流れる。
------価値観が違う。
桜と別れて、新しい彼女が出来た。
イヤ、厳密に言うと被ってた。
新しい彼女のことは好きだった。でも、桜と別れようとも思っていなかった。
セックスレスではあったけれど、桜といるのは心地良かったから。
そんな甘い考えがまかり通るはずもなく、事実を知った桜に別れを言い渡された。
俺には若くて可愛い彼女がいる。
だから、桜と別れるのは淋しかったけど、そこまで悲しいものでもなかった。
でも、新しい彼女は、やっぱり桜とは違う。
ご飯を食べに行けば、『ごちそうさまです』と言われ、当然の様に俺が全額払う。
桜だったら、会計が終わった後に当たり前の様に半額を渡してくれていた。
デートで行く場所に困っていると『どこでもいいよ』としか言わない彼女。
桜はいつもネットで調べてくれて、3コくらいピックアップしては『悟はどこがいい?』と聞いてくれていた。
彼女は料理が得意ではないのか、バリエーションが少ないけれど、桜は冷蔵庫の余りものでもさっさっと作れる様な人で。
それに彼女は男友達が多い。その事を口に出せば『年上なのに心が狭い』と言われる始末。
桜は、男友達と遊び回ったりしない。
桜は……。桜だったら……。