13 規格外の幼女、乱入
「なっ……!? 人の子ども……!? なぜ妖精の郷に!?」
国王も王子レオンも、驚愕のあまり目を見開きました。
そこに現れたのは、八歳になったマリナでした。
彼女は、片手に怪しく発光する紫色のポーション、もう片手にボロボロの古文書を抱えています。
宮殿を警護する上級妖精たちも、マリナを止めるどころか「マリナちゃん、また妖精王様と喧嘩?」とクスクス笑って見守っています。
マリナは人間界のトップたちがいることなどお構いなしに、玉座の妖精王へと詰め寄りました。
「この古文書の空間座標の魔術式、絶対に間違ってるでしょ! 現代数学……じゃなくて、私の計算だと、ここの魔術式をこう書き換えないと次元の歪みが起きるんだけど!」
「ふん。お前が未熟なだけだ、マリナ。それは我が祖先が記した物だぞ」
「だって、このままだとガゼルの街じゃなくて隣の国に転移しちゃうもん! 私は家に帰りたいの!」
国家の最高機密であるはずの妖精王と、タメ口で対等に言い合う謎の幼女。
その異常な光景に、王子レオンは呆然としながらも、マリナの姿から目が離せなくなっていました。
(……可愛い。いや、それだけじゃない。あの妖精王のプレッシャーの中で、あんなに堂々と……。それに、彼女が言っている『魔術式の書き換え』って、我が国の宮廷魔導師でも不可能な領域の話では……!?)




