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駄女神に信託を受けた俺、世界最強の流派で異世界を無双する!  作者: 雪月花
闇に染まった王国と幻想郷の再建
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第10話 後始末



リリアと別れ、1人アメジスティアを目指して歩いていると、大地を轟かせる程の雄叫びを上げながら、屈強な男たちが門から飛び出してくる。きっとこのままスタンピードが起こっていた場所に向かうのだろうが、もう既に討伐し終わってるんだけどなぁ…まぁ、この先で歩いてる筈のリリアから状況説明されれば戻って来るだろ…


そう思い至り、何かアクションを起こす必要性も感じないので、このまま男達の群れを逆走して門まで辿りついた。


「門番さんお疲れ様です!これ、ギルドカード!王都に入ってもいいですか?」


「あぁ、おつかれ…入るのは構わないが、坊主は確かゴブリンの森に向かってた筈だろ?大丈夫だったか?たった今スタンピードが起こったらしくてな…騎士達や冒険者が討伐に向かったんだが…何か見てないか?」


「スタンピード!?そ、それは怖いですね…残念ですが俺は何も…忘れ物をしてすぐに引き返して来たんですよ…これだと今は外を出歩かない方が良さそうですね…門番さん、情報ありがとう!」


「そうか、そいつは運が良かったなぁ…ギルドに行けば色々と情報が出てるかもしれないから、明日にでも顔だしてみな。通行して良し!」


「あ、ありがとうございます!そうしてみますね!ではまた!!」



うーん、あれだけの規模の討伐隊が結成されるとは思ってなかったなぁ…王都の戦力を把握してなかった…1時間程度であれだけ集められるとは、王様はそれだけ民に慕われてるのだろうな…それだとなんか悪いことしたかなぁ?まさか既に討伐されてるとは思ってないだろうし…まぁ俺が気にしても仕方ないか…


とりあえず宿に戻るか…しまった!弁当食べてない!まぁいっか…戻ってから食べよう


そんな事を1人で考えながら歩いてるとすぐに宿が見えて来た。おや?リーファちゃんと女将さんが宿の前にいるなぁ…何かあったんだろうか…


「リーファちゃん、女将さん、今戻りました!宿の前で何をしてたんですか??」


「「ッ!?無事だったの(かい)!?」


「はいっ!?お、俺は無事ですけど…」


2人の話はこうだ、曰くスタンピードが起こったのをギルドに勤めているお姉さん経由で知り、大丈夫かしら?と心配していたところに、スタンピードがゴブリンの森付近で起きてる事を、宿に宿泊していた冒険者から聞き、おや?そういえば今日1人ゴブリンの森に向かったよね?と思い出し、しかもその冒険者がギルドに登録したての俺だったと気付いたところで、心配になり帰りを待っていたのだと…めっちゃいい人達じゃないですか…


「そんな心配して頂いてたなんて…ありがとう…俺はこの通り無事ですよ!ゴブリンの森に向かってる途中で忘れ物に気づいて戻って来たんですよ!不幸中の幸いってやつですね!」


「本当に心配したんだよ?でも無事で何よりだよ…疲れた顔してるし、宿で少し休みな!」


「すみません…少し休んでから冒険者ギルドに顔出しに行って来ますね!リーファちゃんも後でね!」


「うん!後でお兄さんの話聞かせてね?約束ね!」


リーファちゃんの約束!という言葉に笑顔で頷き、一休みするべく自室へと退散する。さて、一眠りしようかな…


そんなこんなでベッドに横になると、すぐさま睡魔に襲われ、抗う事なく眠りにつくユウキだった…



――――――――――――――――――――――――


一方その頃…リリアはというと…


ふぅ…いつも馬車に乗って進んでいた道を歩くのも中々感慨深いですねー。こんなに歩いたのは、魔法学院での郊外授業で何故か山登りをさせられた時ぐらいでしょうか?足が重くなってきました…


重い足をひたすら動かし、アメジスティア王国目指し歩いていると、怒声を上げながら走ってくる集団が目に入る。リリアが歩きながらもその集団に注目していると、何故だか向こうは立ち止まり何処か遠くを見ている。何をしているのかに思い至ったリリアは、集団の先頭にいる見慣れた騎士甲冑の男に向け手を振る。すると騎士も気づいたのか、慌ててリリアの元に駆けつける。


