師匠の結婚
俺は今、髪をオールバックにし、正装に身を包まれている。
今いる場所は、スサノオ神が祀られている神社だ。
そして、俺の目の前にはタキシードを着こなしているシャクヤク師匠がいる。
ついにシャクヤク師匠に春がやって来たのだ。
今日は、サイネリアさんとの結婚式……。
俺は、前の世界では神社なら新郎は和装のイメージだなぁと思ってしまった。
因みにだが、なんで結婚に至ったかと言うと、サイネリアさんがギルマスのスターチスさんに紹介してとお願い?脅迫?して、師匠と手紙のやり取りなどをするようになり、時々デートをしていたそうだ。
俺が修行しようと師匠の部屋に行っても度々いなかったのは、デートをしていたと知ったのは結婚式の日取りが決まった後だった。
「俺のおかげ? で知り合えたんだからもっと早く教えてくれても……。」
などと言って俺は少しだけ師匠に愚痴った。
……少しと言うかネチネチと言い続けてやった。
「新婦の入場です。」
司会の声を聞いて、フラワーガールのアイリスに続いて、サイネリアさんが歩いて来た。
アイリスは可愛いフリルのピンクドレスを着ている。
サイネリアさんは純白のウェディングドレスを着ていて、とても綺麗で見惚れてしまった。
それにしても、お互い幸せそうな顔をしているなぁ。
新郎と新婦が揃い、結婚式が進んでいった。
「結婚指輪の交換を。」
司会の人の声が聞こえて来た。
俺は二つの指輪が入ったリングピローを持って二人の元へ向かった。
人生初のリングボーイに俺はなっていた。
「おめでとうございます。」
俺は二人に祝福の言葉を送った。
「「ありがとう(ございます)。」」
二人は微笑みながらお礼を言った。
お互いに指輪の交換をした。
「それでは、誓いのキッスを!」
司会の言葉に二人は向かい合い、シャクヤク師匠がサイネリアさんのぎこちない手つきでヴェールを上げ、サイネリアさんの肩に手を添えた。
「……。」
あれ?なかなかキッスをしないぞ?
シャクヤク師匠は顔が真っ赤になっていた。
「師匠めっちゃ緊張してるし。ここはカッコ良く決めないと……。」
などと俺が小声で呟いた時に、キッスを待ちきれなかったのか……。
「んっ!?」
サイネリアさんからシャクヤク師匠にキスをしに行っていた。
「おめでとう!」
「おめでとう!」
「しっかりしろシャクヤク!」
「サイネリアさんカッコいい!」
「羨ましいぞ〜!」
「根性無し〜!」
などと周りから祝福の声がかけられた。
その後も皆んなで二人の結婚を祝福したのだった。
「……絶対師匠は、サイネリアさんの尻に敷かれるタイプだな。」
俺は二人を見て、そう確信したのだった。
あ〜結婚式やり直したいーー!
世の中の男性の大半は、きっと......いや、絶対尻に敷かれている筈だ!




