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近頃のガキんちょは……(とある衛兵さん語録より)

設定メタボにならないために


「設定メタボ」とは:

 その物語に適切な量を超えて設定を作ってしまい、なおかつそれを無理矢理作中に詰め込もうとして作品のバランスが崩れること、その症状。


症例:

・作品のハイライトに至るまでの過程が箇条書きのダイジェストになる(主に短編、長編の場合は「あれから○年……(回想開始)」などで見られる)。

・裏設定マシマシ、あのときこのキャラは実はこんなことを思っていて――な登場人物紹介。

・全てが終わったあとの舞台裏で、いったい君たちは誰に向かって説明しているんだ?と言いたくなるくらいに説明的な会話(会話、あくまでも“会話”なのです!)を繰り広げるキャラクターたち。


――などなど。



・ダイエット方法

 まずは、「短編と長編では違和感なく設定を盛り込める限界量が異なる」ということを理解しましょう。短編は少なくて長編はたくさん。当たり前のことですね。

 短編の場合、最低限の設定、説明で書き切れる話作りを意識しましょう。お話、ストーリーです。設定作りではないのです。

 長編を短編に落とし込むのって、正直素人にはおすすめできません。

 そもそもこむるは、短編と長編とでは作り方がまるで違うと信じてる派です。長編のダイジェストではありません、“短編”を書いてください。


 長編の場合は、一度に必要以上の設定を垂れ流しすぎないように、適切なタイミングで適切な量を書き切るようにしましょうってことですね。

 説明回、登場人物紹介に頼りすぎないように気をつけたいものです。



 ――え?お前も裏設定を前回がんがん出してたじゃないかって?

 こむるはいいのです。あれは、「裏設定満載の登場人物紹介というテンプレを書くために」本編にねじ込んだ設定なので。



 校舎の裏手、あまり人の来ない場所――そこに、向かい合って立つ人影がふたつ。


「お誕生日おめでとう、その、ほんとは昨日なんだけど」


「うん、ありがとう」


 彼は、緊張をにじませながらも、真剣な面持ちで顔を上げた。そこには、今日に賭けるのだという決意に満ちている。


 すっと差し出された木彫りのブローチを見るサキは、困ったように首をかしげた。


「これ――今の僕にはこんなものしかあげられないけど、でも、いつか必ずもっとすごいプレゼントを用意できるようになるから」


 サキのがブローチを受け取ろうとしないことに、泣きそうに顔を歪めながら、必死で続ける。


「だから、お願いだよサキちゃん、僕を選んで。絶対、アルスお兄ちゃんよりすごい冒険者になってみせるから!」


「ごめんね、ダニー君」


「どうして! 僕のほうが絶対にアルスお兄ちゃんよりサキちゃんのこと好きなのに……」


 ダニー君のその言葉に、サキはそうではないと首を振った。


「ダニー君がどうかじゃなくて、()()()()アルスを好きなの」


 じわりと、ダニー君の目に涙が浮かぶ。大変申し訳ないが、こればかりはどうしようもないのだ。


「それじゃ、もう行くね」


 これ以上話すこともないからと、ダニー君の横をすり抜けようとしたとき、


「――プレゼントも、もらってはくれないの?」


 悲しそうにダニー君は言った。


 結局サキの両手は、ダニー君に呼び出されてこの場にやって来て以来、ずっとからだの前で組まれたままだったのである。


 サキは立ち止まるといま一度ダニー君に向き直り、申し訳なさそうに眉を下げながらも、しかしきっぱりと答える。


「うん、それはもらえないわ」


 今度こそ立ち止まることなく玄関口の方へ向かうサキに、ダニー君は涙まじりの声で訴えかける。


「僕あきらめない、絶対にあきらめないから……!」


 そして、しゃくり上げる声と鼻をすする音――






「こんなところで何してるの?」


 角を曲がると、今にも崩れそうなほどに積み上がり、ぎゅうぎゅうに押し合いへし合いしているミナちゃんたち大きい組の子どもたちがいた。


「あ、サキちゃん……」


 ばつが悪そうに笑った拍子に、とうとうべしゃっとみんなして潰れてしまう。


「もう、こんなに積み重なったら危ないよ」


 上から順に助け起こしながら、サキは呆れ顔でため息をつく。


「さ、中に入ろう、いつまでも外にいたら風邪ひいちゃう」


「うん、そうだね」


 女の子たちはサキと一緒に移動を始めるが、男の子たちはダニー君をなぐさめるつもりのようで、「あとでな!」と反対方向に駆けて行った。


 以前なら、こんなとき真っ先にダニー君の隣に行っていただろうミナちゃんは、後ろを気にする素振りを見せつつ、それでもサキに付いて来る。どうやら、乙女心は複雑に揺れているらしい。