「姫様ぁぁあ!ご無事でしたか!!!」


「えぇ、マルディス心配をおかけしましたね…それとアウリム団長もお久しぶりです。また一段と腕を上げたみたいですね…見ただけでも伝わってきますよ」


「姫様よくぞご無事で!姫様もあいも変わらず可愛らしく、魔力も王都を旅立つ頃と比べると、比較にならない程膨れ上がってますな!感心ですぞ!まぁ、挨拶は城に戻ってからゆっくりとするとして、ゴブリンは何処に?それと姫様と共にいたという冒険者は?」


「ゴブリンに関しては、全て排除済みです。時間にして10分もかからないで全滅させました(ユウキさんが)

のでもう心配はいりません。集まってくれた方々には報酬として金貨一枚をお配りし、アメジスティアに戻りましょう」


「な、なんですと!?数万規模のゴブリンの群れを10分で全滅させたのですか!?一体姫様と共にいたという冒険者は何者なのですか!!」


「マルディス落ち着きなさい。とりあえずこの件に関してはお父様も交えて話します。一旦王城まで戻りましょう」


やっぱり誤魔化すのなんて無理ですよぉぉおおお!!ユウキさんの阿保ぉぉおおお!!

と心の中で絶叫し、この窮地をどう乗り切ろうか、頭をフル回転させるが良い案は浮かんで来ない…そんな時に思い出すのは、ユウキが微笑んでいる姿…顔を赤くし両手を頬に当てニヤニヤし始めた姫様に、怪訝そうにしながらも、見てはいけないものを見るかの如く視線を外し、何事も無かったかのように2人の騎士は冒険者達をまとめ始める。


「ゴブリンは既に殲滅されたらしい!集まってもらって申し訳ないが、今日はこの場で解散とする!!今回集まった者達には金貨一枚の報酬が出る!受け取ったものから随時解散してくれ!もう一度言う!!今回は王国の窮地に駆けつけてくれてありがとう!感謝する!もしもまたこのような事態になった時は力を貸して欲しい!!今回は特別な例だ!次はこうはいかないであろう!!気を引き締めてこれからの日々を過ごしてくれると助かる!以上!解散!!」


ぶつくさ文句を言いながらも戦わずに済み、その場に集まった者達は皆一様に安堵の表情を浮かべていた。まぁ、それも当然だろう。実際に今回は特例で本当であればこの中から死者が出ていたかもしれないのだ、そんな死地に行かなくて済んだ…それだけで自然と笑みが溢れるのは仕方のない事だろう。しかもただ集まっただけで金貨が貰えたのだ…何も文句は言えまい。


一人一人金貨を渡し、最後の1人に渡したところでようやくリリアが現世に戻ってきた。何処か恥ずかしそうにしてるが、必死に隠そうとしてるところがまたいじらしい…


「姫様、集まっていた者達に金貨を配り終えました。我々も戻りましょう」


「え、えぇ…そう致しますか」


そう言いリリアはアメジスティアに向け歩き出し、その後ろを2人の騎士が馬から降り、共に歩みを進める。終始無言の中、リリアは相当焦っていた。言い訳が結局思い浮かばない。刻一刻と迫るタイムリミットに冷や汗をかきながらも、必死に対面を取り繕い、門を超え、姫様を一目見ようと集まっていた者達に愛想笑いで手を振り、ひたすら考え続け…遂に謁見の間に到着した。いや…してしまった…そしてひたすら考え抜き、一つの答えを導き出す!!


あぁ、もういいや!開き直ってしまえ!

なんとも酷い…これが一国の姫が考え抜いた結論なのか…という思いがリリア本人にも多少はあるが、今はそんなことは言ってられない。さぁ、ここからが本番である。ユウキとの約束を守るため戦地に赴く兵士の如き覚悟を持って扉を開き、一歩を踏み出す。


「お父様、ただ今魔法学院から戻りました。お久しぶりでございます。そしてそちらにおられる方々が勇者様方ですね?初めまして、(わたくし)はアメジスティア・ユナ・リリアと言います。この度は私達の世界の都合でお呼び寄せし、誠に申し訳ございません」


父へ帰還した事を告げ、そして天空達へと謝罪の言葉と共に頭を下げるリリアは、先程までとは打って変わって、なんとも王女らしい振る舞いをしている。本物の王女を見たことがなかった召喚組は、お姫様来たぁぁあ!とちょっとテンション高めになっているので、全く気にしていない事がわかる仕草に、一瞬安堵し相貌を崩したが、それも一瞬。元の王女スマイルに戻ると、エギルへと向き直り今回の騒動についての詳しい説明を始める。




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