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16 綺麗どころ

 16 綺麗どころ




 無理して見送ろうとするアシを押し留めて、直江津から柏崎に向けて馬車部隊は出発した。

 多くの領民たちが見送りに来ていた。

 特に少年少女が多く、伯爵のせいなのか、ビビンバのお陰なのか、良くわからなかった。


(人妻のお見送りも多いわよ。故意に無視してない?)


 確かに母子連れが多い。

 男たちの開拓の目途がつくまで、直江津市場で手伝いをして待つ母子が多いのだという。

 直江津の学舎に通わせたいという親も多いらしい。


 今後、黒部の移民希望が多くなりそうだとか?

 母子で移民してくると、男女比が凄いことになりそうで怖いんですが。

 そう言えば、黒部の村長には会ってなかったけな。

 憶えてないだけなんだけど……


 俺が乗る馬車は、リーメが増えたので5人になった。

(正確には御者台に更に2人いる)

 リーメの同僚4人は、頼んだ鍛冶職人5人と2台の馬車に分乗している。

 御者は交代制であるから、男女が混ざった方が都合がいい。

 大工も鍛冶も若者が多いから、適当にやってもらおう。

 警護官はアヤメとカキツバタが御者になり、車内はシャガとイチハツに替わっている。


 シャガとイチハツは鹿人の人妻だったが、今は若返って見えるから、あれなのだろう。

 もう説明が面倒だから、ナフタに任せるよ。


 名前:シャガ

 種族:鹿族亜人

 タイプ:元人妻

 性別:♀

 年齢:15(外見)

 好感度:96(レッドゾーン)


 名前:イチハツ

 種族:鹿族亜人

 タイプ:元人妻

 性別:♀

 年齢:15(外見)

 好感度:97(レッドゾーン)


 まあ、世界で2番目に強い人たちである。

 でも、微妙に好感度上がってない?

 瞳が潤んで見えるけどさあ。


(ビビンバのお陰よ)


 そうなのか。

 ちなみに、警護官はもう3人いる。

 今回はお留守番というか、本業はくノ一部隊であるので、黒部で部隊の指揮を執っている。

 ユキナとモルの、両方の訓練を受けているから、今日も黒部で部隊長として励んでいるだろう。

 上役が4人も抜けたから、息抜きしているかもしれないけど。


 名前:ヒオウギ

 種族:狸族亜人

 タイプ:処女

 性別:♀

 年齢:13(外見)

 好感度:90(レッドゾーン)


 名前:ノハナ

 種族:狐族亜人

 タイプ:処女

 性別:♀

 年齢:14(外見)

 好感度:89(レッドゾーン)


 名前:キショウブ

 種族:猿族亜人

 タイプ:元処女

 性別:♀

 年齢:13(外見)

 好感度:88(レッドゾーン)


 こうなると、もう、ただのキャラ設定表みたいじゃないか?

 元処女って何? 気になるでしょ。


(今回の件で若返る前から処女だったのよ)


 今回の件とは、きっと設定変更である。

 処女を設定したり、羞恥心を設けたり、若返りしたりである。


(殿下と関係性の高い人物は、みんな若返って処女よ)


 関係性? 関係なんかないだろ? 特に人妻とか?


(はいはい、追々わかるでしょ)


 キショウブは、髪の一房が金髪のようになっていて、本人はそれを気にしているのだが、実はそれが凄くいいのだ。

 警護官に選ばれるくらいだから体格はいいのだが、クリッとした瞳が多い猿人だから可愛い。

 脚が少し太めだが、ムッチリとした腰回りなのでバランスが良くて、それは男にとってはとてもいいものである。

 一度、女中のウメとどちらのお尻が大きいか比べてみたいなあ。


(その体勢で、良く他の女のことを考えられるわね。感心するわ、クズ)


 何となくだが、ナフタの口調は更に神様っぽくなってきている。

 リアルに繋がっていると言われても、信じそうな感じだった。

 いつかは、そんなことになるかもしれないな。


 左側に座るクーリャは昨日と同じで俺にもたれかかったまま目を閉じている。

 実は、馬車の揺れに弱いので、ずっと寝て過ごしているのだった。

 右側のリーメは外の景色を夢中になって見て過ごしているが、時々俺の様子を窺っているような気がする。


 俺は勿論、目の前に座るシャガの下半身を右目で見ながら、イチハツの下半身を左目で見て、時々動く御者台のアヤメとカキツバタのお尻を目で追いかけながら、左腕にもたれ掛かるクーリャのおっぱいの感触を感じ、右手でリーメの太股を触るチャンスを窺っている。