「でもサキちゃん、ほんとにプレゼントもらってあげなくてよかったの?」


「ダニー君なんだかかわいそう」


 そっと後ろを振り返りながら、何人かの女の子たちが言い合うが、


「えー、でも、そうやって下手に優しくして“気をもたせる”ほうがかわいそうじゃない?」


「それは……たしかにそうかも」


 別の女の子の反論に、なんとなく自信がなくなったようにうなずく。


「うーんと、いろいろ考え方はあるんだろうけど、わたしはね、アルスがいるのに、他のひとからのお付き合いしたい気でいっぱいのプレゼントを受け取るのは、できないかなって思って――」


 それと同様に、断り文句として「気持ちはうれしいけど」と前置きするのも、その気持ちを受け取ったことになってしまうような気がして言わなかったのだ。


 サキがそう説明すると、みんなはとたんに目を輝かせて、


「愛ね!」


「サキちゃんはアルスお兄ちゃんに“みさおをたてている”のね! 素敵!」


 などと、どこから覚えてきたのだろうと首をかしげたくなるような感想を口にする。


「ねえねえ、アルスお兄ちゃんからはお誕生日プレゼントに何をもらったの?」


「あ、ばか! アルスお兄ちゃんは今よその国に行ってるじゃない!」


「あっ……」


「ご、ごめんね、サキちゃん……」


 しまったと両手で口をふさぐ女の子たちにサキはくすくすと笑う。


「ううん、大丈夫」


 そうこうしているうちに教室にたどり着いた。まだ指導役のおばあさんは来ていないようだ。


 少し前からミナちゃんたちに誘われて通い始めた裁縫教室で、今サキは簡単なレース編みを教わっている。


 レースといってもまだそこまで細い糸は使っておらず、編んでいるものもコースターやリボンくらいなのだが。


「あ、サキちゃん! おはよう」


「うん、みんなおはよう」


「サキちゃんお誕生日おめでとう!」


「プレゼントがあるんだよ、こっちこっち」


「ほんとう? うれしいな」


 サキを見つけた小さい子たちがわらわら飛びついてきて、ストーブそばの椅子まで引っ張っていく。


「そうそう、わたしたちからもプレゼントがあるんだよ。これ、お誕生日おめでとう!」


 とミナちゃんが鞄の中から抹茶色のリボンを取り出した。


「ありがとう。きれいな色だね」


「サキちゃんの髪飾りに合わせたんだよ」


 聞けば、栗拾いのときに助けてもらったからと、男の子たちもおこづかいから少しずつ出してくれたのだとか。 


「髪に結んだげるね!」


「わたし、櫛出そうか?」


 ミナちゃんたちはサキの後ろに回って、横で結ぼうか後ろにしようか、それとも三つ編みにしようかと楽しそうだ。


「はい、これあげる」


 小さい子たちからもらった布の包みには、どんぐりや赤い木の実、形や色を選りすぐったのであろう落ち葉が入っていた。


「まあ。ほんとにもらっていいの? これ、みんなの宝物でしょう?」


 サキは、みんながどれだけの熱意をもって、この秋から冬にかけてきれいな木の実や落ち葉を集めていたかをよく知っている。それを誕生日プレゼントにくれるというのだ。


 小さい子たちは笑顔でうなずいた。


「うん。いっつも魔法を見せてくれたりするお礼!」


「そうだサキちゃん、持って帰るときにぎゅって持つと、葉っぱがばらばらになっちゃうから気をつけてね」


「宝物を分けてくれてありがとうね――落ち葉、粉々になっちゃったことがあるの?」


「うん、ポケットに入れてお家に着いたらぐしゃぐしゃって」


「そっかあ……あ、そうだ。こうしたらどうかな」


 サキは木の実たちを宙に浮かべると、魔力の膜のようなもので包んでそのままきゅっと固めた。平たく言えば、中に木の実や落ち葉が入った、握りこぶしよりちょっと大きいくらいの無色透明な魔石である。


