撮影前に
余裕を持って行動していた御蔭で、5分前にモデル事務所に到着した。
全員が車から降りたので、遥ちゃんが私に近寄ってきて耳元で話しかけてきた。
「明日香ちゃんの両親も一緒に行くの?」
「見学するんだってさ、そのために仕事を無理やり終わらせて来たみたい。ごめんね。」
「ううん、大丈夫。その御蔭で助かったってのもあるからね。
そうなんだぁ~ ウチの親と違って理解が有って良いなぁ~」
理解が有って…で良いのだろうか? 何か違う気がする。
「ほら、行くよ~」
「あ、待ってよ~」
モデル事務所に入り、受付で声を掛けると直ぐに案内してくれた。
案内された部屋に入ると、すでに山崎さんと、大森さん、宮崎さんの3人が揃っていた。
3人は、私と一緒に入ってきた両親を見てビックリしている。
「か、綾小路会長様もいらっしゃったんですか? それに会長夫人も…」
「娘が世話になるからね、挨拶ついでに来させてもらったよ。」
「私の許可で例の撮影出来たんでしょ? だったら良いじゃない?」
「い、いえ、別に駄目と言う訳ではありませんでして…その、はい。」
山崎さんが汗を掻きながらペコペコしていた。
それを見て、やっぱり私の両親は凄い人なんだと改めて思った。
「編集長、そろそろ…」
助け舟を出す様に大森さんが山崎さんへと声を掛けたみたいだ。
「そ、そうだな。では綾小路会長、そして会長夫人、見学は問題有りませんのでご自由になさって下さい。」
「すまんな。」
「いえいえ。」
山崎さんが会話が終わるとこちらを向いた。
「じゃあ、軽く今日の撮影について打合せをしようか。」
「「はい。」」
私と遥ちゃんは、今スタイリストさんに髪型のセットや化粧をされている。
その合間に大森さんが撮影の説明を行っている。
「前回お話しをした通り、撮影場所は青山になります。
イメージとしては、休日の部活が終わって街に買い物へ来たって感じになります。」
「少し良いですか?」
「はい、何でしょうか?」
私は、気になったことが有ったので聞いてみることにした。
「雑誌に出ている同じ企画の他の子達も、同じ様な感じで打合せしてから写真撮ってるんですか?」
何となくだが、雑誌に載っている子達は自由気ままに写っている気がしたのだ。
「いえ、普通は街中で見つけた子に声を掛けて、許可を貰ったら写真を取る感じになります。
ですが、お二人の場合は最高の写真を撮りたく思いまして、こうした方法を取らせて頂きました。」
「はぁ、そうなんですね。」
でも、それって見た目詐欺じゃないのだろうか?
だいたい私は青山なんか通過しただけで、行ったことが無いのだけれど、良いのかな?
「明日香ちゃん、考えたら負けだよ?」
「そだね。」
遥ちゃんもそう言ってることだし、納得することにした。
「終わりました。」
鏡の中の私は、何時もより可愛く映っている気がした。
お嬢様らしくケバイ化粧では無く、ナチュラルメイクのハズなのだが、結構違く見える気がする。
「これが私?」
遥ちゃんも驚いていた。
何時もの元気一杯の遥ちゃんのイメージと変わって、清楚なお嬢様みたいな雰囲気に変わっていた。
あ、別に遥ちゃんがガサツって訳じゃないよ? 元気6:清楚4だったのが、元気4:清楚6に変わった感じだ。
「明日香ちゃん見てみて~ お嬢様見たいでしょ~♪」
でも、中身はやっぱり遥ちゃんだ(笑)
「うん、話し方を変えたらお嬢様にしか見えないかも。」
「だよね? うん、なり切ってみようかな?
…コホン。ごきげんよう?」
「何で疑問符?」
「さあ?」
「「ぷっ…あははははっ。」」
私達は仲良く笑うのだった。




