逃走劇①
何とか奴隷商から逃げ出すことに成功した俺達だったが、誰に声をかけて助けを求めるか悩みどころだった。
「……サクラこれからどうする?」
通行人に声をかけて、助けてもらえればいいけど、多少なりともリスクは出てくる。
「……兵の人か冒険者ギルドがあるって前に本で読んだから冒険者ギルドの人に声を掛けよう。」
「……うん。分かった。」
俺達は物陰を利用しながら街の中を移動し、パンを売っているお店に差し掛かったところで、
「ぐぅ〜〜」
俺が後ろを振り向くとアイリスが顔を真っ赤にして、お腹を抑えていた。
「……お腹空いたの?」
「……ぅん。」
とアイリスは蚊の鳴くような声で答えた。
すると、店頭で客を呼び込んでいた若い女の人がアイリスのお腹の音を聴き、俺達に気が付いた。
「どうしたのぉ? お腹空いてるの?」
と声をかけてくれた。
「……はぃ。」
とアイリスが返事をすると店員さんは、
「そこでちょっと待っててね。」
と言い残し店に入り、手にパンを2つ持って俺達に差し出し、
「味は店頭の売り物に劣るけど、私が練習で作ったパンだから食べていいよ。」
と言ってくれた。
「ありがとうございます!」
「あ〜と〜。」
翻訳「ありがとうございます。」
と言って、二人でパンをいただいた。
俺は流石に普通に会話するのは変だと思われるので年齢に合わせて言葉を発した。
店員さんは練習で作ったと言っていたが俺が今まで食べたパンで一番美味しかったと思う。
「ご馳走様でした。凄く美味しかったです。」
「ご〜ちぃ〜。」
翻訳「ご馳走様。」
俺とアイリスは深々とお辞儀をした。
「美味しそうに食べて貰えて私も嬉しいよ。ところで、君たちは兄弟?親は何処にいるのか?」
店員さんが首を傾げながら聞いて来た。
「……実は」
「! 待てアイリス!」
俺は奴隷商とその部下と思われるもの数名が慌てた様子で何かを探しているのに気が付いた。
急がなければとの思いから、普通に言葉を出してしまった。
「!? 君はもう喋れるんだね! お姉さんびっくりしちゃった。」
店員さんが驚いていた。
俺はアイリスを引っ張り奴らから見えない位置に移動した。
「……どうしたの?」
店員さんが心配そうな顔をしている。
「……えっと。」
「ごめんなさい! 貴方を巻き込めません!」
俺は店員さんに告げ、
「逃げるよアイリス!」
アイリスの手を引いて奴らとは逆方向へ走り出した。
「……なんだったんだろ?」
「おい! そこの女! この変で男と女の餓鬼を見たか?」
奴隷商の部下が店員に声を掛けた。
「……さっきあっちの方に見かけない子達が行きましたよ。」
「あっちだな!」
男はそのままサクラ達とは反対方向へ走って行った。
「……あの子達大丈夫かな。」
店員さんはサクラ達が走り去った方向を心配そうに見つめていた。
サクラ達は無事に逃げ切れるのか!?




