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魔女のいない世界で  作者: 海乃果
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亜香里

 前方の群れも後方の群れも距離を保ちつつも立ち去る気配はない。


 「前を突破できませんか?隊長」瞬が提案をする。


 「前方ですか・・・」


 集まった7名が2人の会話に集中する。


 凛は恐怖で失神してしまうのをどうにか抑えて立っている。瞬の袖を掴んだまま離さない。


 「いいでしょう、このままここにいる訳にもいかないでしょうから」


 「山田、近藤、亜香里の3人で前方の狼を排除しろ、後方は俺と加賀さんで抑える」


 『はい!』隊員たちの声が揃う。



 山田たち3人が近づくと狼の群れは低く警戒するような鳴き声を上げる。


 3人のフォーメーションは左に山田、右に近藤、少し下がった位置に亜香里がいる。


 山田と近藤が目くばせをすると一気に距離を詰める。


 2人が手にした警戒棒で群れの先頭付近にいた狼2匹の頭部に痛撃を入れる。


 狼はその場に力なく倒れ込む。


 狼側も距離を取りながらも牙と爪で攻撃を仕掛けてくる。


 3人は首筋を守りながら撃退するがそうすると今度は足首や手首などを狙ってくる。


 山田が警戒棒でまた1匹仕留める。その間に近藤は回し蹴りで一匹屠ほふる。


 「きゃあっ」そこに亜香里の大きな声が響く。


 どうやら背中に傷を負ったらしい。


 亜香里がその場に崩れ落ちる。


 それを見て狼が亜香里に襲い掛かる。


 山田も近藤も助けられる位置にいない。



 と、その時黒い影が亜香里と狼の間に入り、狼はキャンと鳴いて床に落ちる。


 サバイバルナイフを手にした瞬だった。


 狼の腹に深々と刺さったナイフを抜き去る。


 それを合図にしたかのように狼の群れは撤退を始めた。


 まだ10匹以上は残っているようだが被害が大きすぎると考えたのだろう。


 後方を守っていた最上と加賀も合流した。


 

 加賀副隊長が亜香里の怪我の様子を見る。男性陣の目線をさえぎるように凛も近くにしゃがみこむ。


 亜香里の上着を脱がせて背中の傷を見るとかなり深く、また出血もひどい。


 山田が背負っていたバックパックから簡易治療キットを出してまずは止血をする。


 「加賀さん、すみません、情けないとこ見せちゃってますよね」


 「いいから、声ださないで」


 「私、なにもできなかったなあって、山田先輩と近藤先輩と全然違って、一匹も倒せなくて」


 「いいから、亜香里」


 「わたし、首席とか言われてうぬぼれていたんですよ、だから天罰ですよね」


 「亜香里」


 どうやら熱もかなりあるみたいだ。


 凛が水筒の水でタオルを濡らして亜香里の顔や体を拭いてあげる。


 「彼氏君に助けられちゃったね」


 凛が何か言い返そうとした時に亜香里が激しく吐血した。


 その後、近藤の方を見て何か言おうとしていた。


 気付いた近藤が亜香里に近づく。


 近藤が亜香里の口元にくっつきそうな程耳を近づける。


 亜香里は近藤になにかささやいて、目を閉じるとそのまま帰らぬ人となった。


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