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10 システムキッチンデビュー

「……いや、これもう普通にお店できるレベル。

こっちの世界で農家カフェ経営にジョブチェンジしろってことかな」


そう呟いた瞬間——


ぐぅぅぅぅ……。


静かな朝の空気に、やたら存在感のある音が響いた。

私じゃない。といいたい。でも犬モンでもない。

……いや、犬モンたちもつられて鳴ってるけどね。


「……あ、そうだ。朝ごはん、まだだったね。」


犬モンたちが一斉にこちらを見る。

目がいつもの3倍キラッキラしている。

完全に“ごはんの時間”の顔だ。


「はいはい、わかったわかった。

母ちゃん、今から作るから一緒にごはんにしよう」


そう言いながら箱を抱えてログハウスに戻った瞬間、

私は思わず立ち止まった。


キッチンが……できている。


いや、“できている”どころの話じゃない。

完成しているのだ。

私の理想をまたしても120%盛ったやつ。

えっ、昨日はどうだったっけ......昨日は混乱していたから見落としていたのか。

ううん、広々としたリビングだったはずだ。


「え、ちょっと待って。

私、キッチン作る魔法なんて唱えてないよね?これも潜在意識系のやつ?」


思わず周囲を見回す。

もちろん、誰もいない。いたら怖い。

犬モンたちだけが尻尾を振っている。


リビングの奥の一角には、

最初からそこにあったかのように木目の美しいカウンターキッチンがあった。

はやる気持ちを抑えつつ、回り込んで見に行く。

そこにあったのは。

木製なのに水を弾く不思議な素材のシンク。

蛇口をひねると、冷たくて透明な水がさらさらと流れ出した。


「わっ。水が出る。しかも、なんか美味しそう。浄水器なんか絶対いらなさそう。

これはおそらくコンロかな?」


手をかざしてみると青白い炎がぽっと灯った。

何度か手をかざす度に火力が変わるタイプっぽい。

そして、調理器具が整然と並ぶ棚まである。

包丁、まな板、鍋、フライパン。統一された色の食器たち。

全部シンプルで、全部使いやすそうで、


「すごっ......すごい......転生の神様、グッジョブ......!」


思わず声が漏れた。

神様、あの時はけなしてごめんなさいね!!

やる時はやってくれるのね!




都合のいい時だけ褒めるやつ。

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