帰宅
魔女の館から十分に離れたところでとうとう凛はその場にしゃがみこんでしまった。
「凛」
「だめ、もう歩けないよ」小刻みに震えている。
瞬は凛に背負っていたバックを渡す。
え?
よく分からず支給品のパソコンが入っているバッグを抱え込む。
「ほら、捕まって」
そう言うと瞬の背中が目の前にあった。
凛はバッグを背負って瞬の背中に抱きついた。
おんぶされるなんて何時以来だろう。
瞬の背中の大きさが感じられた。
先ほどまで感じていた恐怖感が少しずつ薄らいでいく。
愛おしい人。
凛は何も言わずに瞬の背中に体を預けていた。
少し歩いて平川城址公園駅に着く。
「歩けるか?凛」
「あ、うん、大丈夫だよ」
そこからは、2人は何も言わずに西ヶ原の駅まで電車を乗り継いだ。
マンションに着くと2人はまずはシャワーを浴びる。
魔女の館は埃っぽくて2人ともかなり汚れていた。
それだけでなく、嫌な汗をかいていた。
帰りの電車でもだったが、凛はとにかく瞬にべったりとくっついていた。
2人で裸になってシャワーを浴びる。
シャワーを浴びづらくなるくらい凛は体を密着させてくる。
「凛、そんなにくっつかれたら体を洗えないよ」
「・・・」
「凛」
熱いシャワーを浴びながら力強く凛の体を抱きしめる。
どちらからともなく唇を近づけ、キスをする。
瞬は凛の体を強く抱きしめる。
そのまま、浴室内で激しくお互いを求めあう2人。
まるで、自分たちが生きてここにいることが奇跡で、それを確かめあうような抱擁だった。
シャワーから出ると、凛のスマホの動画を確認する。
凛は画像を見たくないのか瞬の長髪に顔をうずめている。
魔女の館の動画にはおかしなものは写り込んでいなかった。
最後にあった暖炉の地下室入り口についてはその先に何があったのか。
動画をそのまま添付して林三佐に送信する。
瞬が何を言わなくても今日の活動はここで終わりだ。
今になって思い出したが10万円のボーナスがあった。
「凛、ボーナスあったんだから何かデリバリーでも頼もうよ」
「お腹すいてないよ」
「何か食べたら元気になるよ」
「うーん」
「ピザでも頼もうよ?」
「サラダだけでいい」
「ピザもちゃんと食べて」
「じゃあ、食べさせて」
「ああ、食べさせてあげるよ」
「優しいんだ」
「今日は怖い思いさせちゃってごめん」
「ううん、大丈夫」
アプリで注文を終えるとデリバリーが来るまでの間2人でベッドで抱きしめあっていた。




