第9話 あれ?風邪かな…?
少し短いです…
ミスティにプレゼントする物を考えながら、とりあえず茫然自失と言った面持ちで、俺の事をぼけーっと見つめている姫様の元へと戻る
「怪我とかありません?大丈夫ですか?」
「はい、えっと…ありがとうござい…きゃっ!あっ、す、すみません!」
「いえいえお気になさらず」
姫様の身を案じながら、へたり込んでしまっている身体を起こさせ、立ち上がらせる。立ち上がらせる際に、蹌踉めき俺にもたれかかってしまい真っ赤な顔で、謝るが何処か嬉しさが滲み出ている。
それにしても改めて見ると、物凄い美少女だな…金髪碧眼、可愛らしさの中に何処か気品を感じさせるのは、流石王族といったところか…ふわふわとした長めの髪が風で揺れるたびに凄く甘い香りがする、そんな子が頬を桜色に染め、上目遣いで俺の事を見上げているのである。先程口論に陥っていた時は意識しなかったが、あまりの可愛さについつい考えていた事が口からポロっとこぼれ落ちてしまう。
「改めて見ると本当に可愛いなぁ…なんかこう、無性に撫でてあげたくなるんだよなぁ…」
「ふぇっ!?か、可愛いなんてそんな!お、お世辞言わないでくださいっ…そ、それと!!撫でてくれても、べ、別にいいですよ?」
俺の心の声がダダ漏れである…
案の定俺の言葉に過敏に反応を示す姫様を見て、すわっ!またやってしまった!と後悔するが、後の祭りとはよく言ったものだ。それと聞き間違いか?撫でても良いって聞こえたんだけど…
「じーーっ」
じーーっと口で言いながら、まさしくじっと上目遣いで俺の事を見つめている姫様に痺れを切らし、頭に手を置き優しく撫でる
「ふわぁ〜、んみゅ」
俺に撫でられ目を細めながら気持ちよさそうにしている姫様に癒されていると…
「マスター、私も撫でて欲しいのです!ずるいのです!」
と、痺れを切らし人化するミスティさん!突如として現れた美少女に困惑する姫様!そして、誰ですかこの子!私以外にも女が!?などと思っていそうな目で俺をくわっ!と見つめてくる
「マスター撫でて欲しいのです」
「はいはい、これで良いかな?」
「ふぁい、マスターのナデナデはとても気持ちがいいのです〜」
姫様の事は無視することに決め、ミスティを撫で始め、そして目で訴えかける。ちょっと待てと
それが正しく伝わったのか、溜息をつきながらもわかりましたと短く告げ、私ももっと撫でろと言わんばかりに頭を突き出してくる。どうしてこうなったと遠い目をしながらも、律儀に2人が満足するまで撫で続ける。
…が中々満足してくれないので、撫でるのを打ち切り王都に戻るまでの道すがら、俺たちはと言うと姫様の質問責めにあっている…
姫様曰く、俺が何者なのか、さっきの魔法はなんなのか、その子は誰で、どこから出てきたのか、なぜ急に仮面を付けたのか…と質問責めにあっている…
上から順に回答していく
「とりあえず最初の質問から順に答えるな」
「はい、お願いします!」
「冒険者、秘密、相棒、秘密、顔バレしたくないからだな」
「え?それだけ?」
「うん、それだけ」
「私のそれだけは、それしか説明してくれないんですか!?ってことなんですけど!?そこんところわかってますか!?」
「あぁ、そだねー。そんなことより今更なんだが聞いてもいいかな?」
あぁ、私のことなんてスルーするんですね…と思いつつ俺のはじめての質問に、目を輝かせる姫様!本当にちょろ…単純である
「質問ですか?なんでも聞いてください!」
「それじゃ遠慮なく…姫様って呼ぶのもアレだから、そろそろ名前を教えて欲しいんだが…」
リリアは思った、命の恩人…いや王都に住む人々にとっても英雄と呼べる方に、私は名前すら告げて無かったと…最初の出会いが最悪だったとはいえ、何という失敗…
急に立ち止まった姫様、その場で華麗にカーテシーを決め、ちょこんとお辞儀をする。うん、可愛いけどどうした?