 子どもたちは歓声をあげた。


「こうやってお部屋に飾っておくね、ほんとにありがとう」


「ちょっと、サキちゃんサキちゃん」


 笑顔でもう一度お礼を言ったところに、ミナちゃんが声をひそめてサキを呼んだ。


「どうしたの、ミナちゃん」


「ねえ、その緑色の指輪、この前はしてなかったよね……」


 特にその必要もなさそうなひそひそ声に、まわりもなんとなく静かになって、ミナちゃんが目ざとく見つけたサキの指輪に注目する。


「ほんとだ、サキちゃんが指輪してる」


「指輪……」


「これもプレゼントなの?」


「……あのね、ないしょだよ」


 と前置きして、サキも声をひそめた。


「昨日の夜、こっそり魔法で帰って来てくれたの」


「きゃああ!」


「うそっ、それって、アルスお兄ちゃ……」


「しっ、ないしょだってサキちゃん言ってたでしょ!」


 一瞬、さっきよりも大きな声があがりかけ――はっとみんな口を押さえて、それからひそひそ声が再開される。


「愛ね!」


「愛だわ!」


「ねえねえ、これってあれでしょ、“こんやくのおくりもの”!」


「結婚式には呼んでもらえるの?」


「きれいな指輪ね、サキちゃん。なにでできてるの?」


 そうやって静かに盛り上がっている教室の横を、しょんぼり肩を落としたダニー君と男の子たちが通りすぎ――男の子組は隣の教室で木工細工を教わるのである――サキは、彼の今後の幸福を願って心の中で手を合わせた。



ダニー君に幸あれ。。・゜・(ノД`)・゜・。





豚のしょうが焼き


作り方はいろいろ。ご家庭の事情に合わせて最適化しよう。


材料(三人分程度):

・豚肉の薄切り 200グラム

・しょうが ひとかけ

・タマネギ 2分の1個

・しょうゆ 大さじ2

・みりん 大さじ2

・砂糖(お好みで) 小さじ1弱

・小麦粉

・サラダ油



作り方:


・タマネギを食べやすい大きさにスライス、肩ロースなどを使う場合は豚肉の筋きりをしておく。


・豚肉の両面に薄く小麦粉を振っておく。


・すりおろしたしょうがと調味料を合わせてたれを作る。


・熱して油をひいたフライパンに豚肉を並べ、焼き色がついたら裏返してかりっと焼き上げる。いったんお皿に移してキッチンペーパーで余分な油を拭いて、どんどん肉を焼く。


・ざっとフライパンをキッチンペーパーで拭くか洗うかしてタマネギを炒める。しんなりしてきたら豚肉を戻し、たれを加えてからめる。



メモ:


・バラ、ロース、こま切れなどお好みの肉を焼こう。


・脂身と赤身の境目を跨ぐように何ヵ所か包丁で切り込みを入れる(つまり筋きりのことね)ことで反り返ったり身が縮むのを防ぐ――のだけど、こむるはよく忘れる。あと、折るようにつまんだ肉をキッチンはさみでちょっきりとやったりもする。


・タマネギはいらないなら別になくてもよい。キャベツの千切りもいいよね。


・チューブのしょうがでもよい。しょうが感が苦手な人は少なめに。


・甘口が好きな人は砂糖少々を加える。辛口が好きなら砂糖なしでみりんを少なめに。


・テフロンのフライパンの場合は、油はひかなくてもよい。焦げ付きが少ないようだったら豚から出た油でタマネギを炒める感じで。


・こむるは人数の関係でこの方法で焼いているけど(フライパンの焦げ付き防止のため)、小麦粉を振らずにたれに肉を漬け込んでから焼いてももちろんよい。


・サラダを付け合わせたり、カボチャやシイタケ、アスパラガスなどを焼いて付け合わせるのもおいしい。


・こむるは、焼く前のたれでもからめ終わってからのたれのどっちでも、余った場合はエノキの佃煮的なやつとか、ゆで卵や野菜炒めなどの味付けに使ってます。



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