 とても忙しいし緊張するが、やめたくてもやめられない。


 ちょっと馬車が揺れたついでに、リーメの太股に触ってみる。

 おおっ、好反応である。

 俺の手の上に手のひらを乗せてくるぞ。

 しかも、シャガたちにバレないように、外の景色を眺めたままの姿勢である。

 か、顔は赤く染まっているぞ。


 いいなあ、こういうの。

 ある意味、いきなりベッドで過ごすより、こうしてイチャイチャしたり、ベタベタしたりして過ごす時間があった方が、何となく嬉しい。

 段々と指先が太股と太股の間に入っていくような気がして、もう最高の気分である。


 しかし、楽しい時間はあっという間に過ぎてしまう。

 これが所謂、光陰矢の如しか?


(違います)


 一寸の光陰軽んずべからずと言うから、もう一寸指先を奥にずらそうとしていたら、馬車が止まって柿崎村に到着していた。

 お互いに慌てて手を放し、少し恥ずかしくて相手の顔が見れなかった。


 柿崎村では暫く休憩するが、主に馬たちのためである。

 柿崎ー米山ー笠島ー鯨波ー柏崎との行程になるが、殆どが海と山の間の街道で、幾つかの山を越えていく難所である。

 何とか馬車は通れるのだが、曲がりくねった山道で崖のようなところも多い。

 帰りは船があるからいいのだけど、これから先の道は覚悟が必要である。


 最悪、米山村か笠島村での一泊を覚悟しておこう。


 まだ、整備された街道にはほど遠く、天気が悪いと土砂崩れや崖崩れもあり得るのだ。


 柿崎村長は二代目で若いが、渋い若者に変貌していた。

 貫禄もついてきている。

 柿崎村は吉川代官から塩田を任されているし、直江津の手助けのためにスルメ漁も行っている。

 切り干し大根という新商品も開発し、今も村中に切り干しとスルメが干されている。


 漁村でもあり、農村でもある感じだった。


 それに、味噌醤油の原材料である大豆や麦の生産も、柿崎川流域十ヶ村の肝煎として柿崎が仕切っているし、移民の受け入れや割り振りも代表して行っている。


 味噌や醤油に大量の塩が必要だから、塩田を持っている柿崎村は都合がいいので、吉川領の味噌職人たちも醤油職人たちも柿崎村に醸造所を作っていた。

 割を食って、米作りが二の次になってしまっているが、吉川領では直江津に次ぐ3番目に豊かな村である。


「は、伯爵様、はっはー」


 とは言え、あまり意識改革はなされていない。

 柿崎他十数人が平伏して出迎えている。

 村人も遠巻きに平伏しているのが見える。


「柿崎、恥ずかしいから立って出迎えてくれよ。挨拶しづらいだろう」

「はあ、伯爵様はくしゃくさあがよーいーなさるなら」


 イケメンだから、訛っても格好いいな。


「それより、馬を休ませたい」

「はいー、皆、伯爵様はくしゃくさぁがお休みなさるら。ご無礼さねーようになー」

「はいー」


 柿崎のお声掛かりで、俗に言うところの『綺麗どころ』がずらりと何人も現れる。

 みんな、クズ好みの可愛らしい娘である。

 しかし、年齢が10歳から12歳ぐらいのところが、二重に誤解されている。

 しかも、着飾っているのだが、下半身がアレなせいで、ダメダメだった。


 折角、リーメといい雰囲気になったのに、これじゃあぶち壊しじゃないか?


 ああ、リーメが涙目で、クーリャが蔑みの目線であり、アヤメが吹雪のような目つきで睨んでいる。


 俺が悪いんじゃないのに、俺が悪いのだろうか?


 とは言え、ないがしろにもできないので、柿崎村で昼食を済ませることにした。

 ビビンバの噂のせいだろうか、ここでも何かを作ることになった。

 リーメたちは怒っていて、手伝ってはくれそうもない。

 綺麗どころたちは、非常に期待しているようだ。

 手伝わせよう。


 イカめしというのは、驚いたことに20世紀の発明品である。

 当時、米が少なかった北海道産であるらしい。

 最も、昭和初期までは何処の地方でも米が貴重だったから、郷土料理は贅沢品を除いて、大体は米を食い延ばす料理が多かった。

 どうやらイカ飯も、そうして生まれたらしいのである。

 但し、20世紀の発明と言っても、商品化されて売られた記録であり、地元では以前から食べられていた可能性もある。


 でかい鍋でお湯を沸かして、昆布で出汁を取り、『さしすせそ』で味付けする。

 さは、砂糖だっけ、酒だっけ?

