我が子(弟子)は何処に〜両親・師匠〜
「国王様。やはり城内にはサクラ王子はどこにもいないようです。」
俺は兵士の報告を聞いていた。
「……分かった。捜索範囲にゲッケイジュの邸宅も入れてくれ。」
俺は兵士に兄上の邸宅を捜索する様命じた。
「はっ!」
兵士は返事をして直ぐに立ち去った。
「……兄上を疑いたくは無かったが、この状況では、やはり兄上が関与している可能性が高い。」
俺は自分の考えを口にした。
……兄上が犯人ならどの様な行動を起こすのか考えるんだ!
「……あなた。」
キクは目に涙を浮かべながらも涙を流さず気丈に振る舞っている。
「大丈夫だ。サクラならきっと無事だ!」
俺はキクを励ました。
「国王様!」
シャクヤクが部屋に戻ってきた。
「……どうしたシャクヤク?」
俺が問いかけたところ、
「……サクラ王子が誘拐された可能性を考慮すると……失礼ながら国王様の兄であるゲッケイジュ様が一番容疑が高いかと。」
シャクヤクは申し訳なさそうに発言した。
「……シャクヤクの意見はもっともだ。兵士たちには兄上の邸宅周辺での待機や聞き込み等を命じている。流石に証拠が無ければ踏み込めんが。」
俺は拳を握りしめていた。
「……既に国外に連れ去られていることも考慮し、知人のギルドマスターには使いの者を走らせています。大事にならないよう捜索を依頼しました。」
シャクヤクの話を聞き、先ほどの兄上の言葉を思い出した。
兄上は、『倭国内を隈なく探すのだ!』と皆の前で発言した。
兄上が犯人なら既に国内には居ないと言うことか!
「…っくそ! 他国に兵を…」
俺は他国にサクラがいる可能性が高いため兵を送り探させようと思った……しかし。
「他国に兵を送り捜索しては争いになる。」
息子が誘拐され、他国に連れ出されたと他国に説明し、了解が得られれば捜索は可能になるだろうが、それでも大部隊での捜索は出来ない。
それに、どの方角に居るのかも検討が付かないのでは探しようがない。
「……サクラ。」
キクは悲しげな顔でサクラの名前を呟いた。
親としては、直ぐに息子を探したいが、それにより国民を危険に晒すわけにはいかない。
「シャクヤク。依頼したギルドは何処にあるギルドだ」
……もう他国の捜索で頼れるのはギルドの冒険者しか居ない。
「……倭国周辺の国境に面して居る4つのギルドに使いを送りました。私の学校時代の知人で人柄や能力に問題はありません。他国の件は彼らに委ね、自国内の可能性もゼロではありませんので、徹底的に調べましょう!」
「……なんと!?周辺国4箇所を抑えて貰えたなら、希望はまだあるな。」
シャクヤクの話に少し希望が持てた。
「絶対にサクラを見つけるぞ!」
……各々がサクラを見つけるために動き出した。
サクラの方へ戻ります!




