正月
一気に時間が飛ぶと同時に武田の佞臣登場
1554年 正月 甲斐国 躑躅ヶ崎館 武田信之
年の始まり武田家臣が軒並み顔を揃えていた。今までは何処かに敵を抱えていたが村上を滅ぼし上杉と同盟しているなかでゆっくり休むことが出来たのか顔から疲れの色が消えていた。父上が前に立つと皆の顔が戦慄した。
「 皆の者昨年もよく働いてくれた今年も頼むぞ。今日は、遊びつくすがよいがその前に南伊那攻め評定をいたす。今年は正月から働いて貰うぞ!」久しぶりの戦で皆が勢いずく中私だけ初めてでたじろいでしまい一人浮いてしまっていた。正直初陣の身だと評定中何をしていいか分からない只周りを見て自分なりに意見を纏めて見ようと長考しているのを見て父上は私に意見を求めてきた。
「 然らば申し上げまする。国人領主は、機を見るのに敏にございますれば大本を叩くのが一番かと。」
「 というと、大本の豪族さえ打ち取ってしまえば周りの豪族どもが臣従してくるとの考えか。まぁよい三郎の策でいこうと思うが皆よいな。皆の者近いうちに陣触れを出す故各々準備しておけ。皆の者硬い話は、これで終わりじゃ酒を飲んで飲みまくれ。 」
その後は、酒を飲んで肴を喰らって騒ぐかと思いきや皆落ち着いており意外だなと考えながら肴を食べていると傍に重臣たちが寄って来た。
「 三郎殿の頭脳明晰ぶりこの虎房感じいりもうした。 」
面倒くさい奴に絡まれてしまった。この虎房なにを隠そう悪名高い長坂釣閑斎その人である。正直言ってこの者は後々処分せねばならないな。それはそうとも美味しかった飯が一気に不味くなってしまった。傍から、見ていても相当嫌な顔をしていたのであろう。
「 虎房殿、三郎殿が引いておられますぞ。もう酔いが回られましたかな。 」
そう言われると少し嫌な顔をして逃げるように消えていってしまった。
「 三郎殿、彼奴には関わらない方がいいですが彼奴から擦り寄ってくるでしょうから気を付けてください。申し遅れました、某の名は真田弾正忠幸綱にございます。以後お見知りおきを。 」 武田の佞臣の次は、真田昌幸の父であり攻め弾正と評されるほどのビックネームに驚きを隠せなかったのだが折角のチャンスだ。たしかだがもうそろそろ下の二人が父上の側に出仕する筈なのだ。どちらかと言えば三男の昌幸がいいが正直に言うと昌幸は四郎(勝頼)とペアがいいなと勝手に許可も貰ってないのに妄想してしまった。現実に一気に引き寄せられるそうだまだ聞いてすらいなかった。貰えれば至極頂上一世一代の大勝負が今始まる。
「 真田殿、差し出がましいことを申し上げてもよろしいですか? 」
「 大丈夫なのですが、何かありましたか? 」
「 私自身一気に所領が増えましたので人手が足りないのです。そこで真田殿のご子息は、大変優秀だと聞き及んでいるので一人我が配下に戴けませぬか。 」
「 それは、難しいことですなぁ。三男と四男が昨年から御屋形様の元へ遣わしたので後はいささか跡取り息子たちですので 」と三郎の申し出を断ろうとしたら白目向いて倒れてしまった。
それを見かねた父から正式な配下として4男である加津野信昌が付けられた。
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