 そは、ソイソースじゃなくって味噌だと言うから、更に味醂があればどうなる?

 醤油も、しじゃないのか?

 砂糖、酒、塩、醤油、味醂、味噌とするなら、『ささししみみ』だから、『さしみさしみ』で味付けすると教えた方がいいのではないだろうか?

 順番はよくわからないが、覚えやすいだろう。

 酢をすっ飛ばしてしまったが。


 取りあえず、綺麗どころにも同じように作らせる。

 指導するのに、いちいちお尻を触ったりするのは故意であるが、事故である。

 時々、身体を捩って恥ずかしがるのもいて、役得でもある。

 まあ、総合すると、単なるクズ男である。


 勿論、隠し味に『愛情』が重要だから、綺麗どころのひとりに『お兄ちゃん大好き』と言ってもらう。

 いや、俺に言われても嬉しい、いや、仕方がないので、もう一度、鍋に言ってもらったら、どうやら気に入ったようだ。


 その後、用意してもらった獲れたてのスルメイカの小ぶりなものをさばいてもらう。

 ゲソは軽く細切れにし、取り出したナカワタは塩辛の原料にするため、別にする。

 綺麗どころたちは、ちょっと怪しい包丁さばきだったが、スルメの調理は慣れているのだろう、何とか及第点である。

 時々『お兄ちゃん大好き』がつぶやかれるのが、初々しくて更に高ポイントである。

 多少不味くても、男なら飯3杯はいけるだろう。

 まあ、それでも腕前は俺よりは遙かにマシだったと付け加えておこう。


 糯米がなかったので、普通の粳米に刻んだイカゲソを合わせて詰め込み、よく煮込む。


「イカこと、よー煮込むら。美味くなるろー」


 俺が変な訛りで説明すると。綺麗どころたちが大笑いする。

 着飾っていても、少女には違いなかった。

 できあがりを待っている間に、言葉教室を始めよう。


「越後」

「いちご?」

「ノンノン、えちご」

「えぃちご」

「そうそう、えちご」

「えぃちごー」

「えちごー」

「いぇちご」


「イチゴパンツ」

「えちごパンツ?」

「えちごぱんつ?」

「いぇちごパンツ?」

「ノン、イチゴパンツ」

「えぃちごパンツ」

「いぇちごパンツ」

「いちごぱんつー」

「イチゴパンツー」


 パンツは訛らないんだな。


「次は、えっち」

「ぃえっち?」

「えっち」

「えっち?」

「えっち?」

「えっち」


 そうそう、皆さん上手よ。

 では、次。


「えっち」


 そう言いながら、綺麗どころのひとりの下腹部をツンツンする。


「いやぁん」


 うん、それもいいね!

 でも、駄目。


「えっち」


 そう言いながら、もう一度、ツンツンする。


「え、えっちー」


 合格! 次の方どうぞ。


 ツンツン!


「え、えっちー」

「ひぁ、えっちー」

「きゃぁぁl」

「えっちー」

「きゃぁ、えっち!」


 はい、皆さん、とても良いですよ。

 顔も下半身も赤く染まって、とても良かったです。

 いや、ちょっと、脱線してしまった。


 まあ、古い村と言っても移民が半分以上占めるから、訛りが出るのは年配の猿人で3割ぐらいだろう。

 直江津と商売しているし、吉川にも大豆を売っているから、そのうちに消滅してしまうかもしれない。


「ねえ、お腹すいたわ。ご飯まだなの?」


 クーリャが蔑みの目で見ながら、俺たちがきゃーきゃーベタベタやっているのを邪魔する。

 亜人というのは、獣人を怖がることが多い。

 潜在的な恐怖心なのだろうか?

 それとも、クーリャが偉い人の範疇だからだろうか?


