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誘拐された!?⑤

「……。」


 俺は静かに荷台を覆う布の隙間から外を覗いた。


「馬車の後ろには人の姿無しっと。」


 外の景色は左右が木に囲まれている街道だった。


「外を見てもここが何処らへんだか全く分からん。」


 俺に続いてアイリスも外を見るが

「私も全然分からないよ。」

と顔を左右に振った。


「ここで飛び降りても気付かれないだろうけど、予定通り街に着くまで様子を見よう。」


「うん。」


 こうして、俺とアイリスは逃げ出せるタイミングを逃さないよう外の景色を見続けた。


 外の空が茜色に染まりだし、俺は焦りだしていた。


「……このまま街に入らず野宿されれぼ、俺たちを見に来た奴に檻を壊したのがバレて抜け出せない可能性がある。」


 アイリスは俺の言葉に息を飲んだ。


「……街に入らず野宿する様子があれば……仕方ない。荷台から逃げ出して隠れてやり過ごそう!」


「……分かったわ!」

 アイリスも覚悟を決めた顔をしている。


 キィーーーーィ


「「止まった!?」」


 俺たちは外の景色を見て見たが見える範囲には木と街道しか見えなかった。


「街に入らないのかっ!? 今逃げるしかないのか!」


 そう俺が口にした時、

「門を開けろー!」

という声が聞こえた。


 俺とアイリスは顔を見合わせ、

「「もしかして!? 街に着いた(の)?」

 そのまま俺達は外からバレないように気をつけながら外を見ていると、民家や商店が建ち並び、通行人の姿も大勢いるのが確認できた。


「これなら行ける!」


 俺はアイリスの手を取り、荷台から飛び出した。


 街に入ったことで、馬車の速度が人が歩く程度の速さになっていたので、怪我をすることなく降りることが出来た。


 俺達はすぐ近くの建物の陰に身を隠した。


「……はぁはぁはぁ。」

 アイリスは息が切れて両膝に両手を付いている。


 荷台から降りたまでは良かったのだが、時々走る練習はしていたが、所詮は2歳未満の子供の体……アイリスに抱っこされる形になってしまった。


「……アイリスを守るって言っておきながら面目ない。」

格好悪いな俺。


 俯いていた俺をアイリスは抱きしめ、

「そんなことない!サクラは凄く格好良いよ!」

 頬を赤く染めながらアイリスに格好良いと言われ、今が大変な状況なことを一瞬忘れてしまった。


 こうして俺とアイリスの逃走劇が幕を開けた。

次回からは、逃走編です。

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