうと言われるばかり。


 ジェットはううんと唸った。まるで記憶がないが、渦に揉まれたせいで飛んでしまったということか。


 どうにもすっきりしないから、一生懸命思い出す。肌身に付けているということは、水難避けのお守りだったか。それにしては装飾的すぎるから、港町で会った女の子がプレゼントしてくれたものかも。――いや違う、女の子じゃない。


 一瞬、ジェットの中に誰かの影が浮かんだ。名前も顔もわからない、いつどこで会ったのかも記憶にない。ただ、それがどういう位置づけの人だったのかはわかった。


 このペンダントは大事な親友からの、大事な贈り物だ。


 それが思い出せたとたん、ジェットの心のもやが晴れ、非常にすっきりとした気分になる。


 心に引きずられて体も軽くなった。周りの制止も聞かずに立ち上がり、ふらふらとデッキの縁へと向かった。


 手すりに腕を置いて景色を眺める。澄み渡る空、水平線の彼方より沸き上がる白い雲、青く穏やかにゆらめく海。目に入る風景はもちろんのこと、耳をなでる風や波の音も、世界のすべてが美しいと思えた。単に綺麗なだけではなく、非常に心身にも馴染むから気持ちよい。


 そして不思議とこんな言葉が口をついた。


「ただいま」


<夕凪魚のスープ、幻界の心を添えて 了>

Notes

【ミス・ドーリン】

魔法を追及するリザードマン。種族としては魔物あるいは魔人扱いであり、実は幻界人ではない。

精霊王と取引をし、事故的に幻界にやってきた人や物を元の世界に帰す仕事をする代わりに、幻界で自由に魔法の研究をする許可を得た。

かえらずの山に居座っているのは、精霊に干渉されにくく気楽に過ごせるというだけの理由であり、精霊王から追放されたわけではない。


【亀の背につかまって~】

入口がカメだったのだから、出口もカメであるべきだろう。

そんなウイッチズ・ジョークの賜物。

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