「はいはい、もうすぐできますからね」

「もう、子供扱いしないで!」


 ぴしゃりと、襖?を閉めてしまった。

 おっかない女ー。

 綺麗どころたちも、目を白黒させている。


 しかし、方言もそうだが、俺は人種も固定化された定住の人々から生まれるのだと思っている。

 インドネシアで20年も暮らした人は、インドネシア人っぽく見える。

 タイで暮らした人は、タイ人ぽく見えてくる。

 多分だが、北欧で300年とか500年定住した人は、100%日本の血統でも、金髪とか灰色の瞳を獲得してるのではないだろうか。

 勿論、実際には現地の人との混血が進んで、より現地人らしくなってしまうが、混血しないでもそうなるような気がする。


 実際、イギリスに住むインド人の子供たちは、成長するのに日射しが足りなくて、日焼けサロンに通わないと死んでしまうらしい。

 逆に強い日射しが健康を害する白人種がいて、日焼けではなく火傷になってしまうので、熱帯などでは命に関わる生活を余儀なくされる人もいる。

 そうした人々の子孫は、少しずつ適応していき、やがては土地にあった人種的特徴を持つようになるのではないだろうか。

 つまり、その土地にあった能力を獲得しないと、健康に生きていけないのである。


 食文化なども環境であるし、その土地で生きていくには、その土地にあった身体的特徴を獲得していくのではないかと思う。


 人口が流動的な都会では別だろうが、固定された農村などでは、固有の人種的特徴が顕在化していくのではないかと思う。

 血が濃くなると言うやつである。


 5世代前の親族が北欧とか東欧に移民していれば、金髪や銀髪の美少女が親族になるかもしれない。

 兄や姉がいる人は、是非、移民を検討してもらおう。

 孫の代には金髪少女が遊びに来るかもしれないぞ。


 つまらないことを考えている間に、イカ飯が完成した。

 綺麗どころたちは、既に股間を防衛している。

 手を放すと、ツンツン攻撃が来ることを学習したのだ。

 結局、方言は関係無くなってしまっている。

 えっちとは、変態の隠語だから、別に構わないだろう。

 柔らかかったし。


 味見のため、幾つか取り出して輪切りにする。

 興味津々の綺麗どころたちに食べさせると、毎日イカを食っている連中なのに大喜びである。

 幾つかのサンプルを持って、外で見学している村長たち村人に配りに行く。


「みれ、みれ」

「伯爵さーがお作りなさったイカ飯」

「食べてみなされ」


 そんな感じで聞こえる。

 娘たちの訛りは、耳に優しい気がする。

 村人たちも大喜びのようだった。


 俺は、座敷で待っていたクーリャとリーメの仲間たち、それから馬の世話を終えた警護官たちにイカ飯を配ることになった。

 大工たちや鍛治職人もいる。

 接待は、綺麗どころの仕事ではなかったのか?


「まっこと、イカ娘ばかりで仕方ないろー」


(それは土佐、高知弁です)


 そうやった?


 まあ、俺には方言はわからないし、ヒアリングもいい加減なのだ。

 自分は東京弁だとか言ってみても、タクシーで『日比谷』と言って、渋谷に連れて行かれる心配はないから、やはり東京弁でもないと思う。


 それより、ベッドでも方言なのだろうか?


「ああー、そんなことしたら、だめっ、駄目よー」

「ああー、そないされたら、もうあかん、あかんわ、うち」


 とかだったら、何となく嬉しいかも?


(そげんこつは、いかん、いかんばい)


 やめて、ナフタ!

 わざと夢を壊すのはやめてよ。

 しかも、男らしく表現しないでね。

 薩摩おごじょは、もっと可愛いからね。

 そう言えば、鹿児島のご当地アイドルとか……


 うおっほん。


 その後、柿崎村も随行員たちもイカ飯に満足したので出発し、山越えに向かった。


 イカ娘たちも満足したしな。


「あなた、イカ臭いわ」


 クーリャさん、それは言わないで、お願い!

 泣いちゃうからね。


 途中、山道が厳しいので、馬車を降りて押したり、引いたりしなければならない場所が増えていったが、俺は偉いので歩くだけで済んだ。

 山道はきついが海沿いなので、時々見晴らしの良いところでは蒼い海が見渡せて絶景だった。

 しかし、上り坂で綺麗どころに俺の前を歩かせると、更に絶景であり、きつい山道が楽しいものになった。

 可愛いお尻が幾つか目の前に弾んでいると、心も弾むのである。


 綺麗どころは柿崎に押しつけられて、本当は断ったのだが、断り切れなくて3人ほど連れてきてしまったのだった。

 いやあ、断り切れなくて良かったよ。

 うえへへへ。


「クズね!」

「クズですね!」

「クズ」


 後ろでは、アヤメやクーリャがブツブツ言っていた。


 綺麗どころ本人たちが希望したんだからね!


 アヤメたちは、俺の前は歩かなかった。


早速さっそく、嫌われたのかしらね?)


 泣きたい。




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