「大恩がある方に名前も告げる事もせず申し訳ありません…私の名前はアメジスティア・ユナ・リリアと申します。リリアとお呼びください」
「あ、あぁ、よろしくリリア姫」
「リリアです、姫は要らないです。にこっ」
微笑みながら姫は要らないと言ってのけたリリアに溜息をつきながらも俺は改めて自己紹介をする
「はぁ…よろしくリリア、改めて俺の名はユウキだ、だけどこれだけは約束して欲しい、王城に戻っても絶対に俺の名前は出さないでくれると助かる、めんどくさい事になるから…」
「ユウキ様ですね、わかりましたアメジスティアの英雄の頼みです…約束は守ると誓います!命に変えても!」
「いや、普通に重すぎるんだが…とりあえず黙っててくれるならそれでいいや…それと俺の事も様なんてつけないで欲しいな、俺はただの冒険者だからね」
「あれでただの冒険者なのですか…?ちなみにランクは?」
「昨日登録したばかりだからランクはまだないな」
「え…?昨日登録…?それであの強さ…」
「詳しい事は話せないですが、マスターは特別なのです!そしてマスターのパートナーは私だけなのですー!どやっっ…」
おいおい、ミスティさん?そんなに煽ったらリリアがまた…
「むっ!何ですかその言い方…私だってこれから…」
ほらー、言わんこっちゃない…うるうるしながらこっち見るのやめて欲しい…なんか俺が泣かしたみたいに見えるし…
「と、とりあえず俺らは冒険者ギルドに顔だして、宿に戻ろうか?ミスティさんや」
「そうですね…初めての戦闘でハッチャケ過ぎたのか、少し疲れたのです」
「なら、とりあえずミスティは人化解いたらどうだ?少し休んでなよ?」
「そうするのです…ちょっと寝てるので何かあれば魔力を流し込んで貰えればすぐに目覚めるので、おやすみなさいなのです〜」
それだけ言うとミスティはイヤリングに形態を変え俺の耳に戻ってくる。とりあえず目の前で起こった現象に目をパチクリさせているリリアへの言い訳を考えなければ…うん、無理だ。ここは話題転換しようか…
「そういえばリリアは王都に戻って何をする予定だったんだ?勇者達に挨拶するのはわかるが、その後は普通に魔法学院に戻るの?」
「いえ、しばらくは勇者様方と共に行動すると思っていたのですが、予定は変わりましたね…で、とりあえずなのですがミスティさんはいったい何者なのでしょう?」
はい、まぁ無理ですよね。はぁ…
「えっとだな、まぁ所謂伝説の武器って奴だね。伝説と呼ばれる武具が人化出来る事は知ってるよね?」
「やはりそうなのですか…勿論知ってますよ。私が小さい頃お伽話として乳母から読み聞かせられてましたし、城にある図書館塔の中にも、伝説の武具達の逸話などが記載された書物もありますので…」
「城にそんな所があったんだな…一度見て見たかったが…」
くそ、飛び出すのは早まったか?でも、あのチャンスを逃すとまた別のタイミングを探さなきゃいけなかったし、もしかしたらミスティとも出会えてないかもしれない…そう考えると図書館塔如きって考えになるな…うん、ミスティには変えられないわ。
「ユウキさんでしたら、私の一存で図書館塔にご自由に出入りできるようにしますが…お望みになられませんよね?」
「うん、あまり城に出入りはしたくないんだよね。提案は有り難いけど、丁重にお断りするよ」
「いえ、お気になさらないでください。言ってみただけですので。それよりもユウキさんが止まってる宿の事を教えてください!遊びに行きますので!」
「それは教えられない、教えたとしても俺達は明日には王都を去るつもりだからね。予想外に目立っちゃったから、俺たちの目撃情報が増える前に旅立つよ」
「そんな!?折角知り合えたのに…」
(まぁ、そんなの関係なくついて行きますけどね)
「ま、まぁまたいつか会えると思う…よ?」
い、今何か嫌な予感が脳裏をよぎったが、気のせいかな…
「はい!またお会いできる時を楽しみにしていますね!」
(ふふふ…ダメと言われてもついて行きますけどね…覚悟して下さい。うふふふふ…)
や、やばい悪寒が!魔力の使い過ぎか…?やっぱ早めに寝たほうが良さそうだな…
「おや?ユウキさん顔色が悪いですよ?どうしました?」
「いや、なんか寒気がね…疲れてるみたいだから今日は早めに休む事にするよ。てことでこの先に人が集まってるみたいだから、俺は気づかれないようにこっそり王都に入るから、ここからは1人で行ってもらえる?」
「人が…?それは別に構わないですが、ここからでは何も見えないのですが…」
「まぁ、俺はちょっとばかし目が良くてね。多分だけどリリアの事を助けに行くために、先に戻った騎士さんが王様にでも言いに行ったんじゃないか?それでスタンピードに対応するために兵や冒険者に号令をかけたんじゃないかな?」
「なるほど、確かにそうですね。そういえば私は王女でした。ユウキさんが王女扱いしないので、この短い間に忘れてしまっていたみたいです。おほほ〜」
「そ、それはまぁ許してとしか言えないかな…」
「まぁ、女の子扱いされてるだけまだマシなのかもしれないですけどね…これ以上扱いが酷くならないことに期待しておきます」
最初の出会いが結構効いてるみたいですね…なんかごめん…まぁ、しばらく会うこともないだろうし、次に会う時はお互いそういったことがあったなって笑えるようになっているさ…きっとね…
ここで何故か歯切り悪くなった事に、俺自身首を傾げていると、等々お別れの時が来た。
「じゃあリリア元気でな。王様やその他諸々に上手く言っといてよ?間違っても俺の名前は出さないでね?出したら…国が滅ぶと思っていいから。それじゃあね!」
「ええ、ユウキさんもお元気で…って、えっ!?もう居ない!?しかも最後に脅迫紛いの物騒な言葉が聞こえたんですけど!?まぁ、命に代えてもとか言った私も私ですけどね!?本当に国を滅ぼせそうな方が言うと、ひ、冷や汗が…ていうか、ここで居なくなるなら仮面付けた意味無いじゃないですかー!!」
一瞬で消えたユウキに驚愕し、更に別れの挨拶に出て来た挨拶としてどうなんだ!?という内容に1人で驚愕するリリアは、側から見たらすごく惨めに見えるので、誰も居なくてよかったと心からユウキは思う。勿論急に消えたのは、魔法で透明化しただけなので、実際まだ近くに居たので、リリアの痴態は目に焼き付いてしまった。言わぬが花というし、このまま気配を消して去ろうと最後にリリアに気を使うのであった。そして、確かに何故仮面を付けたのか?叫んでいるリリアに溜息を吐きつつ心の中で、ロマンを求めて何が悪いんじゃぁぁああ!!とリリアと同じく叫んで居たが、生憎こちらは心の中でなので誰かに聞かれることはなかった。




